看護師が唱える魔法

学生と看護師時代の昔話をしていて
思い出しました。

看護師の魅力を伝えるのが難しいと
以前書きましたが、
一つ魅力を伝えることが出来ました。


その人は悪性リンパ腫で化学療法をしていました。

元々痩せ型の年配の女性です。

化学療法が始まるまで、
看護師に話すのはいつも「不安です。」

いざ、化学療法が始まると
吐き気と倦怠感が続き、
みるみる弱っていく姿が見られました。

ある日、僕は受け持ちとなり、
一緒に昼食の時間を過ごしました。

いくら思い返しても、
どのような話をしたか覚えていません。

それでも、確かに一緒に昼食の時間を過ごしました。

その方はあまり昼食を食べれませんでした。


それでも、その日くらいから少しずつ
本当に少しずつ、

食事をするようになり、

体力を戻すことができ、

2回目の化学療法が行われました。


その後は無事、8クールの化学療法を終え、
退院出来ました。


退院時に、
その方は言うんです。

「あのとき、つむパパさんが
 食事の時に言ってくれた
 言葉がずっと支えでした。
 本当にあなたがいてくれて良かった。」と


言った本人は何を言ったか覚えてませんが、

看護師には何気に発する言葉が
時折、
魔法の言葉になるようです。

その方にとっては、栄養のある点滴や吐き気止め、
倦怠感など副作用を和らげるステロイド剤ではなく、

私の言葉が一番効いたようです。


現代科学では支えることが出来ない方でも、
時に看護師は
魔法を唱えて患者を支えているみたいです。

そして患者が
笑顔で退院する後ろ姿を
見ることが出来る

看護師の魅力を一つ、
今回は学生に伝えることが出来て
本当に良かったな、と思います。

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