#70 ピアノの教本を初めて1冊コンプリート!?
子供のときにピアノを習っていたことを振り返ると、教本の中の全曲をコンプリートしたということは、なかったと思います。
バイエル 人生初めてのレッスンで下巻から。100番以上の数字のものをやった記憶なし。
トンプソン 1巻、2巻やったけど、かなり曲をとばされた記憶あり。
ブルグミュラー25 4番 小さな集い、10番 やさしい花、13番 なぐさめ はとばされた。17番以降は、20番 タランテラを除いて全部とばし。
湯山昭 こどもの国 おそらく1/3くらいしか弾いていない。
小学生のころは暇だったせいか、新学年になって新しい教科書をもらうと最初から最後まで一通り読み進めて、気に入ったところはいつ習うのかと楽しみにしているタイプでした。
それはピアノも同じで、曲名が付いている曲集については、新しい楽譜をもらうと弾けようが弾けまいがかまわず、曲名に思いをはせながら両手で、もしくは片手で最初の曲から最後の曲まで弾いてみて、気に入った曲をいつ教えてもらえるだろうか、と楽しみにしていました。
なので、先生に弾きたかった曲をとばされるたびに残念な思いをすることに。特にブルグミュラーで「貴婦人の乗馬」とかやらずに、17番以降ほとんどとばされたときは、本当にガッカリしました。
インヴェンション1番にかけられた呪いを解く
そして、今回のバッハ/インヴェンションとシンフォニア。インヴェンション 1番を除いて、29曲を一応全部やりました(Appendixに載っているものは除きます)。
インヴェンションを教えてもらうことになったとき、なぜ最初の1番をとばしてくれるようにお願いしたのか、先生に理由は言いませんでした。でも、ちゃんと理由はあります。
1番だけは、小学生のころの先生に習ったことがあること。正確に言うと、私は1番しか教えてもらえませんでした。そして、弾こうとすると冷静になれず、うまく弾けなかったからです。
大体ほぼ同じ時期でしたでしょうか。小学生のころ、インヴェンションやソナチネ、ツェルニー30番を習い始めてまだ間もないころ。
スタートしたばかりで真新しかった教本ですが、この3つの教本、数曲やっただけで全部強制終了になりました。
当時のピアノの先生に言われた言葉です。今でもたまに夢に見るくらい記憶に残っています。別に練習をさぼっていたわけでも、不真面目だったわけでもないのに。。。
特にバッハは1曲やっただけで終了だったのでショックでした。
子供特有の万能感かもしれませんが、教室の中では自分は上手い方だと思っていただけに、このことでピアノの力量的に先生に「見限られたんだな」と正直思いました。
あと、ピアノの先生のいう言葉を信じていたのに、すっかり、先生がいう「合格」とか「○(マル)」とかいう言葉に、疑心暗鬼になってしまいました。
今の先生にも断られる
この苦い思い出を塗り替えるために、インヴェンション1番以外の29曲をすべてやったという事実というか勢いというものを利用して、今度こそ1番を何事もなかったかのように、ただ通りすぎるようにクリアしたい! と、先生に最後にインヴェンション1番を見てくれるようにお願いしたのですが。。。
と、私の演奏を聴くなり、先生は断ってきました。
「この先生も見限るのか。。。」
と、すーっと気持ちが冷めていくのを感じました。
でも、本当に見限りたくなるようなひどい演奏なのかもしれません。実際、子供の頃とは違うヘンレ版の指使いで何度も練習してみたのですが、先生の前で弾いてみると、急にフラッシュバックするというか冷静になれず、子供のときの弾き方(指使い等)に急に戻ったりして、ガッチガチの状態でした。
何十年も経っているのに、いまだに身体が忘れていないとは。。。
それだけがんばって練習したともいえますし、呪いが強力ともいえます。
先生の言い分では、インヴェンション1番は、普通、バッハの経験がないような子に教えるので、ある程度弾けている人に教えたことがなく、どう教えたらよいかわからない、とのことです。
「子供に教えるように教えればよいのでは?」
と言ってみましたが、それも嫌なようで首を縦に振ってくれません。
「では、フレーズの切り方だけでも教えてくださいよ」
と言ってみて、渋々見ていただけることになりました。
と言っても、この先生はいつも教え始めるとすぐにエンジンがかかって、いつもの通りのダメ出しの連発をしてくれるようになります。
左手のフレーズの入り方がなっていない。
トリルが速すぎ
右手と左手両方が忙しく動くところで、左手の音を聴いていない
4拍子ではなく、8拍子に聴こえて気持ち悪い
1、2拍に比べて、3、4拍目が急いでいて変 etc. etc.
相変わらずツラいですけど、拒否せずに教えてくれるだけありがたいかな。
そしてついに○をもらう
呪いのせいで弾くたびに異常な緊張でガチガチになりましたが、3週かかって、ようやくフレーズの切り方はよくなったということで合格になり、○と日付を先生に書いてもらいました。
そう。
先生は通常、ソナタなどの曲に関しては、合格の○を書いてくれないのですが、インヴェンションとシンフォニアについては、私から強く強く、先生自身が○と日付を記入することをお願いして以来、忘れずに書いてくれます。
子供のときの苦い経験以来、先生が○を書いてくれても合格の○だとはこれっぽっちも思っていませんが、私にとっては重要な儀式。
○の意味について、先生的に実際は合格でなくても、何だろうとかまわない。でも、この曲のレッスンを受けた、この曲を通りすぎたという、嘘のつきようがない確かな事実だけ、先生から欲しかったんですよね。
御朱印とかスタンプラリーと似たようなものです。
そう、先生の○付けというのは、私にとっては、ただ単に集めたり、コンプリートしたりするだけで十分、というかそれこそが重要なんです。
というわけで、今までのピアノ人生で初めて教本をコンプリートできました。私にとっては、この1冊は一生の宝物です。。。
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