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ラストイムズ

イムズに行ってきた。
先月先に支払いしていたメモリアルグッズである外壁のタイルを受け取りに行ったのだ。
閉店は今月の31日であるが、このご時世、昨年の天神コアのような混み様も予想される。
早めではあるが私としての「ラストイムズ」のつもりで伺った。
イムズの駐輪場に自転車を停める。思えばこの駐輪場にもお世話になった。
2時間無料で立地のいい駐輪場だったので天神に行った際にはよくここを利用させて頂いた。
その駐輪場から一番近い入り口から入る。向かい側は何もないが去年まで天神コアとビブレがあった。
入ってすぐエレベーターの乗り口がある。受け取りは11階なので自然とエレベーターに乗った。しかし考えてみればイムズでエレベーターに乗る機会もあまり無かったことに気がつく。
私は待つのが苦手なのだ。エレベーターが来るまで待つくらいならエスカレーターを選ぶようなところがある。
そんな私なのに自然とエレベーターに乗ったのは運命というかなんというか。
思えばイムズのエレベーターもガラス張りで外ではなく内側が見えるというなんともお洒落なエレベーターである。久方ぶりに乗ってみて思ったのがエレベーター内に流れる「インターメディアステーション♪」のリズムがどことなく昭和の香りを感じる。開業が32年前なので仄かに昭和を残しているのだろう。
11階の事務所に着くとタイルを受け取る。サイズは小さい。蒲鉾板より一回り小さい。ベージュ色である。
これが太陽光を浴びると虹色に光り輝き、なんとも素敵な宝物となるのだ。
封筒に入れてもらい、証明書とお礼のポストカードも頂く。これは私の家宝となるだろう。
事務所のスタッフさんに「お疲れ様でした」とお礼を伝える。私が10歳の頃に生まれたイムズは私にとっては未だに「天神の新参者」というイメージが消えてないのだが、大御所と勝手に思っていた天神コアもない今、当たり前の風景がなくなっていくのはなんとも寂しい。
これは関係スタッフの皆様にはご挨拶をしなくてはという思いが強かった。
それから私は上からゆっくりとエスカレーターで降りながらイムズを堪能する事にした。
まず8階の三菱地所アルティアムの展示に再度赴く。ここも見納め。最果タヒさんの言葉が突き刺さる。「きみが、死んでも残る花。」とはなんと簡潔で残酷で美しい言葉だろう。まさにイムズに手向けるにふさわしい言葉だなぁと思う。
一通り見た後に出入り口のスタッフさんに「色々な展示をありがとうございました」とお礼をお伝えする。ここのあるなしで福岡のアートシーンは変わっていただろう。
そして6階で無農薬野菜など売っているお店で現在私のマイブームである甘とうがらしを購入。今後甘とうがらしはどこで買えばと思う。それから同階の印刷ラボの展示。画駱駝柑子さんがおられたのでお話をする。展示もさることながら壁に絵を描かれていた。残らない作品。ポップアップショップの至る所に様々な作家の絵が描かれている。
それはイムズへの労いと感謝の形だ。
そしてご挨拶した後に各フロアを色々見る。
エスカレーターからの吹き抜けを動画で撮影してみたり、音楽しないのに島村楽器に入ってみて「ウクレレも高いのだ」と思ったり、動物飼ってないのにP2でグッズを見てみたりした。
紀伊国屋書店で本を見てみたりもしたが、頭の中に過ったのはかつてイムズにあったセレクトショップ系の本屋である。本の他に雑貨と飲食もできてその店のたまごサンドは美味しかったなぁと思ったりした。
ABCマートの前を通っては「若い頃はここか天神コアの店を覗いていたなぁ」などと思っていた。
そうして地下2階まで降りる。真ん中が8階まで吹き抜けてあるフロアの最下層。そこから上に向かって写真を撮る。周りを見ると同じような人がいる。ガラス張りのエレベーターがその吹き抜けに3つ、並んで上へと続いている。それも写す。
写真を撮っていたらキリがない。もう帰ろうと全国でも珍しい曲がったエスカレーターで上階になんの感慨もなく上がる。
これを書きながら「何故噛み締めるように乗らなかったのだ!俺の阿呆め!」と思っている。
そして途中色々と未練を残さないように写真を撮りながらいよいよイムズを出る。ドアから外に出た時、私は振り向いて礼をした。
今までありがとう。最後まで「新参者」と思い続けてごめんなさい。でもお疲れ様。
様々なイベント、展示、ビアガーデン。オープンしたての頃は10歳だった事もあり、「おもちゃ屋もない商業施設なんて!」と思っていたが、「情報発信の場」という他の商業施設とは一線を画すコンセプトはやはり他とは違うお店が多々入り、個性がある施設だった。
一足お先にお別れさせていただきます。
さよならイムズ。
手元にはイズムを確かに受けとりました。

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