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『海のはじまり』は… ~ブログより再掲~

先の三連休の最終日は「海の日」でしたね。
今日は「海」にちなんだ投稿です。

10年余り投稿を続けた「ウェブリブログ」が2023年1月に閉鎖されることになったのを機に始めた、このnote。ブログに投稿した記事の中から、投稿から間をおいても、しばしば閲覧されている記事をさかのぼってピックアップし、再録しているシリーズ。久々にアップします。

2020年1月12日掲載の記事です。

以下、再掲

「海のはじまり のうた」
今日は、近所を散歩中、民家の庭先で明るい黄色のロウバイと鮮やかな朱色のボケが咲いているのを見かけました。
(ボケは薄いピンク色が一番好きなのですが)
どちらも寒中にいち早く「春遠からじ」と告げる花として好きなので、嬉しくなりました。

さて、先日、とても素敵な詩を知りましたので、ご紹介します。

工藤直子さんの『海のはじまり』です。

ひとはみな
心のなかに海をひとつ もっている
その 濃いみどりの海のうえに
ときどき ちいさな魚がはねて
ときどき ちいさなしぶきがたつ
ひとの心のなかに
いつ 海はうまれたか

おそらく むかし
ーなにが悲しいのか
  わからないほど ちいさく
  なにがつらかったか
  忘れてしまうほど むかし
ひとはみな
はじめてまるい口をあけて泣いた
あのときの涙の粒が 海の はじまり

泣くたびに流れた塩からい涙は
だれにも知られぬ場所に
あふれあふれ
ーそれはたしかに 悲しみの波
 それはたしかに つらさのうねり
それはたしかに そうなのだが
ごらん いつのまにか
涙の海に 生まれてそだった
泳ぐものたち
笑い 歌い そして遊ぶ 泳ぐものたち

ひとはみな いつだって
塩からくて にぎやかな
海を 抱いて いるのだ

とても深い詩ですね。
自分の中の「塩からくて にぎやかな 海」を感じながら
自分の外の自然の繊細な恵みを味わいながら
生きていたいものだと思います。

以上 再掲おわり


この詩を読んで感じることは、今も変わっていないなあと思います。
投稿した時点からは、コロナ禍、ウクライナ戦争、国内では、国民の分断に政治経済のキナ臭い動き…その他もろもろ、悲嘆、憤りを生む事態が数多く起きていますが、嘆いてばかりもいられないなと思う、2023年、酷暑の夏です。


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