見出し画像

進化論マーケティングをアーティスト活動に役立てる。【マーケティング編】

ひとりビジネスの教科書をアーティスト向けに咀嚼する、の記事で、音楽の心理価値については、進化論マーケティングとの相性が良さそうだと述べました。今回の記事は、進化論マーケティングを読み、考察する内容になっています。


1.大前提

まずはじめに、人間の購買行動およびおよそ全ての言動は、生存あるいは生殖のためである、という事実を確認する必要があります。

生存に役立つかどうか、あるいは生殖(異性へのアピール)に役立つかどうか。ということですね。

全てのものやことを売るには、まずはここから出発します。音楽やアートを売るには、いったいどうすればいいのでしょうか??

2.生存と生殖を掘り下げると、8つの欲求に分かれる

それでは具体的にはどのような欲求が人間には潜んでいるのか、掘り下げていきたいと思います。

ズバリ、

・安らぐ欲求
・進める欲求
・高める欲求
・決する欲求
・有する欲求
・属する欲求
・伝える欲求
・物語る欲求

の8つです。以下、簡単にそれぞれを解説します。(ご自身のアートがどの欲求にささるのか、参考にしてみてください。)

・安らぐ欲求

生存本能優位。物理的危険、精神的不安を遠のける欲求です。また、仲のいい人間との対立を避ける、というのも、安らぎ本能を汲んでいます。
音楽であれば、物理的危険は不可能ですが、精神的不安を安らげることはできるかもしれません。応援ソング、などが該当するのではないでしょうか?

・進める欲求

生存本能優位。スキルを身につけ、改革を求める欲求です。前進の実感にモチベを感じる事。内発的です。
これは音楽ではかなり厳しい??でしょうか。アーティストとは違いますが、クリエイターコミュニティなどの運営はこの本能にささるものかもしれません。

・高める欲求

生殖本能優位。地位や尊厳を高める欲求です。外発的です。ブランドものの購買、高い競争心などが例です。フォロワー数を獲得したい、なども、外発的なステータスを高める欲求に該当するようです。
こちらも、インディペンデントの国内アーティストにとっては難しいかもしれません。そもそも、音楽を聴くだけで、高まるスキルなど実用的なものは音楽家以外はないでしょう。
また、地位や尊厳のある、独立型はかなり稀有と思います。多かれ少なかれ、大きな組織と共に歩まなければ、地位や尊厳を気にする(知名度等)リスナーからは相手にされないかもしれませんので、特段できることはないかもしれません。
逆にTiktokのフォロワー数などが伸びれば、加速度的に聴いてくれる人が増えそうですね。

・決する欲求

生存本能優位。自らが決定していきたい、人生をコントロールしていたい、という欲求。アートとの親和性が高く、アートに惹かれる方が多いらしいです。特別、音楽などでこの欲求に有意義なアプローチができるわけではないと思いますが、決することが好きなタイプの方に、知ってもらえるようなアプローチをするのは効果的かもしれません。(旅行好きの人にSNSでいいねアプローチする、等)

・有する欲求

生存本能優位。出来るだけいいものを保有し、維持するモチベーション、欲求です。思考力や感情、時間も含まれるようです。
こちらは、楽曲をいかに多くリリースするか、CDやグッズをどのようにして様々な種類を用意するか、などが該当しそうだなと思います。実際、大切なキャッシュポイントの一つでもありますよね。

・属する欲求

生存、生殖本能同位。味方や友人を作り、安全を確保する欲求でありながら、一方では異性にアプローチすることへ繋がっていたりもしています。これは言わずもがな、ファンクラブなどが該当していますね。そこまでではなくとも、SNSや路上ライブなどで、コミュニケーションを取り、コミュニティを形成していく、という流れは、あって損はしないでしょう。というか、目指すべきことだと思います。
また、マニアックな音楽も大衆的な音楽も、いずれも、グループ意識、仲間意識、共感、などの部分に刺さるので、音楽によって向き不向き、ということは決してありません。
問題は、ブランディングに沿ったファンとのコミュニケーションを、常に取り続けることができるか、ということにありそうですね。自分に似たアーティストの成功例を参考にするのが最も良さそうです。

・伝える欲求

生殖本能優位。見せびらかし欲求です。センスがあることを見せびらかす事です。競争に勝つではない、アピールすることに重きを置いています。これは、視覚的、聴覚的、触覚的、、等、五感でいかに優れているかを伝えられなければいけませんが、音楽活動ではかなり重要な要素と言えます。
視覚では、ロゴ、ジャケット、アーティスト写真、MV、衣装、そしてアーティスト自身の顔、身長、などの要素がありそうですね。決してイケメンではなくとも、ブランディングがしっかりと施されていればOK、視覚的な統一感が重要、という事ですね。Instagramなどでもよく、投稿に一貫性を持たせる、という要素が大切であると見かけますが、アーティストも同じなのかもしれません。
アーティスト自体のジャンル感、音楽感がどのような言葉で形容できるのか、を元に、視覚的にも統一していくのが重要そうですね。もちろん、音楽的な統一感も、必要だと考えます。例えば、Popsとラップ、R&Bとクラシック、等、行ったり来たりせず、なるべく最初は一つに絞りましょう。曲調、BPMまでも、ある程度絞った方がいいかもしれません。

・物語る欲求

生存本能優位。例えば、陰謀論、自分ルーツ、宗教や社会規範へのこだわり、などで、映画、海外旅行、アイドル、クイズなどが好みの人に多いとこの著書に記載されています。
小説のような音楽、共感できる歌詞、アーティストを応援しながら、一緒に上を目指せるコミュニケーション性、など、配慮できる点は多くありそうです。こちらも、親和性は高そうですね。

この著書には、多くの本能にさされば刺さるほど、売れる、とも書かれていました。ぜひいろいろな点を整理していきたいですね。

3.以上から音楽活動に役立てられる点を洗い出す

最後に、以上をまとめてみたいと思います。

安らぐ欲求→安らげる曲を書く(ただし、できることはあまり無さそう)

進める欲求、高める欲求→×(逆に、進める欲求や高める欲求が高い人はどのような人で、どのような行動パターンなのかを把握すれば、広告からそれらを除く事で、より高いパフォーマンスを出すことができるかもしれません。)

決する欲求→旅行好き、DIY好きな人に、音楽を宣伝をする

有する欲求→様々なコレクションをリリースする。CDやグッズに加えて、最近ではNFTで音楽を発売、などもありますね。SNS上のコンテンツを増やす、というのも大切そうです。

属する欲求→SNS、リアル共に、コミュニケーションをなるべく取るようにする。ブランディングは壊さないように気をつける。ファンクラブが作れる方は、作りましょう。ただし、一定以上の人数は必要だと思います。

伝える欲求→五感で音楽活動(またはアーティスト活動)と関連している部分を、洗いざらいデザインする。ロゴ、ジャケット、音源、SNS投稿、等

物語る欲求→リスナーと共に成長するストーリー作り、逐一数字を共有したり、コミュニケーションをとる。また、共感できる歌詞、なども大切。

音楽活動においては、5項目(desk/Artist&Development/Product/Promotion/Rights&Sustainability)ありましたが、そのうちの、Promotionと、Productに役立つ内容だったと僕は思っています。

Promotion→決する欲求、属する欲求、物語る欲求
Product→有する欲求、伝える欲求、物語る欲求

ですね。これらを踏まえて、活動を精査していくと、より良い結果につながるかもしれません。

それにしても、やる事多すぎでは?笑


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?