休み時間はしっかり取るようにしている。
4階から3階の食堂に降りて、自動販売機で微糖の缶コーヒーを買う。
ホットが減ってコールドが増えて来たが、僕は断然ホット派だ。
窓の外は電信柱とビルと空、高いところから見渡す広さにホッとする。

「今日は雨かー」呟いて缶コーヒーを飲むと、小雨の路地を右から左にカラフルな傘が動いているのが見えた。
正確に言えば誰かが傘を差して歩いているのであろうが、ここからは傘が動いてるようにしか見えない。
透明な傘を見慣れているせいか、赤と青のカラフルだけが移動していくことが新鮮に感じられた。
きっと柄も骨組みもしっかりした傘だろうな。ワンタッチじゃ無いかもな。と思いを巡らせているうちに路地の向こうに消えていった。

傘が見えなくなったので目を上げると、意外にも空の青、雲の白、屋根の赤、茶、紺、青、近くには新緑の木の葉、急にいろんな色が目に入って来た。

木のてっぺんで、新緑の葉っぱをつけた枝達が3組に分かれて、それぞれが手と顔のような形を作っている。
さわさわざわざわと、こっちに向かって手を振ってるみたいに見えた。
人めを気にしながら、ちょっとだけ手を振り返してみたら、急に風が強くなったのだろうか、3人揃って大きく横にのけぞって、戻る反動でまた逆方向に曲がっていった。当然のことだが、3人が同じ動きをするのがおかしくって笑った。

階段をのぼりながら、お気に入りの傘を買おうと思った。

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