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転校生のタイムくん👦🌟創作童話です。どうぞごゆるりと(⁠✿⁠^⁠‿⁠^⁠)

転校生のタイムくん
           

「あ、お昼ごはんの時間だね」
私は、小学校の保健室の先生だ。先生歴は三年、今見た金の腕時計(青の針の洒落たものだ)も、初お給料で買ったので私の腕時計歴、つまり私の相棒歴三年だ。


「榊センセイ、お腹がいたくて・・・ごはん食べれません~」
「うん、じゃあコーンスープだけでも飲もうね」
話しかけてきたのはベッドで休んでいた保健室にいつも来る女のコだ。


「榊センセイって体育の今井センセイがすきなの?」
「えっ?やだなー先生としては立派な先生だからすきよ?いつもカッコいいしね」
「・・・おうえんしてます」
「あはは、ありがとう~。じゃ、センセイ、スープもらって来るからちょっと待っててね」

カララとドアを閉めてろうかへ出ると、うわさをすれば、の今井センセイだ。


「あっ、榊センセイ!お昼の時間ですが、ゆなちゃんの具合はどうですか?」
「そうですね~今井センセイが様子見に行ってくれたら喜ぶんじゃないかしら」
「そうですか。じゃあ行ってみますね」


今井センセイが遠ざかっていく。私の心臓の音はだんだん大きくなっていく。ああーかっこいいー。おっといけない、スープ、スープ。


ゆなちゃんの三の一の教室のドアを開ける。
「みんな元気?榊だよ~ゆなちゃんの分のスープもらいに来たよ~」
「あっ榊センセイ~!ゆなちゃん、どう?」
ゆなちゃんのおともだちのけいちゃんがかけ寄って来る。


「ゆなちゃんはね、たぶん帰るころにはげんきになるよ!」
「取って来る~、タイムくん、一杯!」


タイムくん?給食がかりのコたちのほうを見ると、金髪に、ブルーアイのとっても美形なおコさんがいた。ふふふ、まるで私の時計の色あわせ。
「スープ、オイシイ。キット、ナオル」
「あっ、・・・ありがとう」


私の言葉が少し遅れたのはあることにびっくりしたからだ。タイムくんがしゃべっている時、頭の中で聞こえたのだ。『サカキセンセイハユメヲ、カナエタイ?』と。たしかにタイムくんの声だった。


 保健室に戻ってゆなちゃんとお昼ごはんを食べていると、ゆなちゃんにボーっとしてると言われた。しかし不思議だ、あのことば。もちろん答えは、

『ユメヲ、カナエタイ、イエス!』なのだが。あ、またタイムくんの声だ。『オーケイ』。


 そのときノックの音が聞こえた。どうぞ、とこたえると今井センセイだった。
「えっ、ゆなちゃん?」
「・・・おトイレいってきます」
あっけにとられた今井センセイのわきをぬけてゆなちゃんはいなくなった。

ゆなちゃ~ん!センセイこまるよー?今井センセイは頭をがしがしかくと、こう言った。


「いやぁ、ほんとうにゆなちゃんいなくなっちゃいましたね。さっき三の一に行ったらタイムくんてコに、この紙渡されたんですが」
「なんでしょうね?」
今井センセイが紙をひらくと、そこには。


「えっ!」
大きいハートがまんなかにひとつ。矢印が私と今井センセイにむかってひとつずつ。


「タイムくんやるなぁ。ばれちゃいました?」
「ええーっ、うれしいっ」


 その日のうちにタイムくんという生徒はいなくなりました。私の時計の精だったのかな。
ありがとう、タイムくん。『ユメ、カナイマシタ。』




end.


淡い恋愛もの。私にしては珍しいタイプ…です🐣笑
お暇つぶしになりましたでしょうか?

引き続き、善き週末を✨
ナッツカナッペでした~m(_ _)m🍵✨





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