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Take it easy

1月最後の山登りは陣馬山から高尾山への縦走路にした。本当は高尾山から小仏峠を経て相模湖駅あたりまで行こうかと思っていたが、せっかくなら陣馬山行きたいしせっかくなら高尾山まで縦走したいなとどんどん欲が溢れ出してしまった。最悪しんどくなったら途中で降りてバスで帰ればいいしと精神的な余裕をもって挑戦することにした。これは地味に大事な考え方だなと思う。絶対的なゴールを設定してしまうとそこに着くまではやめられないという強迫観念により気力がどんどん削られてしまう。自分の残りHPを客観視しながら進むのは意外と難しい。ましてや今回は平均6時間ほどかかるロングコースだ。だから今回はチェックポイントに着くたびに「まだ進めそう?体力的に余裕ありそう?もう無理そうなら降りて美味しいシュークリームでも食べにいく?」と最大限自分を甘やかしながら登った。

始発に乗るつもりだったが起きたら5時半だったので諦めて6時過ぎに家を出た。土曜日なのに学生でいっぱいの中央線に揺られていると八王子駅あたりから車窓には雪が見え始めた。ここ最近全国的に大寒波がやって来ていたものの23区内は雪の予報すら出ていなかったのでかなり驚いた。魔境・多摩に入ったのだと実感する。
高尾駅に着いたのは8時過ぎだった。気温はおそらく零下だっただろう。駅前のロータリーは凍っていた。中間着にウルトラライトダウンとフリースを着ていてよかった。
陣馬山の麓行きのバスは立ち客が出るくらい満員だった。ほとんどが中年以上で20代っぽい人は同じバスにはほとんどいなかった。陣馬山の麓のバス停は八王子の中でも恩方という山の奥の奥の奥にある。八王子駅ですら雪が残っていたのだから恩方に入るとここは東京か?と目を疑いたくなる光景が広がる。先々週の筑波山は全然雪が積もってなかったので正直ここまで雪が積もっているとは思わなかった。去年登山を始めた時に思い切ってSalomonの良い靴を買っていてよかった。

看板曰くここも東京らしい。

バス停から陣馬街道を10分ほど歩くと登山道入り口が道の左側に突然現れる。ほんとにここ?と不安になるくらいの細い道だ。

雪の多さに一抹の不安を覚える。

いつも登り始めてすぐに酸素濃度順応タイムがやってくる。登り始めの30分がとにかくしんどい。元々長距離走が得意な心肺を持っているわけではないし、それに加えて住んでいるエリアが海抜マイナスメートルのため標高差による影響もあるのかなと思う。
追い打ちをかけるように陣馬山の急勾配の洗礼を受ける。ほんとにこの道であってる?というような根が張り巡らされた自然の階段を登っていく。

ここ登んの?ガチ?と独り言つ。
30分ほど登ると少し開けてくる。今回のハイライトだった。

先々週の筑波山よりスムーズに登れてるぞと多少の成長を感じながら、麓から1時間ほどで陣馬山山頂に到着した。山頂は開けた高原という感じで、冬の柔らかい日差しと冷たい空気が大変心地よかった。遠くには富士山も拝むことができた。今回のコースでは最高地点なのでここまで来ればあとは尾根沿いに進むだけである。

山頂の馬のオブジェ。
富士山。

20分ほど休憩し再び山道へ入る。ほとんど下り坂か平坦な道でテンションが上がり軽く走ったりもしちゃう。先ほどまで頑張って登ってきた恩恵を十分に享受する。ただ調子に乗っていると大階段で痛い目に遭う。尾根沿いを走っているとはいえ峠の前は必ず絶望的な階段が待ち構えているので要注意だ。

景信山から関東平野を見渡す

陣馬山から1時間半ほど歩くと景信山に着いた。ここまでくると小仏や相模湖から来た人たちも多くいてかなり賑わっていた。さらにここは山小屋?売店?が充実していてなめこ汁や山菜うどんを楽しむ人々も多くいた。

大体ここまで休憩含めて3時間。やっと真ん中まできた。体力的にはまだ余裕があったのでもう少し進んでみることにした。

景信山の後は一気に降ることになる。逆だったら死んでたなと白目でこのヘアピンカーブを撮影。

景信山から40分ほどで小仏城山に到着。人が多すぎたのでほとんど休憩せず進む。
この辺りから一段と登山道が整備され、かなり歩きやすくなる。

整備された道。軽装備ハイカーも多い。

歩行時間が4時間を超えたあたりから股関節から前もも当たりが痛み出してきた。まだ動けはするがもうすぐ高尾山かと思うと自分の残りHPを過信して進んでしまう。

ここにきて悪魔の3択。1番緩そうな左一択だった。

ゆるい上り坂でもキツくなってきた。と思っていたら高尾山手前の最後の大階段。元気なら5分で登ってしまえそうなところ、15分はかかったと思う。

出発して4時間半。高尾山頂に到着。この頃には子鹿の歩幅でしか歩けなくなっている。しっかり休憩して最後の下山道へ。

高尾山頂からの下りが1番しんどかった。ほとんど使い物にならない足を前に動かすことだけを考える。それ以外に思考を使う体力の余裕はどこにもなかった。高尾山に来ている人はケーブルカーやリフトで悠々登ってきた人がほとんどなので、こんなにしんどそうな顔をしている私を見て引いていただろう。陣馬山から来た私を労って拍手で迎えて欲しいとさえ思った。どこから来たかがわかるようになれば良いのに。

余計なことを考えたくないと言いながら陣馬山マウントで頭がいっぱいの私の前にリフトの誘惑が立ちはだかる。歩けば40分もかかるけどリフトならすぐですよ〜という京王電鉄の策略に乗るまいと歩きを選択。ここまで来たら歩きで通したいという煩悩まみれの私はすでに自分のHPを客観視云々言っていた頃の冷静さは失っている。途中立ち止まったりして変な目で見られながらついに麓に到着した。

このような誘惑看板が2~3個ある。

登り始めて6時間。ついに麓に到着。
今の自分の限界の登山だったと思う。これを余裕で登れるようになったら良いなあ。

最後に、今回八王子で山登りってことで八王子ゆかりのこのアーティストの曲聴きながら登山してたんだけど、最近めっちゃ聴いてる。良かったら聴いてください。みんな気楽に行こうぜ〜。(これも好きだけど、お気に入りは「NO SWEAT」と「バイバイ」です)


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