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さくら咲いた日

昨日はいっぱい嬉しいことがあった。

暖かくて風のない
最高の遠足日和に

延期していた【お別れ遠足】を決行できた。

子どもたちと歩く。

近くの神社を通って

もひとつ先の神社の横の公園へ。


参道に入る時にお辞儀する。
すると子どもたちも真似ておじぎする。


そんな姿が可愛くて。


公園についたら
みんな思い思いに遊ぶ。


特別支援学級の子どもたちだから
のんびりした子も
せわしなく動き回る子もいる。


遊ぶ時にトラブルだってよく起きる。


だけど、今日は【お別れ遠足】


もうすぐ6年生が卒業する。
最後のお楽しみ。。


ここで喧嘩をするわけには
いかない。


ここでいつものように
キレるわけにはいかない。


6年生の女の子が場を仕切りながら
やきもきする。


体格がよくて
ダンスもできて
パッと見ただけでは

支援級の子ではないその子も


自分の衝動性や幼さと闘いながら
6年生らしくあろうとがんばっていた。


いつもなら、、
すぐにキレて歳下の自分と似たような
タイプの男の子に
暴言を吐いて、この場を凍り付かせただろう。


だけど、今日は
その男の子のわがままともとれる
自己主張をいったん受け止めた。


「わかった。じゃあ、
はじめに代わり鬼しよう。
先生、時間測って。」


と、
警察と泥棒(略してケイドロ)を
しようと盛り上がっていた
自分のテンションと
その場の空気をかえた。


おお。
先に相手の主張を飲み込んだ!


見ていた私は
彼女の努力をたたえる。


彼女にとって
イライラする男子のいうことを
いったん聞いてあげる
ということは

並大抵の努力ではできないこと。


なぜなら、
彼女とそのわがままな男子は
本質は似ているから。


けれど、
ぐっとこらえて
みんなを楽しませることを選んだ。


彼女とは彼女が4年生の時からの
付き合いで


3年間ずっと担任をしている。


あ、うんの呼吸とまでいかなくても

彼女の考えていることや
行動の背景にある癖も
お互いに十分理解している仲だ。


6年生になった彼女は
イライラすることも増えて


一番身近な担任(ワタシ)に対して
自我を出すようになっていた。


いわゆる反抗期。


だから、この1年間は
よくバトルした仲でもあった。


けれど、いつも叱っていても
愛していた。


かわいいからこそ
いけない行動、
してほしくない行動を叱るのだ。


そんな彼女の成長を
ほほえんでみながら


時計係を喜んでやる。


知的学級と自閉、情緒学級、病弱も含めた
総勢32名ほどの子どもたちが


笑顔で遊ぶ。


幸せな光景。


そこに


息子の高校入試の合格の知らせが届いた。


『受かったよ』


たった一言のメール。



最後の半年間は、毎日
塾に通った息子。


家では勉強ができないから
冬の寒い日も
学校で疲れた日も


毎日、毎日
自転車で塾に通った息子。


息子の高校合格の知らせが
お別れ遠足の日に合わせて届いたことで、


公園から手にしていた携帯で


「おめでとう!」


を伝えた。




学校だったら
電話しなかっただろう。

いや、できなかっただろう。


だけど、今日は公園で

子どもたちの安全を見守るために
持ってきた携帯電話で



晴れた青空

神社の澄んだ空気のもと


子どもたちが楽しく遊ぶ姿を見ながら


一言「おめでとう」と電話した。



そんな嬉しい喜びごとが
そのあとさらに
嬉しいことを連れてきてくれて、


昨日は
嬉しいことがいっぱいあったんだ。


忘れられない一日になった。


いつも私のクラスに入って
強度行動障害をもつ子を共に支援して
くれている支援員さんが
私のそばに寄ってきて


「◯◯(さっきの彼女)ちゃんがね〜
卒業することで一番さびしいのは
先生(ワタシ)と離れることなんだ〜って
しみじみ言ってましたよ。

いつもけっこう二人でバトってるのにね(笑)。

喧嘩するのは仲が良い証拠なんだって
自分で言ってました〜笑。

ちゃんと、わかってるんですね。」


と笑って伝えてくれた。



それを聞いて


なぜだか涙が溢れた。

これまでの3年間の想いが一気に報われた
気がして
伝わっていたことが嬉しくて
涙が一気に出てしまった。


向こうから彼女が走ってきた。

その彼女をぎゅうっと
ハグした。


学級閉鎖で久しぶりに登校できた彼女。
あと十日で卒業する彼女。
私に反抗的な態度ばかりとった彼女。


でも、6年生の後半は
見違えるほど、交流に参加できて
クラスの仲間とすごせた彼女。


どんなに伝わらないと
思っても、真剣に向き合って


褒めたり叱ったりしながら
今日まで一緒にすごしてきた彼女から

さいごにこんな嬉しい言葉の
ギフトがもらえるなんて。


卒業式の前なのに
もう十分すぎる感動をもらった。


ありがとう
わたしもさびしい。
けれどずっと応援しているから。


その気持ちを込めてハグをした。


息子の成長と同じように

我が子よりも長い時間接してきた
娘のような彼女の成長を


抱きしめることで
私自身が癒やされた日。


【ありがとう】


伝えたい気持ちは、


いつも
その言葉に集約されるのかもしれない。


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