合わないものは転がり去って行く
9月も中旬を迎えたのに、この暑さは何なのでしょう💦
吹いてくる風、空の色は秋の雰囲気なのですが、暑さがしつこく残っています。
先週も今週も、暑くて(ということを言い訳にして)何もする気がおきず、横になって、窓のカーテンが風でユラユラ揺れたり、光がさしてキラキラしたりするのをボーっと眺めて午後の時間を過ごしています。
時折、小さな至福を感じながら♡
カーテンの動きを見ていると、以前、会社で失くした指輪のことを思い出しました。
(そういえば、そんなことがあったな~)
その後も、失くした指輪のことが、ポコッと浮かび上がってきてはパッと消えるのが続きました。炭酸水の泡のように。
そんな自分に問いかけました。
何か、私に伝えたいことがあるのかい? 聞いてほしいことがあるのかい? 私。
20歳代のころ、お付き合いしている殿方から、指輪を買っていただいたことがあります。
月日は流れ、私の手元には買っていただいた指輪だけが残りました。
捨てるに捨てられず、ずっと宝物入れの奥のほうにしまい込み、また更に月日は流れ過ぎました。
5年くらい前に、その指輪が出てきました。
当時の輝きのまま、綺麗なまま。
その彼に未練も執着もありません。指輪にも。
ところが、私の中の貧乏な心が、捨てるな処分するな、まだ使えるじゃないか。指輪に罪はないぞ…。そんな風に囁いたのを聞きました。
迷った挙句、私は私自身を飾るために、ちょっとの輝きをまとうために、そして何より、私のちっぽけな虚栄心のために、再び指輪をつけることに決めました。
年齢を重ねてしまったので、サイズは合わなくなっていました(笑)。
小指につけるのにもちょっとゆるめでしたが、ピンキーリングとしてつけることにしました。
実はこの時、違和感や居心地の悪さのようなものを感じました。私は、私の中の小さなサインを無視して、虚飾する方を選びました。
それから、再び日の目を見た指輪とともに、出社、お出かけするようにしました。違和感や居心地の悪さも一緒に…。
ある日、会社の部内で報告があり、起立して聞いていた時です。
右手小指の指輪がスルッと抜けて、床に落ちたと思ったら、コロコロと転がりました。
報告は続いていますから、耳を傾けながら、転がる指輪の行方を目の端っこで追いかけました。
結構な勢いで隣の島の方まで転がって、選りによってあのお方の机の下に滑り込んで行きました…。
指輪の落ち着き先はだいたい見当がついていたので、慌てることなく焦ることなく落ち着いて報告を聞くことができました。
そして、報告が終わり、指輪を回収しようと、あのお方、森田さん(仮名)の机に向かいました。
森田さんの机の上は、本や雑誌が高く積み上げられ森田タワーといわれており、机の足元にも本、雑誌や雑多なものが置かれていて、ちょっとしたジャングルのようになっています。
森田さんは席を外していたので、周りにいた社員さんに事情を説明して、ちょっと失礼して机の足元辺りをガサ入れさせていただきました。
紙袋の下の方に転がって行ったのを見ていたので、その辺りを探しましたが、ありません。本や雑誌の間も見ましたが、ありません。これ以上は私の勝手で森田さんの私物を動かしたり触ったりできません。
森田さんの両隣の机の社員さんも、周りを探してくださいましたが、やっぱり、ありません。
それから、森田さんが仕事先から戻ってきて、足元のモノを出していただき、くまなく探しましたが、指輪は影も形もありませんでした!?
森田タワー恐るべし…。
まぁーぶりんぬさんが指輪を失くしたというので、部内で一時、ちょっとした騒ぎになってしまいました(冷汗)。私が帰ったあとも、皆さん心配して探してくださったと聞きました。それでも出てきません。(当時、一緒に指輪を探してくださった方々、ありがとうございました!!)
その後も何となく気にかけていたのですが、ありません。指輪の行先を見ていたのに…。消えた指輪。
私はその後、お仕事の満期終了を迎え退職したので、それっきりになってしまいました。一緒に働く同僚スタッフさんにも、もし見つけたら連絡くれるようにお願いしたのですが、連絡はいまだ来ず。
今も、右手小指から指輪がスルッと抜けた感覚を覚えています。
それから、「指輪を失くしたんです、出てこないんです」と皆さんに事情を話しながら、もう、私には必要ないもの、終わったものなんだということにじわじわと気づいたことも。だから、指輪の方から私の元を離れていったんだな~と感じました。
先に感じていた、違和感や居心地の悪さはこのことを私に伝えていたのだと思うのです。
合わなくなったものは、こうして半ば強制的に転がり去って行くもの。私の意志とは関係なく。
だったら、いくら執着してても、ギュッと握りしめていても、無理くりに手放そうとしなくても良いものなのかもしれません。まだ、抱え込んでいてもよいということなのかもしれません。きっと、その時がきたら自然と去って行くものなのだから。
あの時の指輪はいずこへ??
森田タワーの床下には小さな穴があって、そこへストンと転がり落ちて行ったのかな? おむすびころりんのように、どこぞにつながる異世界・異空間へ転がって行ってしまったのかな? って、数年たった今でも、結構本気で信じているまぁーぶりんぬなのであります。
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