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同じ穴のむじな

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大学に入学し、アパートに下宿したが、「おんな」に翻弄される毎日。
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#隣人

同じ穴のむじな(5)おれたちの失敗

同じ穴のむじな(5)おれたちの失敗

言葉にならないような声を発した小西由紀だった。
なぜかというと「玉藻荘」に足を踏み入れた感想が、彼女の脳の理解を超えていたからではなかろうか?
汚いかといえば、さほど不潔というわけではない。
ちゃんと大家の北川さんが、毎朝、掃除に来てくれるからだ。
実は、大家の北川しのと、この玄関側の一室に部屋を借りている山村富士夫という爺さんとは愛人関係にあるらしい。
スナックのホステスをしている斜(はす)向か

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同じ穴のむじな(3)同級生

同じ穴のむじな(3)同級生

女のすすり泣くような声が聞こえる。
おれは、夜半に目が覚めた。
柏木という隣の男の部屋からその声は聞こえた。
柏木氏らしい男のこもった声も聞こえる。
「どや、ここは?」
「いや、いや、そんなとこ…」
あの女の声に違いない。
おれは確信した。
二人は、なにやら秘め事をおこなっているらしかった。
おれはゆっくり、壁に近づき耳を当てた。
「もう、びしょびしょやでぇ」「そんなん、言わんといて」
間違いなく

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