見出し画像

年金シミュレーターをエクセルで作ってみた

こんにちはSt.Mです。前回に続き、マネープラン作成に役に立つものをということで、どのような年収だと将来どれくらい年金がもらえるのかを計算できるエクセルシートを作ってみました。ネット上で探してもヒットするのは、保険料を納めた期間の平均の収入を入力するものばかりです。これまでの収入は確定しているにしても、これからの収入はどうなるか分かりません。キャリアプランを考える場合、転職や昇進で収入が変わっていくこともあると思います。転職が複数回あった場合などでも計算しやすいように年収いくらの期間が何年といった具合に複数の値を入れられるようにしました。ただし、厳密に計算するのではなくておおよその額を知るためのものです。長い保険料納付期間のすべての給与額を入力すれば、正確な値は求められるかもしれませんが、将来どうなるかは不確実ですのでおおよその値が知れればいいと思います。

このシミュレーターの前提

①年収1000万円以上の人は納付上限に達しているとみなす
②50歳未満の人
③厚生年金と基礎年金のみ
④あくまで現時点の制度に基づく

解説すると、厚生年金保険料は給与が月額62万円、賞与が1回150万円を超えると上限に達します。賞与の比率が高い場合もあるかと思いますが、62万×12カ月+150万×年2回=年収1044万として1000万円を上限としています。また、年金の計算方法が平成15年で変わっています。将来もらえる年金を計算する必要がある50歳未満の人を対象にしています。年金定期便は50歳までは現時点でもらえると確定している額が送られてきますが、50歳を超えた人には予測額が送られてきます。50歳以上の人は年金定期便を参考にした方がより正確な額を知れると思います。また、制度自体が変わって支給額が多少変わる可能性があります(ですが大きく変わることはありません、制度設計上)。

計算方法

厚生年金の増える額:年収×加入年数×4.8075(円)
基礎年金の増える額:納付年数×1625(円)
(基礎年金は納付期間40年が上限)

額は年金の月額です

ここで便利なのはエクセルのMAX関数、MIN関数です。
MAX(計算式,値)とすれば、計算式と値の大きい方が取得できます。
実は、20歳~60歳の間に学生などで未納期間があっても、60歳以降に厚生年金を納めたら納付期間が合計40年に達するまで基礎年金が増えるのです。
計算式を「未納年数ー60歳以降も納めた年数」、値を0にすれば、60歳以降に納めた期間が未納期間を上回った場合に値がマイナスにならずに0になるため、基礎年金の額を計算することができます(若干60歳以降に納めた方が増えますが、少額なので無視しています)。
また、年収1000万円を超えた場合に1000万円にする場合もMIN(年収,1000)とすることで、低い方の値で計算することができます。

E3=MIN(C3,1000)*D3*4.8075
E4~E5, J3~J5もE3をコピペでいい
J8=65000-MAX(D8-SUM(I3:I5),0)*1625-D9*812.5+SUM(E3:E7,J3:J5)
免除期間は半額納めた扱いになります。

国民年金は納めた方がいい(障害年金の要件)

将来年金を貰えるかどうか分からない、年金を納めずに投資に回した方が増える、、、と言って国民年金を納めない人がいますが、実は病気や事故などで障害を負った時に支給される障害年金の受給要件に、未納期間が年金を納めるべき期間の3分の1未満というものがあります。つまり年金を納めていないと何かあった時に障害年金が支給されないのです。65歳まで何もなければ、納める額を積立投資した方が増えますが、国民年金は非常にコスパのいい保険ですので、納めておいた方がいいです。どうしても納めたくなければ3分の2の期間だけでもいいと思います。

学生の納付猶予の手続きはしておいた方がいい

発達障害・自閉症スペクトラム・統合失調症などで、就職してすぐにドロップアウトした場合などでも障害年金が出る場合があります。納付猶予の手続きをしていると、その期間は年金を納めた期間とみなされます(もらえる年金は増えませんが)。納付猶予の手続きをしていないと、就職直後に障害が発覚してドロップアウトした場合に、障害年金を受給することができなくなりますから、納付猶予の手続きはしておいた方がいいです。

でも追納はしなくていい

先ほども説明した通り、未納期間があっても60歳以降も会社員として働き続けて厚生年金保険料を納めると、基礎年金が増えます。ある程度の年数を年金を納めるまで「未納期間」扱いとなる期間をなくすことが目的なので、納付猶予手続きをしても、追納する必要はありません。追納するぐらいならば、投資に回しましょう。

平均的な年収モデルでも月額15万円

日本人の平均年収は430万円と言われています。今回、図で示したように
大卒後30歳まで年収300万円、40歳まで年収400万円、50歳まで500万円、60歳まで600万円、65歳まで400万円という男性のモデル(たぶん中央値よりも高い収入)でも、受け取れる年金額は月額15万円程度にしかなりません。老後2000万円問題もありますが、年金だけで悠々自適に暮らすことは難しいので、きちんと資産運用しましょう。
 また、出産・子育てでブランクができやすい女性は収入が低くなりやすく、フルタイムで働いても、年金額はそれほど見込めません。共働きが増えていますが、扶養に入っていると国民年金を納めているのと同じ状態ですので年間103万円の枠内でパートで働いて、家事・育児を多く受け持つ方がいいように思います。もちろん女性が稼げるのであれば問題ありませんが、その場合夫が扶養に入るのもありだと思います。何かあっても遺族年金や障害年金が出ますし、子供の勉強を見てあげれば塾代なども節約できると思います。稼げる方が稼いで、もう一方が家事育児を担当する、といった具合にフルタイム共働きがベストとは限りませんので、こうした社会福祉制度なども勉強して、いろいろな選択肢の中からベストな選択をしてほしいと思います。ではまた!

【追記】結論だけ書いてしまっていて内容が分かりにくいと友人から指摘が入りましたので、次は解説というか具体的な計算過程について記事を書きたいと思います。

豆知識

【障害年金受給時は国民年金の免除申請をしましょう】
障害年金をもらっていると国民年金の免除申請をすることができます。免除にはなっても半額を納めたことになっています。1カ月分16500円程度を納めても年金は年額1625円しか増えません。免除した場合でも年金は812.5円増えるので、元を取るには20年もかかります。なので、納めるくらいならばその額を積立投資に回して寝かしておいた方が、配当利益を多くもらえます。

【65歳以上も保険料を納めると毎年年金が増えるように】
2022年4月より、65歳以上も厚生年金保険料を納めると、毎年受給している年金額が増えるようになりました(それまでは厚生年金を納めるのをやめた時からしか増えませんでした)。年金が不足していらっしゃる方は70歳まで厚生年金保険料を納める働き方をされるといいと思います。保険料を納めることができるのは70歳までとなっています。

【国民年金の免除申請はしない方がいい場合も】
先ほども言いましたが、60歳以上になっても厚生年金保険料を納めれば、未納期間であれば穴埋めできます。障害年金の受給要件を満たす範囲であれば免除申請をせずに未納で置いておいた方がいい場合があります。厚生年金保険料を納める働き方はしないというのであれば免除申請はするべきですが、60歳以降も会社員として働く(あるいはフルタイムパート)可能性があるのであれば未納で置いておいた方がいいです。


お金はご自身やご家族のためにお使いください。みなさまに幸せの訪れを願っています。