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黒い馬がみどりの原を走る

乾いた幹や枝がぐっと水分を引き上げて、
黒いつややかな馬となり、
柔らかな緑の草原を春風に乗って走り去る。

府中は、もちろん桜並木も素晴らしいのだけど、大國魂神社へ続くケヤキ並木が美しいと思うのです。
ケヤキは日本中どこでもある、かもしれませんが、私はここの並木道が大好き。並木道としての歴史もあり、ケヤキの木としての色と形の良さがあるのです。
水分をしっかりと含んだ黒いくらいのみずみずしい枝が、引き締まったサラブレッドの脚のようだと以前から思っていました。そして、明るい緑の若葉が映えて、これぞ府中の春。

並木道を歩き、大國魂神社へ向かいました。

偉大なる神社「大國魂神社(オオクニタマ神社)」

この時は何も行事がない普通の日曜日の夕方ですが、お参りに来る人通りは意外と多い印象でした。

府中駅方面を望む

大鳥居を背に府中駅方面を眺めたところです。駅も線路も高架ですが、ケヤキに隠れて見えませんね。

源義家公の像


府中駅前には、神事を含めて4月末から5月初めに行われる「くらやみ祭」の案内看板が掲げられていました。

くらやみ祭の案内

くらやみ祭は、1000年超の歴史ある、本来は夜の暗やみで行われた祭りです。歴史の古さは祭りの装束でもわかります。神輿を担ぐ人たちは「白丁」という神に仕える者の聖なる衣装をまとい、白い烏帽子(だと思う)を被っています。

府中だけでなく、多摩地区全体の祭りといった感じです。府中は武蔵野国の国府が置かれていたので、当然かもしれません。「武蔵国 国府祭」でもあるのですから。父は子どもの頃、府中の親戚の家に泊まって、祭りを見に行ったそうです。私も子どもの頃は日中だけですけど、親に連れられて見に来ていました。

本当は暗やみなのですが、近年は真っ暗にはしません。まぁ、昔は「真っ暗闇の中の祭り」ということで、色々な問題もあったようで・・・

大国魂神社の例大祭は、4月30日の品川海上禊祓式から5月6日の神輿還御までの7日間に様々な神事がおこなわれます。

くらやみ祭といわれるのは、その昔、神輿渡御が深夜に街の明かりを全て消した暗闇の中で行われたことからこう呼ばれるようになりました。

祭りのメインは、5月5日。午後6時の花火の合図とともに、国内最大級の6張りの大太鼓が地鳴りのごとく打ち鳴らされ、“おいで”と呼ばれる神輿渡御が行われます。8基の神輿は、大太鼓と提灯の灯りに導かれ、神社本殿から御旅所(旧甲州街道と府中街道の交差点)まで渡御されます。期間中はおよそ80万人の人出でにぎわいます。

府中観光協会公式HP

ここには描かれていないけれど、祭りの期間中は境内に屋台が並びます。近年は見なくなりましたが、以前は見世物小屋も出ていました。子どものころの風景です。怪しい看板が気味が悪くて、入ったことはありませんが。

そして、なにより忘れてはいけないのは、植木市なのです。
小学生の頃、「好きな木を選んでいいよ」と言われて買ってもらった「ハナカイドウ」は実家の庭に植えられていました。桜より濃いピンク色のかわいい花が咲きます。数年前に実家を建て替えたときに庭も整理されたので、今はもうありません。

大國魂神社へのケヤキ並木が最も輝き美しい季節は、太陽の日差しが強くなるにしたがって夏の色へ変わっていきます。
ケヤキ越しの緑の日差しを受けに、また来なくては😊

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