ショートストーリィー「月の砂漠」
約束の時刻に7分遅れて到着した喫茶店では、
ポインセチアが並んだ窓際の席で彼女が待っていた。
真っ赤な葉を背景にして、ほとんど化粧をしない彼女の白い肌は、とても清楚に美しく映えている。
「ごめん、遅くなって」
「そんに息を弾ませて、大丈夫? 走ってこなくてもよかったのよ」
彼女の前のカップにはミルクティーがたっぷり残っていた。そんなところが彼女の優しさだった。
「その煙草は?」
彼女が煙草を手にしているのが不思議だった。
少なくともぼくが知っている1年6ヶ月間は、彼女の髪