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【エロゲ感想】さくら、もゆ。 100点

【魅力】

●夜の国の設定

子供にしか見えない世界で死者をつなぐ場所でもある
死者は今まで生きてきた経験がお金となり来世に備えたものを買える
生者は魔法で想像が思い通りになったり夢を届けたり元の世界ではできないことがたくさんできる
でもちょっと気を抜くと夜の世界の住人になるリスクもある
そんなわくわくと危うさを両立させた世界観がものすごく気に入った

夜の国の説明はかなり長く何度もある
でも説明の度に新しいことを知るので自分はこの説明パートはかなり楽しめた
図書館での記録や人形のパーツのことなどこの世界観の新たな要素が分かる度に一体どこまで掘り下げるのかって思ったものだ
ここまで世界観を徹底的に掘り下げる作品ってなかなかないんじゃないかと思った

●独特な文章

この作品はかなり癖のある文章を書く
まわりくどい言い回しや繰り返しの言葉でこの作品の世界観や雰囲気を表現している

このまわりくどい説明と夜の国の背景とが組み合わさり夜の国への没入感を強めたといえるだろう
まわりくどくはあるけど徹底的に掘り下げるならこれくらいは必要なんじゃないかとプレイして数ヶ月経って思えるようになった(今作をクリアしたのは6月中旬ほど)

今作をプレイしてからいろんなエロゲをプレイしたけどここまで外堀と中身の2つを徹底的に掘り下げた作品は未だに出会えていない(9/18現在)
他の作品をプレイするほど今作は異質なものだなと思う

●個別ルートの完成度の高さ

各ヒロインの個別ルートが他の作品の本命ルート以上に高い質とテキスト量をほこる
自分は今までアニメや漫画やゲームなどで感動して泣いたことないがこの作品のしょっぱなの千和ルートで2回も号泣した
その後も含めてこの作品だけで5回も泣いた
それだけでかなりのシナリオの完成度の高さが分かるのではないだろうか

●曲

作中のBGMもだけどopやedもかなり泣きを誘発させる
自分が泣いた要因もこの曲補正がかなり大きいと思った 
未だに定期的に聴くほど好きなの曲

●さくらreincarnation
●さくらreincarnation Arrange
●終わらない物語
●花あかりの時
●花あかりの時Arrange
●はるのあしあと

●一人はみんなのために、みんなは一人のために

この作品を表すのに丁度いい言葉だと思う
登場キャラみんな大切な人のために自己犠牲を厭わず行動してる
その結果全然上手くいかなかったり逆に悪化したりでみててきついシーンが結構あった
でも魔法を駆使してどうにか成功した時の喜びは計り知れない
その魔法もただで使えるわけではなくかなり大きな代償を支払わなきゃいけない
せっかく助けたのに自分は代償で苦しむなんて場面はしょっちゅう
自分はこういう究極的な自己犠牲に涙腺もってかれやすいのかもしれない

●伏線回収

この作品ほど伏線をばらまいて回収しまくる作品を知らない
2つ3つどころの問題ではなく大量に撒かれている
小さいものから大きなものあるけど回収の仕方が本当に上手くて毎回感動と驚きでいっぱいになる
正直一番は決められないから好きなのをいくつか出す

●クロルート冒頭の夜の王の場面
●ハルルートの泰雅を殺した夜の住人
●冒頭のチョコの場面
●クロなのに白っぽい外見

【ヒロイン】

●千和

自分は千和ルートからやった
ちっこくて泰雅を好きなのににちょっと冷たくして人見知りしちゃうという雑にかわいさマシマシ 次郎系ラーメンのような感じだ
これはみんな思ったかもしれないが千和の告白を泰雅が茶化したのは割と本気で殺意沸いた
まあそこからナハト ソルの夜の住人が出てから面白さが急上昇したおかげで許せるけど
その前の全校生徒の前で千和に告白する「学校へ行こう」を彷彿とさせる展開もなかなか気に入った
千和ルートではエンディングとその後のナハトの2回泣いた
ラスト付近で千和が病気になってそのまま死にそうななって萎えてたけどed後のナハトが最高すぎたな

終盤で大雅と智仁が世界中旅するシーンも地味に好きだ
本当の親友って感じがすごく伝わった

自分としてはクロルートか千和ルートどっちも甲乙つけがたいほど好きでどれが一番かは決められない

●姫織

方向音痴で食いしん坊でただのバカキャラかと思ったけどそれにもちゃんと意味があり物語に大きく関わっていくのは流石だと思った(しょっぱな千和ルートやってからこのゲームはヤバいって気づいた)
ただやっぱ自分としてはその前の十夜の話が好きすぎる
せっかく友達ができてもその友達が大人になって自分のことを忘れて•••
こんなことを繰り返すのはあまりに悲しすぎる
だからこそ友達が十夜とのさよならをするために夜の住人になって再会できたのは最高に感動した(3回目はここで泣いた)

肝心の姫織の話は自分が母親の代わりに生まれてその命を返すというもの
普段はおちゃらけてる姫織らしからぬなかなか悲しい話だった

●ハル

冒頭の女装騒ぎはちょっとどうかと思ったけどその後のシナリオは最高なのであまり気にならなかった
文化祭でタイトル回収とともに智仁の言う俺が音楽になるって台詞の本当の意味も分かった
あれはただのおちゃらけではなく本当なんだなって驚いた
さくらreincarnationの曲をますます好きになったし文化祭イベントはかなり好きだ

今作何が恐ろしいって智仁の近親相姦がサラッと流されてることだな
他の作品だったらメインのシナリオの一つになってもおかしくないくらいなのに普通にスルーされててかなり驚いたな
でも近親相姦なんてどうでもよくなるくらいいろんな素晴らしい要素が詰め込まれてるからな

メインのハルのシナリオは泰雅を幸せにするために自分が死ぬという非常に悲しい魔法を選んでいた
しかも代償が誰にも知られないことなのでどうしようもない
ここでようやく時間を超えるという概念が出てきて過去や未来を行き来してさらに複雑になった
ハルを助けるために何度も自殺して心が折れかけるのは本当に見てられなかった(4回目はここで泣いた)

●クロ

このルートは書くこと多すぎからあえて多くは語らないことにする
一番心にきた場面はやっぱり「本当の代償は夜の王になること」 ここの伏線回収だろうな(5回目はこの後の「生まれてきてありがとう」で泣いた)

【体験版からやるべし】

この作品は絶対に体験版をまずやるべきだ
タイトルやあらすじやopだけでは内容が全然分からないので予想と全然違うことになるだろう
しかもこの作品は非常に人を選ぶ作品だとも思った

まず最初に書いたように設定や話が非常に複雑
特にクロルートなんかは回想シーンの中にさらに回想シーンが出てきたり未来の話から急に過去の話になって頭がパンクしそうになった
他のブログも見たらメモとりながら時折図など書きながらプレイしてる人が結構いたのでそれはいいと思った
それくらいしないと話についてこれずこの作品をフルに楽しむことができなくなる
次にこれも繰り返しになるけど文章がかなり独特
地の文多いし長ったらしい表現でイライラする可能性もある
あとは日常シーンかな
自分はあまり気にならなかったけどこの作品の日常シーンは結構退屈に感じる人がいるらしい

体験版をやって最初の夜の国の説明や日常シーンやらでギブアップするならたぶんこの作品は合わないので素直に他の作品をプレイした方がいいだろう

自分の場合は話があまり動かず確かに退屈には思ったけどこの作品の世界観や雰囲気が最高すぎたのでプレイに支障は出なかった

【総合評価】

いろんな人のレビューでも書いてあったけど今作はダメな人にとっては全然ダメでハマる人は至高の逸作になるほどハマる
という印象がとても強い
50〜70点で今作を評価する人はかなり少ないと思う
自分はこの作品はopの時点でとんでもないほど最高なゲームだと確信して速攻で体験版をプレイした
案の定世界観や雰囲気が最高すぎて一気にのめり込むようになった
自分はこんなにも好きだけど人に勧められる作品ではない
自分から言えることとしてはやはり
「体験版をやれば全てが分かる」 といったところだ

点数は確かに100だけどこれはしょっぱなの千和ルートが終わった時点でついてたので本当は200点くらいにはなってる
ただドラゴンボールみたいにインフレさせないためにあえて100点満点方式を維持した
これは例えるならあまりに強い妖怪はみんなS級妖怪にしようっていう幽遊白書みたいなものだな
一口に100点といっても差はかなりある

エロゲというものがこんなにいいものだとは知らなかった
もっと早くハマってればよかったと後悔するレベルだ
これからもいい作品に出会えるといいな
今作は自分が今までみてきた漫画やアニメとかと比べても一番と言っても過言ではないほど気に入った
シナリオの完成度だけに着目するなら迷わず一番だ


【さくら、もゆをプレイしてよかったこと悪かったこと】

●よかったこと

この作品は何度も書いたけどかなり難しい内容だから1日のプレイは2.3時間が限界だった
それだけでもう頭パンクしそうになって次の日までできなくなる
これを割と早いうちにプレイしたおかげか他のノベルゲームでは全然詰まったことがない

これよりも難しいゲームはそうそうないのでこれからのノベルゲーム人生を考えると結構特したかもしれない

●悪かったこと

この作品は自分の好みにあまりに合いすぎた
その結果本当は200点にいきかねないほど高い点数になった
ただそれは今後これに匹敵する作品が出る可能性の低さも表してると思った
ちょっとプレイするのが早かったなあって思ってしまう
仮に来年これをプレイしてもぶっちぎりで100点になってたと思う

(9/18現在でも今作が頂点なのは変わらず)




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