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本当の初学者向け神経解剖学3

 本当の初学者が初学者の視点で書いたものが最も初学者に適した物である、という名目で備忘録を残しました。厳密な交渉は全くされていないどころの話ではないものであることを承知の上でご参照ください。労力の問題で図は用意できていませんので、教科書を参照いただくと良いと思います。


中脳

中脳・・・下方で橋に、上方で間脳に連なる。

表面の観察

中脳蓋・・・それぞれ1対の上丘と下丘(四丘体)からなる中脳水道より背側の部
上丘
下丘
視蓋前域・・・上丘の前方の狭い領域。視蓋前域核がある。対光反射に関わる。
中脳被蓋・・・大脳脚(広義)の背側部で中脳水道と黒質の間
大脳脚(狭義)・・・大脳脚(広義)の腹側部で黒質より腹側にある。左右の大脳脚の間(脚間窩)より動眼神経が、下丘の下方より滑車神経が出る

断面の観察

上丘核と下丘核・・・上丘、下丘内にある、それぞれ視覚および聴覚に関連する
視蓋前域・・・上丘より上方の間脳との境界領域、瞳孔反射と眼球運動に関連する
大脳脚(狭義)・・・皮質脊髄路と皮質橋核路が通過する。
黒質・・・中脳被蓋の腹側にある、主に線条体と相互に連絡するドーパミンニューロンからなる
赤核・・・上丘の位置の」中脳被蓋にある運動関連神経核
中脳水道・・・第三脳室(間脳)と第四脳室(橋~延髄)をつなぐ細長い脳室

脳神経核

遠心性
滑車神経核・・・上斜筋を支配する
動眼神経核、動眼神経副核・・・外眼筋、内眼筋を支配する
求心性
三叉神経中脳路核・・・咀嚼筋、歯根筋、外眼筋の深部感覚

反射

輻輳調節反射(近見反射)

小脳

 第4脳室を挟んで橋の背側に位置する。上、中、下小脳脚によりそれぞれ中脳、橋、延髄と接続している。第4脳室を挟んで後脳(橋)の背側に位置する。上、中、下小脳脚により中脳、橋、延髄と連絡する。正中の虫部と外側部の半球からなる。小脳は前庭小脳、脊髄小脳、橋小脳に分類できる。断面は皮質と髄質からなり、皮質は分子層、プルキンエ細胞層、顆粒層の3層からなる。髄質深部に4つの小脳核という灰白質がある。

表面の観察


第4脳室
小脳後頭蓋窩
小脳テント
上小脳脚・・・小脳視床路、小脳赤核路などが通る。主に出力繊維からなる。
中小脳脚・・・橋核小脳路などが通る。主に入力繊維からなる。
下小脳脚・・・後脊髄小脳路、オリーブ小脳路、前提入出力などが通る。主に入力繊維からなる。
虫部
小脳半球
小脳回
小脳溝
虫部傍部
前葉(古小脳)
後葉(新小脳)
第一裂
後外側裂
片葉小節葉(原小脳)・・・系統発生学的に最も古い。平衡感覚入力を受けることから前庭小脳とも呼ばれる。

断面の観察

小脳の皮質は3つの層からなる
小脳皮質=分子層+プルキンエ細胞層+顆粒層
分子層・・・星状細胞、籠細胞、平行線維が存在する
プルキンエ細胞層・・・プルキンエ細胞が存在する。皮質外投射ニューロンであり小脳核に投射する
顆粒層・・・顆粒細胞、ゴルジ細胞からなる。平行線維を介して皮質分子層へ投射する。

小脳の分類

小脳は役割により3つに分類される
小脳=前庭小脳+脊髄小脳+橋小脳
前庭小脳・・・眼球運動、身体の平衡バランス
脊髄小脳・・・姿勢・体位の制御
橋(大脳)小脳・・・運動の円滑化、運動学習

小脳核・・髄質に存在する灰白質
小脳には4つの核が存在する。小脳の出力先によって経由する神経核が異なる。
外側核
歯状核・・・小脳半球外側部→歯状核→赤核、VL核
中位核
球状核・・・小脳半球虫部傍部→球状核→赤核、VL核
栓状核・・・小脳半球虫部傍部→栓状核→赤核、VL核
内側核
室頂核・・・小脳虫部→室頂核→網様体or前庭神経核
歯状核門・・・歯状核と栓状核の間の部分

線維の分類

登上線維・・・下オリーブ核から小脳皮質のプルキンエ細胞への入力をするオリーブ小脳路のこと。下小脳脚を通る。
苔状線維(たいじょうせんい)・・・下オリーブ核以外すべての小脳への入力線維のこと。顆粒細胞(糸球体)に投射し、 平行線維を介してプルキンエ細胞などに入力する。多くは下小脳脚は小脳脚を通り小脳へ入力するが橋核小脳路のみ中小脳脚を通る。
小脳入力線維・・・小脳外から小脳皮質へ入力する神経
前庭小脳路
直接前庭小脳線維
後脊髄小脳路
橋小脳路
小脳皮質出力線維・・・小脳皮質から外部へ出力する線維。
小脳半球外側部→歯状核→赤核、VL核
小脳半球虫部傍部→球状核→赤核、VL核
小脳半球虫部傍部→栓状核→赤核、VL核
小脳虫部→室頂核→網様体or前庭神経核

コラム


新小脳障害・・・鼻・指・鼻試験や回内回外試験によって新小脳(後葉)の機能障害を検査する。

間脳

間脳・・・下方で中脳に連なり、周辺は左右の大脳半球に覆われている。

表面の観察

上丘
下丘
松果体
大脳脚
内側膝状体
外側肘状体
第3脳室
視床下溝
視床
視床下部

断面の観察

松果体・・・視床上部に属し、メラトニンの分泌を介して概日周期に関わる
内包・・・大脳皮質の入出力投射線維の集合体、好発する血管障害により対側片麻痺を生じる

間脳の区分

間脳視床脳視床下部
視床脳視床上部視床
視床背側視床腹側視床

視床

視床は機能で4つに分類される
視床特殊核連合核非特殊核網様核

特殊核=後腹側核+腹側核+視床後部
後腹側核
VPL・・・脊髄からの頭部以外の体性感覚を大脳皮質の1次体性感覚野に中継する
VPM・・・三叉神経からの頭部の体性感覚を大脳皮質の1次体性感覚野に中継する
腹側核
VA・VL・・・大脳基底核(淡蒼球)や小脳核からの入力を大脳皮質運動野に中継する核
視床後部
LGB・MGB・・・それぞれ視覚と聴覚入力を1次視覚野1次聴覚野へ中継する

非特殊核
CMPf視床髄版内核郡)・・・脳幹網様体などからの感覚入力を受け大脳皮質に広く投射する 上行性網様体賦活系の中継核

視床下部

視床下部は脳幹網様体に投射して自律神経を支配する。加えて下垂体からのホルモン分泌を制御することから自律神経と下垂体の最高中枢と呼ばれる。
視索上核・室傍核・・・下垂体後葉に投射し、バソプレッシンとオキシトシンを下垂体後葉で分泌する
漏斗核(弓状核)・・・下垂体漏斗に投射し、視床下部ホルモンを下垂体前葉に分泌する
乳頭体・・・脳弓の前端に位置し、パペッツの情動回路を構成する大脳辺縁系の中継核
視交差上核・・・概日周期の発信中枢であり松果体のメラトニン分泌などを24時間周期で制御する
脳弓・・・海馬から乳頭体への投射線維のこと
内包・・・大脳皮質内外を連絡する脳内最大の投射線維郡。内包の後脚を皮質脊髄路が通り、内包膝を皮質核路が通っている。レンズ核線条体動脈ホイブナー反回動脈前脈絡叢動脈などが栄養している。

大脳基底核

大脳基底核・・・ほぼ視床と島皮質の間に位置し、内包が内部を通過する。
大脳基底核は位置で尾状核、被殻、淡蒼球の3つの部位からなる
尾状核
被殻
淡蒼球

線条体=尾状核+被殻
レンズ核=被殻+淡蒼球

神経回路

主経路
運動野 → 線条体 → 淡蒼球 → 視床腹側核群(VA+VL)→ 運動野
副経路

  1. 線条体 ⇄ 中脳黒質・・・中脳黒質でドーパミンが分泌される。壊死によりパーキンソン病が起きる。

  2. 淡蒼球 ⇄ 視床下核

表面の観察

扁桃体・・・尾状核尾の前方、側頭葉前内側部の海馬鈎内部にあるアーモンド形の神経核 大脳辺縁系とのつながりが強く、恐怖などの情動や本能などに関連する
マイネルト基底核・・・大脳基底核の腹側に存在する前脳基底部にあるコリン作動性神経核。 大脳皮質前域に広く投射し、脳の“覚醒”状態に関与し、アルツハイマー病に関連する神経核とされている。

コラム

大脳基底核障害による不随意運動

  1. 振戦(パーキンソン病)

  2. アテトーゼ

  3. 舞踏様運動(ハンチントン病)

  4. バリスム・・・視床下核の障害により生じる

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