あなたに絶対訪れないとは限らない
トオルは実業家。
アパレル、レストランバーなどを経営。
毎日仕事が楽しくて仕方ないと言っていた。
トオルには女の子と男の子の2人のお父さんだ。
嫁は優秀で美人。料理も上手く家族の為に尽くす素敵な女性だ。
園子と言う名前で私の親友。
園子は料理が上手いので今日お夕飯パーティーするから来てね〜とよく誘われてお夕食を共にする事が多かった。
美人で優秀で料理が上手くて本当に非の打ち所がない彼女だ。
その夕食パーティーはよく開かれ園子の女学館時代中、高の同級生の怜子さんも見えて私も仲良くしていただいた。
怜子さんも超美人だけど結婚はしていなかった。
夕食パーティーはトオルもいつも一緒だった。
いつも気さくな話しで楽しくまた集まろねと。
私は手作りのケーキなどを持ち寄って参加した。
怜子さんはあまりそう言った気遣いも無くいつも手ぶらでした。
まぁ気になさらない方なんだなぁと思いました。
園子もいつも手ぶらで来てねって言うけどそうは行かないですよね。
私は園子と家が近かったのでパーティーが終わればまたねーといいあって別れた。
怜子さんは泊まりが殆どだった。
私より怜子さんは中学生からのお付き合いで大親友だ。
6年間一緒だから本当に仲良しで私はたまにヤキモチをやいていたっけ。
園子はトオルが死ぬほど好きで一緒になった。
園子はちょっとした財閥のお嬢様だ。
一度富裕層の息子さんと結婚式をして新婚旅行に行く成田空港であの流行りの成田離婚をしてハワイに行かないで帰って来た。
トオルとずっと付き合っていたのですが親の決めた結婚をしてしまったのだ。
その後すぐトオルと結婚してもうくちゃくちゃになるほど幸せな顔を覚えている。
園子は私の親友のお姉さんで小学校から知っている。
親友のヒロコは結構ブ◯だったのにお姉ちゃんは180度違う美人だった。
2人が並びどこか似てる所があるかよく研究したが一つもなかった。
でも私は優しいヒロコが大好きだった。
ヒロコは北海道に嫁に行き少し疎遠になった。
園子はしばらく疎遠になったが地元でバッタリあってからまた付き合いが始まった。
夕食会も何度も開催されある日からトオルは参加しなくなった。
園子によるとまた新店舗を出すのに忙しいみたい。
それから私はトオルに会う事がなかった。
ある日園子から電話があり声にならないほど泣きながら
トオルが離婚してくれって言うの。
私がそんな今まで兆候はなかったの?
全然無かったと園子。
突然の離婚の内容は全く言わないトオル。
園子はトオルを死ぬほど好きでようやく結婚できて一生懸命やって来ていた。
でも園子はトオルに言った。
トオルが大好きだから別れてあげる。
そう言って離婚届を泣きながら書いたらしい。
トオルのいない夕食会は続き怜子さんも園子を慰めた。
女性同士っていいねと怜子さん。
優しい人だなぁ。
園子も怜子さんが泊まってくれるから心強いだろと。
その後女学館の同窓会で園子と怜子さんは会った。
怜子さんは園子にどう?少しは元気になった?
全くトオルって酷い人よねと怜子。
離婚手続きも済みトオルのお父さんが一方的な離婚で申し訳ないといい孫達に土地の生前贈与をしてくれる事になった。
役所に行って今までの戸籍謄本を取らなくてはならないのでまだ元気になっていない傷心した園子に付き添った。
謄本をもらって内容を確認して園子は崩れ落ちた。
どうしたの?と聞いても身体が震えている。
園子を椅子に座らせた。号泣する園子。
30分以上声がかけられる状態ではなく役所の方々も集まって来て大丈夫ですか?と。ちょっとした小部屋みたいな所を勧められて座った。まだ話せる状態ではなくしばらく待ってあげた。園子はもうぐちゃぐちゃだ。
そっと話し始めた。離婚届を差し出した。
自分の名前にバツがしてある隣を見てと。
私はわからなかった。苗字の下は怜子と書いてあった。
しばらくしてもしかしてあの怜子さんの苗字?と聞いたら頷く園子。
またしばらく号泣。
私も泣いた。
なんて事が起こっているんだ?
真面目な話し。あの怜子さんがしてはならない事を…信じられなかった。
あの優しい言葉をシャーシャーと園子に言えたもんだなと。
大好きな夫とずっと親友だった怜子…
園子は私がバカだった。
あんなに食事会に怜子を誘ったのは私。
合わせなきゃこんな事にならなかったと。
食事しながら2人は私をバカにしていたなんて。
園子はしばらく鬱病になり前向きに生きるまでに何年もかかった。
トオルと怜子は園子をこんなに辛い思いをさせてどんな生活をしているんだろう。
トオルは子供達には会いに来ない。怜子に止められているらしい。
園子にとってもそれが一番だ。
その後園子はずっと1人。もう悩みたく無いと。可哀想に。よく頑張っている。
一番悪い奴はトオル。