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上海留学日記 其の二十七 上

1994年12月某日

9月から三カ月コースで来ていた日本人留学生たちが帰って行き、寮は閑散としていた。
上海の冬は気温は大阪と同じぐらいなのだが、当時は暖房設備が整っていなかったので、とにかく寒い。レストランの中でも上着を着たまま食事をするぐらいだ。
あまりの寒さに耐えかねて、ヒガシくんが亜熱帯の村、西双版納(雲南省の辺境の村でミャンマーやベトナム、ラオスと隣接)へ旅行に行こうと言う。

ヒガシくんは行きの飛行機の中から既に仕事の疲れからか飛行機酔いし、グロッキー気味だ。
雲南省の省都昆明で一泊し、翌日飛行機で西双版納へ向かう。
当時中国の宿泊施設は、結婚証明書がないと男女では一室とれなかった。
いずれにしろヒガシくんとは男女の仲ではない(笑)ので、その方向でホテル探し。まずバスで市の中心部に向かい、何軒かホテルをあたる。
これまた当時の中国ではホテルは予約できないので、一軒一軒回り、部屋の料金を尋ねる。何軒か回ってもう一回同じホテルに行くと、同じ部屋なのに違う料金を提示されるのはよくあることだった。
なんとか同じホテルに二部屋を確保し、体調不良のヒガシくんは部屋に置いといて、昆明の街をぶらぶらする。
『常春の街』と称されるだけあって、暖かくて気持ちいい。
外国人向けのカフェやレストランがたくさんある。
気候が良いからか、人々も穏やかで気持ちに余裕がある感じだ。
お店を出るときは必ず「慢走(お気をつけて)!」と声をかけてくれる。

ホテルに帰ってヒガシくんの様子を見に行くと、かなり回復したので、明日は予定通り飛行機に乗れそうだと言う。

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