【この歌詞がイイ!】米津玄師『メランコリーキッチン』より「あなたの横顔や髪の色が静かな机に並んで見えた」

掴みの歌詞って大事ですよねえ。言わば第一印象。そのワンフレーズで聴き手の反応がどうなるか決まる、運命の一手。
よくある方法として、風景を描写する、というものがあります。この歌の舞台はどこなのか? 語り手は今どこに立っているのか? 歌詞を展開させていくにあたって、まずは現在地を把握してもらおうというわけです。
2014年に発売された米津玄師のアルバム『YANKEE』に収録された「メランコリーキッチン」の掴みは、風景描写でありながら、その描写の仕方は異質。だってさ、

状況が一発で理解できないのだもの!(笑)

「あなた」という人物の顔や髪の色が机に並んで見えた……、どういうこと? 「並んで見えた」、とはどういう意味?
この歌詞の魅力は、聴き手が理解できるスレスレのところまで来ている分からなさだと思うんです。単語は平易で、一見何の変哲もないのに、どうもこのフレーズじゃ理解ができない。どういう意味なんだ、気になる。そうして聴き手を歌詞の世界に引きずり込んでいくこの手法は、お見事!
そうして歌詞を読み込んでいくと、
「ああ、テーブルの上に並んでいた食器にあなたの顔が反射して見えていたのね」
とわかるわけです。うーむ、イイ歌詞でございます。
それではまた次回お会いしましょう、ぐーばい。

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