ファナック、安川、日本電産、ミスミの決算資料に現れる今後の設備投資動向
多軸ロボットで世界4強の2社であるファナックと安川電機、HDD用モータで世界首位の日本電産、FA用機器商社の大手一角であるミスミグループ本社など、グローバルなFA関連の10-12月決算が出そろってきた。
各社とも円安やたまりにたまった受注残を消化したことで業績は堅調であるが、一方で受注動向には今後の不安材料が表れている。
まずファナックについて、受注額は2四半期連続で減少した。ロックダウンから回復した中国が支えているものの、米国や国内で半導体向けが減少していると思われる。同じくバッテリや半導体が強い韓国向けもFAが減少している。
同様の傾向が安川電機でも表れている。同社の9-11月期の受注額は2四半期連続で減少しており、特に用途の広いサーボモータが大幅な減少となっている。質疑応答にて、半導体向けの先行発注の減少が主な要因であると述べられているが、半導体とモータは産業のすそ野が広いため、今後は他の産業(自動車など)にも波及する可能性が高いのではないか。そして、これらの結果は112円/$から144円/$へと大幅な円安を織り込んだうえでのことである。現地通貨ベースでは、その程度はより大きくなろう。
永守氏の答弁が話題となった日本電産でも、クラウドサーバの投資の減少が如実に表れた。精密小型HDDモータだけでなく車載、家電、商業、産業の幅広い需要がコロナ特需からの反動減に見舞われている。永守氏の答弁の通り、モータはあらゆる産業に使用されるため、日本電産だけが悪い決算になる可能性は低い(ただし同社は在庫調整の影響を他社より受けやすい)。
そして、受注残がないために、直近の受注動向の影響をメーカーよりも受けやすいミスミグループ本社は、22年度の業績を下方修正した。以下の通り自動車関連の設備投資で慎重さがみられることを受けてのものである。自動車産業はすそ野が広いため、より広い産業にまで今後影響が波及するだろう。
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