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医療的ケア児・者の防災を考える

今月担当の運営の大須賀です。今日9月1日は、防災の日です。そこで、今号では医療的ケア児・者と災害というテーマで考えていきたいと思います。近年、地球温暖化や気候変動により、災害が増加し、激甚化しています。災害は、私たちにとっても生活継続に大きな支障が出ます。医療的ケア児・者の場合も例外ではありません。特に、長期停電は医療的ケア児・者にとっては命の危機に直結するおそれも出てきます。なぜなら、人工呼吸器等の多くの医療機器は電気で動いているためです。5年前の北海道の胆振東部地震で起きたブラックアウト(大規模停電)で、医療的ケア児・者にも多大な影響が出ました。
ここからは一つの事例を見ることとしたいと思います。吸引器のバッテリー不足に陥った家庭もありました。吸引器の蓄電池もありましたが、この家庭の場合、充電器は1つしかありませんでした。この経験を通してこの家庭の保護者からは、「電源の確保が最優先課題」だとおっしゃっていました。(引用:社会福祉法人日本肢体不自由児協会「はげみ 令和元年度2/3月号‐災害に備える2~水害・停電~(事例1-2呼吸器使用の中での停電(ブラックアウト)体験より一部引用・要約)
 ここからは対策の現状について見ていきましょう。人工呼吸器等を停電から守るためには、非常用電源があります。しかし、非常用電源は一般的に30万円~40万円します。全額自己負担では、高額のため買えないという実情もあります。また、公費補助の適応にならないケースがほとんどです。国の日常生活自立用具等給付事業もあります。ですが、運営する自治体の多くが適用の対象となりません。なぜなら、この事業としては普段の生活で使うもの、または福祉のために作られたものという規定があります。この規定の解釈の問題なのかもしれません。医療的ケア児・者の中には、日常生活自立用具事業の適用を求める声もあります。熊本県天草市は、昨年夏に市内在住のALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんの居宅を市長自ら訪問したことで、公費補助が実現しました。報道によれば、熊本県では初めてのことだそうです。ここまでは、停電について考えていきました。

最後に、避難所という観点からも考えていきたいと思います。医療的ケア児・者を含む、重症心身障害児・者の場合は、避難所で生活しづらいという課題もあります。被災経験者からは、避難所の設備が十分ではないため行くことをためらったという声もありました。なぜなら、電源が必要なことや環境変化による健康影響を懸念したということです。この経験から、福島県いわき市の重症心身障害児放課後等デイサービスどりーむずでは、個別支援計画書に避難方法などを明記することにしたといいます。施設の代表である笠間さんは、「それぞれの役割をつなげる重要性」を言っていました。
私は、医療的ケア児・者と災害・防災について勉強しています。一番重要なことは、知ることだと思います。

大須賀


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