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「奇跡の社会科学」(中野剛志著、PHP新書)トクヴィル③

さてさて、トクヴィル編最後になりやした😃
布団にくるまって出られないぽんニャンです🐱

それではどーじょー😃

民主的社会では、地位が平等だから人々は孤立しやすい。孤立した個人は中央集権的権力に屈しやすい。
そして、民主政治は全体主義へと転落する。
トクヴィルはそう論じたが、それを防ぐことはできないのか。

トクヴィルはいくつかあることに気づき、そのうちの特に重要な団体」と呼んでいた。社会学では「中間団体」と呼ばれる。
それは例えば、王権に対抗する貴族の一団のこと。
民主社会では、団体や結社が中央集権的権力に対抗することで、自由を守れるということ。

さらにトクヴィルは、個人の精神を発達させるために中間団体はは必要だと論じている。
平等な民主社会は人間関係が希薄であるため、中間団体でコミュニケーションを重ねて、精神を発達させるという。

これは、福祉の世界でもわかる話で、コミュニケーションスキルを高めるセミナーなどが数多くある。それは、現代社会が人と人との関係を希薄なものにしたものを、福祉が再度つなぎ合わせていくというものだろう。
福祉による地域デザインということが流行り出しているのも頷ける。福祉を中心としたコミュニティで、中間団体的なものを作り出すことになるのかもしれない。

人間は中間団体に属して、深い人間関係を形成することで、自律した強い個人へ成長する。
トクヴィルはアメリカに様々な中間団体があることに感嘆した。そして、アメリカの民主政治を自由で健全なものにし、全体主義化を防いでいるのは、数々の中間団体だと結論づけた。

アメリカの政治学者ロバート・D・パットナムは、トクヴィルの中間団体の議論に影響を受けた1人。
トクヴィルが「団体」と呼んだものをパットナムは「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」と呼び、数々の実証実験を行った。
なぜ「団体」あるいは「社会関係資本」は、民主政治を成功させるのか。社会関係資本には、政治に対する「外部」効果と参加者に対する「内部」効果があるからだとしている。
しかし、これはトクヴィルがすでに「アメリカの民主政治」で説明していることであった。

外部効果
さまざまな団体を通じ、政治に対して自分の利害や要求を表明し、政治権力の濫用から自分を守ることができるというもの。

内部効果
市民が団体に参加することで、他人と協力したり、公共的な問題について礼儀正しく論争したりする習慣やスキルを身につけていくというもの。

パットナムは社会関係資本が高い地域では、子供はより幸福であり、学校が機能していること。治安が良く、経済が発展していることを実証している。
社会関係資本が経済的繁栄に貢献するというのは、おびただしい実証結果がある。
人々の繋がりや絆があった方が、社会はより豊かになるということが立証されているわけである。

フランシス・フクヤマが社会関係資本が豊かな社会を「高信頼社会」と呼んだ1996年頃から、日本は構造改革を始めた。
それを20年以上進め、地域の共同体は衰退し、人間関係は希薄になった。
かつて「高信頼社会」だった
日本は、「無縁社会」となり、経済も衰退して、政治もおかしくなってきた。
しかし、そのような改革を、多くの国民は支持してきたということである。

日本には中間団体と呼べるものが数多くあります。
しかし、肝心な職能団体、協会などはどこを向いているでしょうか?
トクヴィルやパットナムが論じるところであれば、政治に対抗する外部効果が発揮され、地域経済は繁栄されなければいけません。
ところが、地方はシャッター街。
そのシャッター街の人達は何某かの中間団体に所属し、その中間団体は政府与党を支持しています。
某協会の方は「野党は論外だな」と簡単に言いますが、地方を衰退させた与党こそ論外なのです。
また、中間団体の役目を果たさず、経済衰退の片棒を担ぐ団体も、トクヴィルから見れば論外だと思います。

次回は「大転換」でお馴染みの、カール・ポランニー編に入ります😃

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