7.出産

そして程なく8月暑い夏の日、私は女の子を出産した。夜中陣痛が来てどんどんその間隔が短くなって、朝パーンと風船が割れたような感じがあり、前期破水。実家に里帰りしていたので(と言っても近所)、慌てて両親を起こしてタクシーで病院へ。

9時過ぎに陣痛室に入って、昼過ぎには産まれた。出産時間は短いものの、娘はへその緒を首に巻き付けて更にたすきがけにしていたため、一時は「赤ちゃんの心肺が!」という事態になり分娩室に緊張が走った。助産師さんが私のお腹の上に乗って、3219gの玉のような赤ちゃんを無事出産。

後日談だが、この出産の時の記憶を一回だけ娘の口から聞いてびっくりした。3才位のやっと喋る様になった頃、「お綱が首に巻かれてたの」と。それ以来そのことを尋ねても答えることはなかった。そういう胎内記憶を話すことがあることも、後に本で読んで知った。

とにもかくにも生命の神秘を感じ、人生の価値観が変わるような体験だった。私の生涯唯一の宝物、何があっても守り続けていこうと思える存在に巡り合った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?