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ちひろ美術館

いわさきちひろは、子どもの頃から大好きでした。そして、アトリエを兼ねた自宅跡地に建てられた「ちひろ美術館」へは何度か訪ねていました。

今日は、久しぶり。何年ぶりでしょう。
2024年は没後50年とのことで、特別企画が開催されていました。

ひと通り鑑賞して、帰ろかな、というタイミングで「ギャラリートーク」というイベントを知り、参加したのです。

このときのテーマは、「あれ これ いのち」
学芸員の方が、ちひろの絵の解説と、テーマに沿った楽しむヒントをお話ししてくださいます。

ちひろは、子どもと植物を得意としていました。植物の種類が特定できるほどに観察して特徴を捉えているのです。その植物や、虫や鳥、生き物は特別ではない、身近なもの。住まいがあった練馬区の自然を描いていたそうです。当時は、練馬区のこの近辺は畑や雑木林が多く、舗装されていない道路もあって、全く別の世界のよう。

美術館の庭に出て、日本の昔から身近にあった様々な植物を植えた一角を紹介されました。美術館の方達で植えたそうです。この土地に元々合うはずの植物なので、あまり手入れせずにどのように変化するかを見守るそうです。「共生の庭」と名付けられていました。


アジサイが見頃

昭和の子どもだった私は、しばし思い出に浸ります。昭和はもちろん良いことばかりではありません。令和の子どもが羨ましいことも多くあります。

ただ、昭和の良いところの一つは、「なんでもないところ」がたくさんあったこと。いわゆる空き地というか、野っぱらというか。柵も囲いもない、遊び場がどこにでもあったのです。草花があって、虫もザリガニも鳥もいて、名前がわからなくても季節になると、ここにいるとか、ほんのり甘い味がする草とかを知っていた。

もう一つ、「大人がとやかく言わない」かな。かなり危険な遊びも冒険もやった。今なら絶対に禁止なことも。小さな怪我はいつものことで、大事に至らなかったのは、子どもならではの反射神経と友達の助けのおかげでしょう。

ちひろの子どもの絵に描かれている草花は、まったく飾りではなく、いつも手を伸ばすと身近にあったもの。季節を教えてくれる草花なのです。

私が子ども時代を過ごした場所は、練馬区よりも西の多摩地域。区内より少し遅れて開発されてきたので、野原や空き地とそこにあった小さい世界が遊び場として残っていたのでしょう。ちひろの描く絵がすんなり私の中に入ってくるのは、忘れていたけど沁み込んでいた感覚だったのかもしれません。

住宅街にある美術館ではないような

今日は、いつもの「いわさきちひろ美術館」と違った印象を受けました。「ギャラリートーク」に参加できて本当に良かった。
絵だけを鑑賞するのではなく、子どもや植物や昆虫を見つめているちひろさんの背中越しに絵を感じられたのかもしれません。

不思議な余韻を感じつつ、美味しいおやつを食べに行きましょうか。
さて、そうなれば・・・

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