iDeCoの受け取り
iDeCo(個人型確定拠出年金)の受け取り方によって納税額が変わることについて書いてみます。
iDeCoの受け取りは60歳からです。その条件として、最初の掛金拠出から10年経過していることが挙げられます。なお、10年に未満の受給可能年齢は別途定められています。たとえば、50歳から52歳までの間に掛金拠出を始めれば、受給可能年齢は61歳となります。
また、60歳を過ぎても積立でき、65歳まで可能です。運用は75歳まで継続できます。iDeCo加入年齢が60歳から64歳までの場合、受給可能日は加入から5年を経過した日です。
iDeCo受取を始めると、掛金を拠出できなくなりますが、運用自体は75歳まで継続できます。
iDeCoの受け取り方法は次の3つです。
(1) 一時金
(2) 年金
(3) 一時金と年金の併給
iDeCoの掛金拠出時は非課税ですが、受取額に対しては課税されます。
iDeCoの運用資産を、「一時金」で受け取るか、または「年金」で受け取るかによって、適用される税制が異なります。
(1) 一時金
一時金として受け取る場合、iDeCoの運用資産を現金化し、一括で全額を受け取ります。この場合、退職所得控除が適用されます。
退職所得控除額は、iDeCoの運用年数20年を境に、計算方法が以下の通り異なります。
(1-a) iDeCoの運用年数20年以下: 40万円×iDeCoの運用年数
(1-b) iDeCoの運用年数20年超 :800万円+70万円×(iDeCoの運用年数-20年)
iDeCoによる受取額=(iDeCoの運用資産額-退職所得控除額)×1/2
例えば、iDeCoの運用期間が10年で資産が1000万円の場合、退職所得控除額として(1-a)が適用されますので、
退職所得控除額=40万円×10年=400万円
iDeCoによる受取額=(1000万円-400万円)×1/2=300万円
よって、300万円に所得税が課されます。
勤め先の退職金とiDeCoの運用資産を同年に一時金として受け取る場合、それらの合計金額として、課税対象所得を計算します。
また、iDeCoの一時金を受け取ってから4年以内に退職金を受け取る場合、退職金を受け取ってから19年以内に、iDeCoの一時金を受け取る場合も、それぞれに退職所得控除を適用することができません。
iDeCoの一時金と退職金の受け取りに対して、各々に退職所得控除額を利用したい場合は、一定期間を空けなければなりません。
(2) 年金
受け取り方法として「年金」を選択した場合、公的年金と同様に毎月一定額を受け取り、税制上では雑所得として扱われます。受け取り回数は5~20年の間で指定します。
年齢と「公的年金とiDeCoの受取額」で、公的年金等控除の金額が変化します。公的年金など係る雑所得が、60万円以下、60万円超130万円未満、130万円以上410万円未満、410万円以上770万円未満、770万円以上1000万円未満、1000万円以上の各カテゴリーに該当する計算式が与えられています。
例えば、「公的年金とiDeCoの受取額」が65歳未満で60万円以下、65歳以上で110万円以下でしたら、公的年金など係る雑所得の金額はゼロです。
(3) 一時金と年金の併給
「一時金」と「年金」の2つの受取方法を併用することも可能です。退職金が多い場合、iDeCoの受け取り方法を、一時金にすることで、課税所得が増えてしまいます。年金形式で受け取る場合にも、公的年金などの所得も考慮した方がよいでしょう。
年齢、退職金とiDeCo運用資産の受取時期・金額、公的年金等のほかの所得は人によって異なるので、納税額も変わっていきます。
今後、税制が変わっていくことが予想されます。iDeCoの出口戦略というのでしょうか。税制改正ともに、自分の最適解を考えておきたい。
ありがとうございます。
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