七福神日誌25

十二時起床。
今日から夜番。
昨日は風呂上がりに本の整理を始めて、気がつくと司馬遼太郎の『世に棲む日日』を読んでいた。
これは大好きな小説で、読みながら床にビールやスナック菓子も広げてついだらだらと夜更かししてしまい、眠気が残る。
顔を洗っていると二階から、義母が昼飯に竹輪のチャーハンを持ってきてくれる。
平らげて家を出る。
今日は洗剤屋やイノゲートビル関係の人と何件か会う約束があり、名刺入れを持っていく。
名刺のデザインは妻が考えてくれた。
白黒で余白の多いシンプルな仕上がりだが、本当はこの余白にたくさん串カツのイラストを入れようとして、それはあまりにも串カツ屋過ぎると社長に止められたらしい。
店に着き、ミツさんと新店では冷蔵庫の食材の棚割りをどうするか相談。
現在一種類ある盛り合わせのセットが新店では二種類になる予定で、どこに手を伸ばせば何が取れるようにしておくか、そろそろ決めておかなければならない。
十五時に洗剤屋の営業の方がやって来る。
開口一番、「お時間無駄にはさせません」と挨拶される。
これは七福神が二号店を準備中だという話が懇意の内装業者から食器のおろし問屋、酒屋、八百屋へ、さらにまたほうぼうへと巡り、最終的にどこからの紹介なのかよくわからないが、話を聞いた誰かの紹介で洗剤の専門の人が来て話を聞かせてくれることになった、その専門の人。
名刺の交換というのは初めてで、渡しながら少しにやにやしてしまったが、これを相手の方でどう感じたのか、「いやそれにしても、本当に串カツがお好きなんですね」といわれる。
食器洗浄機に使う洗剤や、ノロウイルスも殺せるという強力なアルコール液のことなど、色々と詳しく教えてもらう。
その後、一件面接をはさんでJRの方と会う。
イノゲート大阪のフードマップが出来たので持って来てくれたとのこと。
小冊子になっていて、ビルに入る各飲食店の紹介がそれぞれ短文で書かれている。
読んでいると社長が現れる。
ミツさんと揚場を交代し、店が落ち着いているうちに串の補充や冷蔵庫の掃除を終わらせる。
夕方から込み始める。
ハモがよく出る。
二十二時過ぎまで満席。
ラストオーダーをとるついでにスタッフのまかないも聞くと、ただでさえラストオーダーで立て込んでいるところへ、マリリンとケイさんから合わせて三十本のまかない希望が追加される。
紙切れに書かれた希望のお品書きを受け取りながら、若干思うところのある顔をしていると、ケイさんが面白がって山賊みたいな笑みを浮かべ、「気づいたか若旦那、私達は敵だ」という。
二十三時閉店。
掃除と洗い物の後、油を落としてフライヤーも磨く。汗だくになる。
戸締まりをして退勤。
二十五時に帰宅し、風呂に入ってすぐに眠る。

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