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上海留学日記 其の二十七 中
翌日は予定通り、西双版納へ飛行機で向かった。
書き忘れていたが、上海から昆明までの飛行機は、外国人だからファーストクラスしか取れないと言われ、少し高めの運賃を支払わされた。ファーストクラスとは名ばかりで、ただ単に一番前の席で、食事のカトラリーが金属製なだけだった。ご大層にテーブルに布ナプキンを敷いてはくれたが。
小型のプロペラ機で、無事着陸した時には機内中で拍手が巻き起こった。
揺れが激しかったせいで、ヒガシくんの飛行機酔いによる体調不良が再発してしまった。
ホテルは外国人が泊まれるところは一軒しかなく、ちょっと高級なリゾートホテルだった。でもまあ、日本のビジネスホテル並みの料金だったので、仕方なく泊まることにした。
ヒガシくんは飛行機酔いに加え、蒸し暑い亜熱帯の気候にやられ、完璧にダウンしてしまった。
ホテルのボーイさんに、ヒガシくんの部屋に水と果物を届けてくれるよう頼んで、私は村を徘徊しに出かけた。
途中でランニング(決してタンクトップとは言えない代物)にほぼステテコのようなパンツ姿の日本人のおっさん(50歳ぐらい?)に遭った。
もう何カ月も前にこの地に来て、最初は外国人向けホテルに泊まっていたが、今はお金が底をついてきたので中国人向けの安宿に泊まっているのだそうだ。久しぶりに日本語を話せると喜んでいた。もう日本に帰るお金もないので、このままここにいるしかないし、帰りたくない、とも言う。
大丈夫か?おっさん!
『地球の歩き方』に地元の青年旅行社でミャンマー半日ツアーを手配してくれると書いてあったので、予約しに行く。明後日ぐらいならヒガシくんも復活するだろう。
若い20代前半ぐらいのお姉さんがその担当で、パスポートを見せると、
「OK、OK。」と言って、旅行手配書を作ってくれる。
「明後日8:00ここから出発です。」と言われ、旅行社を後にした。
帰り道でふと「あれ?半日ビザを取るのにパスポート預けなくてよかったのかな?」と思ったが、まあ預けないに越したことはないし、いいか、と深く考えなかった。
これが後で大変な事態を引き起こすことになる。
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