医療的ケア児の人員配置基準を考える
運営の大須賀です。今月は、制度論、とりわけ人員配置について考えていこうと思います。昨年10月岩手県立医科大学で小児病棟に入院していた当時19歳の男児の医療的ケアを怠り死亡に至る事故がありました。私がこのニュースを知ったのは今年7月です。こういう活動をしているものとして、悔しい気持ちと同時に情報提供を続ける意義を感じました。
事故自体は、あってはならない事故だと思います。一方で、人員不足で事故に至った側面もあるかと思います。医療的ケア児・者の支援には、多くの人員が必要になると思います。医療・福祉は、慢性的な人手不足だと思います。少子高齢化社会に伴い、需給バランスが崩れるため医療・福祉分野の人手不足について全体的に考えることも重要だと思います。本noteは、医療的ケア児についてなので全体的なことは省きます。ここから、今年の障害福祉サービス報酬の内容を中心に考えることとしたいと思います。本題の前に、障害福祉サービス報酬を簡単に説明したいと思います。サービス単価というイメージでよいと思います。詳しくは、今年1月の本noteもご参照ください。厚生労働省の資料の「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の主な内容」という全体概要から見ていきたいと思います。そこにある「日中活動系サービス(生活介護・短期入所)」の項目には、医療的ケアが必要な者への対応の評価という項目が新設されました。生活介護等で実施される喀痰吸引等の医療的ケアに対し評価加算項目として追加されました。これは、医療的ケア児者に特化した内容ではありませんが、重度障害者が入院した際の特別なコミュニケーション支援拡大があります。従来の区分6のみから区分4に変更されました。冒頭述べた事故の防止につながるかが注目です。最後に、「支援ニーズの高い児への支援の拡充①」という項目を見たいと思います。この項目は、医療的ケア児・重症心身障害児について中心に書かれています。私が重要だと思ったのは2つあります。医療的ケア児や重症心身障害児に発達支援にあわせて入浴支援を行った場合に評価加算するとしています。新設された評価加算です。送迎加算が拡充されました。生活を支援することによって、医療的ケア児の命を守ることにもつながると推察されます。冒頭の事件は、本当にあってはならないことだと思います。この児童は、重症心身障害児かはわかりませんが、どんなに苦しくても伝えられない医療的ケア児・者も多くいます。ご冥福をお祈り申し上げます。人員配置は、人数だけではなく専門性が重要課題だと思います。また、処遇や働き方も今後の政策課題であると考えられます。