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水星の魔女が面白かったらシェイクスピアのテンペストも読もう

エリザベス1世が統治する16世紀、それまでヨーロッパの小国に過ぎないイングランドは他国に遅れてルネサンスを迎えた。それまで中世ヨーロッパ社会の国だったイングランドは、近代的な工業を発展させ始め後の大英帝国となる一歩を踏み出す。
劇作家のウイリアム・シェイクスピアは、イングランドが勢いのあるそんな時代に誕生し、後世に大きな影響を与える作品を数多く残している。



私がシェイクスピアのテンペストを読むきっかけとなったのは、先日まで放送していたガンダムの新作アニメ「水星の魔女」がテンペストをモチーフにしていると知ったから。2つを比べてみるとストーリーの大まかな流れが確かに同じ。
テンペストでは、謀略で祖国を追放された魔術師プロスペロー(水星の魔女ではプロスペラ)が妖精エアリアルを味方に付けて復讐を企てること。プロスペローの娘が復讐相手の子供と恋に落ちること。プロスペローが最後は復讐を思い留まり自分を陥れた相手を赦し、子供たちの結婚を祝福することなど、確かにテンペストがモチーフとされているようだ。



水星の魔女に出てくるエアリアルは主人公のスレッタ(プロスペラのむすめ)が乗るガンダムとして登場する

シェイクスピアが現代でも評価されているのは、イングランドが国力を付けていく時代に、当時は革新的であり現代では王道と評価される傑作を数多く発表していったからだと思う。
テンペストに限ったことかもしれないが、話の作り込みやキャラクターの設定など、現代の視点で見ると物足りなさを感じるのも確かではある。けれども当時の世相や文化教養を取り入れていること、引用されたさらに過去の作品との関係がわかるようになるとシェイクスピアはとても面白い。



ガンダムキャリバーンのプラモデルはもはやテンペストのプラモデルとも言える気がする


有名な古典は沢山あるのに、古典そのものに触れる機会は意外と少ない。だから意識して古典を読んでみたら古典同士が持つ関連が見えてきた。このお互いの関連に気付くことが、古典を読む面白さのひとつだと思う。テンペストではギリシア神話やローマ神話の女神を取り入れ、テンペストはそのアウトラインを水星の魔女に取り入れられている。シェイクスピアの戯曲も、読んでいればその後に作られた作品がより楽しめる過去の名作なのだろう。今回テンペストで初めてシェイクスピアに触れたが、これからは他の戯曲も読んでみたい。そう思わせてくれた水星の魔女にはとても感謝だ。

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