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名もなき草ぶんぶん

 溝から伸びる名もなき草。ああ、素晴らしき。お草様。

とうとう雨がザアザア降ってきて梅雨のはじまりはじまり。雨は好きだけど、雨の日にゴロゴロ寝ていられてないのはとっても嫌い。そんな不機嫌な私が下を向いて歩いていたら溝の中から草がこっちを見ていた。
私は反省した。雨の日に自分の思い通りにゴロゴロ布団で寝てられないからといって不機嫌になっていた私。溝の中で懸命に生きてる草様が私を笑っておられた。どんな場所でもどんな天気でも文句も言わずに生きておられる草様。草様、なんとお恥ずかしい。草様のような生き方ができるよう改めます。わたしも草様のように生きようと思います。

そう思った矢先に車が横を通り水溜まりの水が跳ねて私にかかった。私は溝の名もなき草の事など一瞬で忘れ一気に不機嫌になった。私は走り去る車を睨み付けた。雨足はひどくなり、私の不機嫌は雨と一緒に増すばかりだった。

そう、これが人間。草様には到底およばない。


名もなき草ぶんぶん
2023.5.30


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