AFK:アフリカETFへの投資②モバイルマネー編

参考
人口編
Airtel Africa FY22投資家資料
MTN ナイジェリア 投資家向けプレゼンテーション
Safaricom FY23H1 投資家向けプレゼンテーション

前回のコラムでは、アフリカは最後のフロンティアとして若い若年層を多く抱える人口拡大地域であること、その消費はモバイルがもたらすことを紹介した。本稿では、そのインパクトをアフリカの主要な通信キャリアの投資家資料に基づいて、具体的に紹介する。

日本ではなかなか普及せず、Paypayが200億円超の大盤振る舞いを経てやっと4500万人のユーザーを獲得したモバイルマネーであるが、アフリカでは既に不可欠となっている。
人口5000万人のケニアで最大のシェアを持つキャリアはSafaricomであるが、同社が提供するモバイルマネーM-PESAは、以下の通り3100万人のユーザーを抱える。Paypayと異なる点は、ポイントなどつけずとも主要な決済手段として普及しており、Safaricomの主要な収益源となっていることである。M-PESAは送金額でも送金回数でも年率2桁増が続いており、コロナ禍では非接触の送金手段として重要な役割を果たした(医療設備に乏しいケニアでのことである)。

ケニアの通信キャリアSafaricomのフィンテックサービスの成長状況 同社IR資料

同じく人口2億人とアフリカ最大のナイジェリアで5割のシェアを持つMTN ナイジェリア社も、データ通信の増加とフィンテックの浸透に力を入れる。同社IR資料(下図)では、1四半期当たりのデータ通信量はコロナ禍以降で2倍以上に拡大し、同時にモバイルマネーの送金回数は10倍以上になった。

MTN ナイジェリアの四半期当たりデータトラフィックとフィンテック送金回数 同社IR資料

また、ナイジェリアや東アフリカ地域で通信サービスを展開するエアテル・アフリカもデータ通信量収入とモバイルマネーサービスが伸長している。4G、5Gにより動画やゲームの需要が高まっていることで一人当たり収益ARPUも伸び、かつこれらサービスを楽しむ若年層が拡大しているからである。

エアテル・アフリカのボイス、データ、モバイルマネーの収益動向 同社IR資料

このような通信キャリアのビジネスモデルとして重要なのは、従来の通信だけにとどまらず銀行とAPI連携することによりモバイルマネーで預金やローン、投資、保険、当座資金サービスを提供している点である。
データは21世紀の石油であるが、その最も重要な領域は金融とヘルスケアである。そのどちらにおいても既存のインフラとの競合が存在しないアフリカの通信キャリアには成長余地が期待されるだろう。

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