火事息子

大阪 串カツ屋見習い

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七福神日誌19

六時起床。大雨。 バナナヨーグルトを食べる。 炊飯器が壊れたとのことで、今日は昼のおにぎりはなし。 七時に七福神へ出勤。 店内を掃除し、カレー、すじこん、串カツのソースを作る。 食材をカット。 八時からミツさん、アネさん、クミさんが合流し、四人で開店準備を進める。 鍋の火の加減を見てくれたアネさんに、すじこんのこんにゃくが全部切り口で繋がっていると指摘される。 肉、魚、こんにゃくはどうも繊維が強情で、毎回薄皮を一枚残すような切り方になってしまう。 そう話すと、「あんた山田浅右

    • 七福神日誌18

      五時起床。 あんドーナツを食べて出発。 六時から開店準備を開始する。 このところ社長もミツさんも十時頃の出勤なので、二時間ほど一人で作業。 カレー、すじこんを作り、キャベツをカット。 冷蔵庫内を掃除して肉、魚、野菜の仕込み量を決める。 牛を二キロ、豚とマグロをそれぞれ一キロカット。 八時にアネさん、ママさんがやって来て食材を串に刺していく。ずっと二人で池波正太郎の話をしている。 そういう専門のチャンネルがあるのか、最近は剣客商売や鬼平犯科帳などを毎日放送しているところがあるら

      • 七福神日誌17

        十時起床。 今日は休日。 どうも週休一日制でシフトを組まれているらしいが、ほぼ婿入りも同然の結婚で義父母の家に住ませてもらい、無職の身を義父の会社に拾ってもらった恩もあって、文句はいえない。 昼まで鴨川つばめの『マカロニほうれん荘』を読む。 十二時に妻とマウリオラへ行ってカレーを食べる。 デザートのパフェを服にこぼし、どういう洗い方をしたのか、化粧室で水浸しになって戻ってきた妻に自転車を借りて、午後は一人でサイクリングに出かける。 御前浜公園まで行って砂浜を歩き回り、近くのコ

        • 七福神日誌16

          六時半起床。 ヨーグルトを食べて家を出る。 七時半に七福神に到着。 社長、アネさん、クミさんと朝の仕込みを行う。 酒、野菜を発注し、キャベツを切って粉を練る。 今日は卵を一つも無駄にせず割ることが出来たが、その作業だけで一時間近くかかってしまう。 「自分、それでなんぼ時給貰おう思てんの」と社長にいわれる。 十時にドーナツ休憩。 コーヒーを飲みながら社長とアネさんが『孤狼の血』という小説の話を始め、ふと思い出したように、自分たちに共通して人柄にバイオレンスなところがあるのは、き

        七福神日誌19

          七福神日誌15

          五時半起床。 六時過ぎに七福神出勤。 社長、ママさんと三人で朝の準備をする。 肉を切り、野菜を発注。 青とうと山イモを頼み忘れるが、八百屋の方で機転をきかせて必要数を持って来てくれる。 今日は仕込みのスタッフがママさんだけなので、粉を練ってから串刺しにも参加。 キス、イワシ、ハモ、マグロと刺していく。 魚はぬるくなると身のしまりが弱まって身崩れしやすくなるため、氷水でしめて冷たいうちに一気にやってしまわなければならない。 しかし冷えているとそれだけ弾力もあって串が通りにくく、

          七福神日誌15

          七福神日誌14

          六時起床。 すぐに家を出る。七時に七福神。 土曜日なので仕込みの量が多く、社長と仕込み長のアネさん、ママさんと四人で早くから朝の準備を始める。 キャベツを四玉、豚を一キロ、牛を三キロ切る。 添え手の指をまな板に立てておくこと、指を飛ばさないよう、人差し指か中指の第二間接あたりを刃の側面につけてカットすることなどを社長から教わる。 すじこんを大鍋に用意して、野菜、酒を発注。 粉を五キロ練る。その途中、卵を割る時に卵を十個駄目にする。 卵は最終的にまるごと使うが、過程として一度、

          七福神日誌14

          七福神日誌13

          八時起床。 今日は仕事は休み。 家で寝て過ごす。 夕方、妻と雪月花に行って海鮮揚げそばと担々麺を食べる。 帰りに阪急百貨店で商品券を買う。 ミツさんと倉敷に住む叔母から結婚祝いを頂いたので、そのお返し。 妻によるとこういう時はカタログを送る手もあるらしいが、俺は上手くそのシステムが理解できず、今回も商品券と手拭いの組み合わせでお礼とさせてもらうことになった。 手拭いは個人的にも好きだし、何かのお返しやちょっとした贈り物を包むのにとても重宝するので、たまに商店街などで良いのを見

          七福神日誌13

          七福神日誌12

          六時起床。 ヨーグルトを食べる。 妻におにぎりを作ってもらい、出発。 七時半からミツさんとオープン準備に取りかかる。 肉、魚、野菜をカット。 米を五合セットして、カレー、すじこん、ランチのスープを作る。 ミツさんにキャベツの千切りを見てもらっていると、仕込み長のアネさんがやって来てカルピスをくれる。 先日キャベツは切っていて楽しいと書いたが千切りは別で、これは必要とされる刃の強さやスピードから、体の方で本能的に危険行為と判断するのか、いざ始めてもなかなか包丁が思うように動いて

          七福神日誌12

          七福神日誌11

          六時起床。 朝食に米、アサリの佃煮、エノキの味噌汁。 妻が昼のおにぎりを作って持たせてくれる。 今日は社長と二人で朝番。 七時半から開店準備を始める。 一通り食材をカットしてあとの準備を仕込み長のアネさんに任せ、今日は一日、社長について揚場の事を教わる。 社長もミツさんも説明が大雑把で、塩は少々、全部コロリと切って、サクっと揚げてね、といった調子。 タイマーや量りもほとんど使わないため、揚げ時間やネタのサイズ、衣の分量などは全て見て覚えるしかない。 ランチタイムの後、営業が落

          七福神日誌11

          七福神日誌10

          六時起床。 妻が昼用のおにぎりを作ってくれる。 朝食はかにぱん。 出発し、七時半に七福神に到着。 ミツさんと食材のカット。 今日は豚肉と牛肉、マグロを担当する。 マグロはやわらかいので、ピンセットで骨を抜く時と包丁でカットする時の二度、身崩れの危機があり、店で扱う食材の中で一番扱いにくい。 一番手早く切れるのはキャベツで、これは身崩れの心配もない。 特に朝一で八百屋の大将が持って来て「今日のはよう詰まってる。パーフェクト」といって置いて帰るキャベツは、一息に切ると刃渡りにかた

          七福神日誌10

          七福神日誌9

          五時起床。 七福神出勤二日目。 昨日は疲れて二十時過ぎには眠ってしまった。 顔を洗い、読みかけの『日輪の翼』を少し読み進める。 六時頃、妻が起きておにぎりとホウレン草の味噌汁を作ってくれる。朝食にもらい、昼用にもおにぎりを何個かリュックにつめて出発。 七時半に店に着く。すでにミツさんが来ている。 手分けして魚を骨抜きし、野菜、肉をカットしていく。カレーとすじこんを作る。 九時前に仕込みの主婦組も合流。切った食材に串を刺していってもらう。 今日は土曜日なので、ランチのスープとコ

          七福神日誌9

          七福神日誌8

          六時起床。 今日から七福神で働く。 朝昼用に妻がおにぎりを作ってくれる。 一つ食べ、梅田行きの電車に乗って店には七時頃の到着。 すでに準備中の看板がかかっている。 挨拶して入ると、チーフのミツさんという方が納品された野菜の確認をしているところだった。 一緒に開店準備を手伝う。 まずはカウンター内を掃除して、ランチメニューのスープ、コールスローを作る。 米は開店直前に炊き上がるように予約。 それから肉、野菜、シーフードなどをカットして、九時にやって来た仕込みの主婦の方々に串刺し

          七福神日誌8

          七福神日誌7

          八時起床。 駅中の若菜そばできつねうどんを食べる。妻はわかめうどん。 二人で神戸に向かう。 十時から塩屋町のジェームズ邸を見学。 丁度一年後に、ここで挙式を予定している。 元町に移動する。赤萬で餃子を食う。 ここの味噌ダレ餃子は義母も好きらしい。 店を出て、同じ通りにあるちんき堂という古本屋で『マカロニほうれん荘』の文庫セットを購入。 この辺りの古本屋は昔、神戸大丸で働いていた時期によく訪れていた。 もう一件古本屋に寄って、三宮のにしむら珈琲店に入る。二人ともアップルパイを注

          七福神日誌7

          七福神日誌6

          七時起床。 マウリオラという店で妻、義母と共に朝食。ホットドッグを食べる。 八時頃、リフォーム中の妻の実家に行き、ここの一階を使って商売をしている義母はそのまま出勤。 二階で、妻が来月から七福神に導入する勤怠管理アプリを調べてくれる横で、俺は設計士の小川先生につかまって兵庫の地理や、季節に応じた町ごとの一日の風の流れを教わる。 その後、衣類タンスを組み立てる。 義母は待ちきれず、昨晩からすでにこの二階で暮らし始めた。続々とやってくる大工たちが、まだ作業が残っている風呂場や寝室

          七福神日誌6

          七福神日誌5

          六時起床。 兵庫へ向かう。 西宮アクタのマクドナルドで社長、義母、妻と共に朝食。エッグマックマフィンを食べる。 義母も同じもの。 妻と社長はソーセージエッグマフィン。 八時にトラックの到着。妻の実家で荷物を受け取り、ひとまず一階の物置に片付けていく。 本来は昨日からここに住む予定だったが、まだリフォームが半分程しか終わっていない。 三月の着工以来、毎日のように義母や妻、設計士らの建築アイデアがとめどなく足されていき、工期も延び続けている。 そもそもは二世帯住宅化のための、二階

          七福神日誌5

          七福神日誌4

          十時起床。 引っ越しの詰め物を最終確認して、コンビニで昼食の買い出し。アート引越センターのトラックが十二時にやって来る。 若い三人組のチーム。みな好青年の印象。 妻とからあげクンレッドを食べながら仕事ぶりを見学する。快活に声を飛ばし、てきぱきと三十分ほどで作業を終えて爽やかに去って行く。 神奈川から兵庫への移動で十八万円。 受け取りは妻の実家で、明日八時の予定。 空っぽになった家を掃除して管理人を待つ。 妻はこの隙にパーマを直してくるといって、急遽先日の美容院に出かけていった

          七福神日誌4