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ライト層目線!Mリーグ2021ダイジェスト#23【3月第2週】レギュラーシーズン最終週


Day87 まさかの7連対


レギュラーシーズンも各チーム残り4試合となり、個人タイトル争いも大詰め。

個人戦に関しては三賞が設けられ、規定打半荘数20試合以上の選手が対象となる。個人の総合スコア、1試合での最多獲得スコア、ラス回避率の各トップ選手が受賞するが、三賞のうち、個人総合スコア1位を獲得した選手はシーズンMVPとして表彰され、優勝シャーレを模したガラス製のメダルが授与される。その他のタイトル獲得者には銀のメダルが授与される。

過去のMVPは

2018年 多井 隆晴 476.3pt
2019年 魚谷 侑未 451.4pt
2020年 佐々木寿人 494.1pt

2021シーズン、ここまでのポイント状況は

1位 瑞原 明奈 427.9pt
2位 沢崎 誠  345.6pt
3位 堀 慎吾  299.5pt
4位 滝沢 和典 279.0pt
5位 松ヶ瀬隆弥 272.1pt 

1位は瑞原プロだが、残り4試合に出場するかどうかが注目されている。仮に出場して4着となった場合、MVP争いから大きく後退してしまうので、チームとしても簡単には出場させないことが予想される。

3月7日 第1試合

個人総合2位につける沢崎プロ、5位につける松ヶ瀬プロが出場。沢崎プロは瑞原プロを土俵に引きずり出すために、この試合でポイントを積み上げてプレッシャーをかけたい。

パイレーツは朝倉プロが出場。ここで沢崎プロより上位に立てば、チームメイトのMVPをアシストできる。ABEMASからは日向藍子。チームのポイントを1ポイントでも稼ぎたい。

東1局。朝倉プロがリーチして自模り、裏・裏をのせて6000オールと絶好のスタートを決める。

一方、沢崎プロも続く東1局1本場で8000点を上がり、東2局2本場でも4000オールを決めてトップ目に立つ。

東4局の親番を迎えた松ヶ瀬プロは8200点持ちの4着目。この日まだ上がりがなかったが、ここで筒子の清一色を聴牌。しかし、これも沢崎プロがタンヤオのみ300-500で撃破してしまう。

朝倉プロも南1局親番、七対子でリーチを放つが流局。1本場では何とか鳴いてタンヤオを上がり、喰らいついていくが、2本場でテンパイまでたどり着けず、親が流れてしまう。

南2局はまた沢崎プロのターンになった。親の日向プロのリーチに追いかけて自模り上げる。2000-4000。南4局も2つ仕掛けてから300-500を上がり盤石のゲームメイクでトップを獲得。

沢崎プロの勝利で上位のポイント差はこうなった。

1位 瑞原 明奈 427.9pt
2位 沢崎 誠  415.1pt
3位 堀 慎吾  299.5pt

1位と2位の差は12.8pt。このまま連投すれば逆転も十分にあり得る状況になったが、インタビューで沢崎プロは

「ここでトップ獲ると・・決まっちゃうんじゃないかと思うから、あんまりでない方がいいかなとも思うし。最終日まで争った方がいいんじゃないの、とも思うしね。まずは、最後までMVP争いができたことで第一段階はクリアできたのかなと思います」

と外連味のない表情で、にこやかに語った。

沢崎プロはシーズン超終盤で7戦連続連対という驚異の粘りを見せて、ついに首位迄あと一歩というところまで来てしまった。

世間は”終活”がブームだが、67歳でもこれだけ活躍できる世界があることを世のシニア世代にも、ぜひ知ってほしい。


この時点のMVP争いはこうなっている

1位 瑞原 明奈 427.9pt
2位 沢崎 誠  415.1pt
3位 堀 慎吾  299.5pt

残り3試合で1位と130pt差というのが堀プロの現状だ。

3月7日 第2試合

サクラナイツは堀慎吾。ABEMAS白鳥翔、風林火山勝又健志、パイレーツ朝倉康心。なぜか、各チームの曲者系の雀士が集合した。

この試合は総局数14局で上がりが10回。各者1~2回の放銃を伴っており、乱打戦かつ、ロングゲームになった。

この試合を象徴するのは東3局だろう。

曲者度合いにかけてはMリーガートップクラスの白鳥プロが、8巡目に七対子を聴牌しリーチをかけるが、待ちがとんでもない待ちだった。

第1打が1pで、その後4p、5pとヒントとなる河8枚のうち、3枚が筒子の下の方が捨てられていた。

まさか、待ちが2p単騎だとは思わない。

2pは5pの筋にもなっている。

安全牌に窮した堀プロは暗刻にしていた2pに手をかけ、白鳥プロに捕まった。

リーチ・七対子・ドラ・ドラ・赤 12000点。

南場に入った段階で堀プロは3400点持ちまで点数を減らしたが、南場でも堀プロのターンは来ず-5100点の箱下で試合が終了した。

堀プロ、MVP争いから脱落。

とはいえ、シーズン1/3は個人成績は下位に沈んでいたのだから、よくここまで追い上げたものである。

この試合では、東4局で朝倉プロがリーチをかける中、流局寸前に勝又プロが形式(?)チーをして、海底ツモ番を白鳥プロに送り込むなど、随所に曲者たちの技も繰り出された。

結果としては、南4局オーラスで、白鳥プロが粘って親番を続け、待望の6000オールをツモって逆転トップを決めた。試合終了後に、にやり笑みをこぼした白鳥プロは、最後まで曲者らしさを見せつけてくれた。


Day88 麻雀バガボンド

MVP争い3位の堀プロが箱下となって6位に落ち、残り3日で以下の並びとなった。

1位 瑞原 明奈 427.9pt
2位 沢崎 誠  415.1pt
3位 滝沢 和典 279.0pt
4位 伊達朱里紗 269.5pt
5位 茅森 早香 267.3pt

ほぼ上位2名に絞られた感はあるが、この日第1試合に登板する滝沢プロが連投していけば、上位争いに食い込める可能性を残していた。

3月8日 第1試合

シーズン序盤から陰となってチームの躍進を下支えしてきた滝沢プロ。この大詰めに来て、あと一歩で日の当たる場所に立つことになる。

しかし、第1試合の東3局で4000オールを決めたのは、同じく微かにMVPの目を残す茅森プロ。

滝沢プロも1本場で自風の北を切って萬子の清一色へ歩を進める。茅森プロのリーチ、瀬戸熊プロの混一色テンパイを交わし、仕掛けを入れて4面張の聴牌を入れ、瀬戸熊プロから12000を和了。茅森プロを追い上げる。瀬戸熊プロも自身の親番であり、覚悟の一打であったが砕け散る。

南場に入り、このまま負けられないドリブンズ村上プロが、茅森プロから3900、12000と直撃をとり、南4局を迎えた時点で厘差だがトップ目に立つ。

2000点差で2着目の滝沢プロ。南4局オーラスの配牌はトップへの特急券となるドラ発暗刻が配られた。村上プロも最後まで抵抗したが、最後は滝沢プロが待ち牌のカン7sをきっちり自模りトップを決めた。


1位 瑞原 明奈 427.9pt
2位 沢崎 誠  415.1pt
3位 滝沢 和典 337.7pt

チーム残り3戦となった格闘倶楽部。上記のMVP点数状況となり、滝沢プロが奇跡の逆転MVPに向けて連投した。

3月8日 第2試合

フェニックスから魚谷侑未、ドリブンズから鈴木たろう、雷電から黒沢咲が登板。

試合は東1局から黒沢プロの3000-6000がさく裂するが、東2局で滝沢プロはリーチから裏を2枚のせて8000点を上がり、トップの黒沢プロを追いかける。

その後、魚谷プロ、たろうプロも挽回し南2局を終えて全員が2万点台の接近戦となり、4者もつれた状態で南4局オーラスを迎えた。トップとラスの点数差は5100点しかなく、全員にトップとラス、両方の可能性がある。

南4局

上がればトップのたろうプロは仕掛けてテンパイ。黒沢プロもメンホンをテンパイ。魚谷プロもイーシャンテン。親の滝沢プロもテンパイからリーチ。

上がった人が勝つ


滝沢プロは待ちがペン7m

苦しいが、これを乗り越えないとMVPはない。このめくり合いに勝った人がこの局のトップだ。

そして滝沢プロは危険牌2pを掴み、やむなくそのまま河に置いた。

ロン

黒沢プロの手が開かれ、整った面前混一色の手が見せられた。

滝沢プロ。MVPまであと一歩というところで散る。


栄光と挫折を経て辿りついたMリーグ。風林火山から格闘倶楽部への戦いの場を変えながら、闘牌を続ける”麻雀バガボンド”

滝沢和典のポストシーズン活躍を期待したい。



Day89 ドリブンズが目指す場所


3月10日 第1試合

今日で、ABEMAS・格闘倶楽部・ドリブンズ・フェニックスの4チームはその戦いをいったん終える。

ボーダー争いも、MVP争いもほぼ固まりつつあるこの日、第1試合にはそれぞれこの試合を ”区切り” とすべく各選手が登板した。

直近3試合で3連敗を喫している風林火山の瑠美プロ
個人ポイントがチーム内で唯一のマイナスの魚谷プロ
4年連続200ptまであと10.5ptの多井プロ

そんなメンバーに、個人ポイント61.3pt、チーム順位はほぼ7位確定のドリブンズ丸山プロが登板した。


試合開始から、多井プロ、瑠美プロが上がりを決めていくが、東3局にようやく丸山プロもリーチをかける。ダブドラ5m内蔵の高打点が見込まれる手だが、魚谷プロとのめくり合いに敗れ、逆に8000点の放銃でポイントを減らす。

南場に入り一人11700点と点数を減らしていた丸山プロ。しかし、南1局で先制リーチをかけた多井プロの当たり牌6・7pを4枚も吸収して七対子をテンパイさせ、リーチで追いかける。だが丸山プロのターンは来ず、ここも多井プロが自力で自模ってしまい、点数は8700点まで減ってしまう。

迎えた南2局の親番。ここまでことごとくリーチ対決に敗れてきた丸山プロはめげずにリーチをかけた。手は平和・ドラ1だが、親番でのリーチ。待ちは4・7p。ここは何としてもモノにしたい。

一発目のツモ、丸山プロの右手はしっかり4pを掴んだ。ツモ・一発・裏の3飜が加わり6000オール。3人を一気に抜き去りトップに躍り出る。この上がりに日本中が湧いた。(たぶん)

しかし、この試合で丸山プロのあがりはこの1回だけだった。南3・4局は多井プロが流石の上がりを決めてトップに返り咲き、4年連続200ptという大記録を達成し、おそらく4着回避率でもタイトル獲得を確実にした。

丸山プロは23700点持ちの3着。オカと順位点10ptが減算され-16.3pt、年間45ptが最終のスコアとなった。

1月27日以降、チームは丸山プロを控えに置いて23試合を消化。日に日に厳しくなる戦況に比例して、主にドリブンズファン以外からのドリブンズへのSNS上の批判は大きくなっていった。

ファイトクラブ等、出場回数を全員同程度にするチームのファンからすれば、チームで唯一の女流プロを出さずに戦うドリブンズはフェアじゃないと映る。

方やドリブンズファンからすると、大事な終盤に所属団体でA1、A2リーガーの男性3人を出さずに、D1リーガーの女流プロを出す理由がないということが先にくる。

そこまで勝負にこだわったものの、男性3人で敗退を決めてしまったのは痛かった。

この終盤で一つ明らかになったのは、ドリブンズおよびドリブンズファンは全試合において「最善の打牌」を求めているということだ。結果が伴えば言うことはないが、結果が伴わなくても、最善の一打を打ったこと自体に意味があり、評価される。

その意味では、シーズン終盤の緊迫した場面での一打ならなおさら、A1・A2リーガーに最善の一打を託すことになるだろう。

各チームにも打牌選択にフォーカスしてMリーグを楽しむファンも少なくないが、ドリブンズは特に打牌選択に重きを置いたチームであることを他チームのファンもある程度理解する必要があるのかもしれない。それは、他チームとはベクトルがやや違うかもしれないが、チーム自体に”個性”があることは悪いことではないはずだ。


3月10日 第2試合

フェニックスは連投の魚谷侑未、風林火山は勝又健志、ABEMASは松本吉弘、ドリブンズは園田賢がレギュラーシーズン最終戦を任された。

この試合は園田プロは勝又プロに大いにやられてしまった。

南2局、勝又プロが7巡目でタンヤオ、平和を2・5p待ちでテンパイしたが、なぜかいったんヤミテンとする。そして、すぐに松本プロから2pが打ち出された。

・・・

勝又プロ、上がりを宣言しない。意図的に見逃した。そして、自身の手番で空切ってリーチをかける。他家にはこう映る ”2pは当たり牌ではないし、仮に2pでも役なしの安手です” といった感じか。

直後に園田プロが2pを自模って、動きが止まる。何かを察したか?その脳裏に浮かぶ疑問。

”なぜ1巡まわしたか?”

松本プロが2pを捨てた時と、今現在で勝又プロの手牌に変化はナイ。仮にこの2・5p待ちなら、1巡まわす必要はなく、すぐにリーチをかけているはず。。。

2p

切ってしまった

ロン

3900。清々しく牌を開く勝又プロ。

明かにいぶかしげな表情で、上がりを確認する園田プロ。勝又プロは平然と点棒が払われるのを待っている。

タンヤオ・平和にリーチがついて、トップ目からの直撃に成功。これ以上ない成果を出した勝又プロ。

「あんなことあります?」

と試合後のインタビューで大いに嘆いた。特に得意とする頭脳戦に敗れただけに、悔しさはひとしおだったろう。そのインタビューを腕を組みながら余裕の笑みで眺めていた軍師がいた。

一巡まわした理由について勝又プロは、自身の手を他家から見てどう見えるか、それを演出するため。また、発が鳴かれるかの確認、高打点への手がわりも考えて、と、頭脳派戦士らしい深い思考を語ったが、最後は

「分からなかったですけど」

と、特別の理由はナイといったコメントを残した。

試合は、一時園田プロが大きくトップを走ったが、この2p直撃で勝又プロが逆転し、そのまま再逆転を許さず試合を決めた。


Day90 決着


3月11日 第1試合

サクラナイツからついに今シーズン30試合目の堀慎吾、格闘倶楽部から久々の高宮まり、パイレーツも29戦を数える小林剛、雷電もやや久々の萩原聖人が出場した。

萩原プロが今季初勝利を挙げたのは開催2日目の第1試合で、その後勝利なく開催90日目の最終日を迎えてしまった。今年も厳しい1年になってしまった。

だが、開催56日目、1月11日に「待ってろコバゴー」と宣言したが、そのリベンジの機会がこの最終日にやってきた。

東1局、小林プロがドラ東を暗刻にして2000-4000を上がり、まずはトップに立つ。

今度は萩原プロだ。東2局に仕掛けて1300-2600をあがり小林プロを追う。

東3局も萩原プロが仕掛けて上がりを目指すが、小林プロに放銃。1000点。

手を緩めない萩原プロ。東4局。終盤に聴牌を入れて渾身のリーチ・一発・ツモを決めて2000-4000。ついにトップ目に立つ。

だがしかし、南1局で小林プロが堀プロから8000点を直撃し、萩原プロを再逆転。

萩原プロ、ここで意地を見せる。

南2局の萩原プロ。一盃口を完成させて迷わず中単騎でリーチに出る。この判断が吉と出て小林プロが萩原プロに一発放銃。8000点が移動し、再々逆転で萩原プロがトップに立った。

その差10000点。

2人の殴り合いは最後まで続く。

南3局。小林プロがドラ発をポンしてテンパイ。萩原プロもリーチ。この勝負に勝ったのは小林プロ。ラス牌の3pをツモ上がって2000-4000。再々々逆転で小林プロがトップ目に立った。

南4局オーラスでは小林プロが堀プロから3900を上がり、試合を終わらせた。

コバゴーへのリベンジ

ならず

しかし、萩原プロが目指していたのは、2勝目でも、リベンジでもなくユニバースへの1勝であったが、ならなかった。しかし、インタビューは最後まで熱かった。

連投の2戦目も戦うのみだ。


第1試合で首位の小林プロ。2戦目の瑞原プロ登場を暗に示しながら、サクラナイツ沢崎プロを「叩き潰す」という、小林プロにしては極めて珍しく、心の入ったコメントを残し、最終試合を前に盛り上げた。




レギュラーシーズン最終試合を前に、KADOKAWAサクラナイツのツイートにMリーグファンの間では歓喜の声が上がった。

MVP争いで暫定トップに立っていたU-NEXTパイレーツ瑞原プロは、出場せずに沢崎プロの試合結果を待つ選択も有力であり、出場するにしても1試合目にする、2試合目にする、いくつかの選択肢があった。

しかし、最終日の前日に送られたサクラナイツのツイートで、沢崎プロのシーズン最終試合である2試合目の出場を宣言したのだ。いくつかの選択肢は集約され、瑞原プロに2試合目に出場するよう決闘状を送ったような形になった。

それに対し、翌日U-NEXTパイレーツも以下のツイートで瑞原プロの2試合目の出場を宣言。全サポーターに最大の声援を期待するツイートを発信した。

瑞原プロは開催79日目第1試合以来の出場となるが、一方で沢崎プロは、瑞原プロが出場を控える間に、連対を外すことなく、3回の2着と、1回のトップを獲得して12.8pt差まで追い詰め、ついに瑞原プロを試合に引きずり出した。

2人の最終着順は、この最終局の2人の位置関係で決まる。相手より上であれば2021シーズンのMVPだ。

両チームのサポーターは最大の注目と、声援を送ることになったが、67歳Mリーガーと、2人の幼い子を育てるママさんMリーガーの1年を集約する一騎打ちに、全Mリーグファン、いや、Mリーグファン以外も画面の前に集い注目する大一番になった。

90日目の最終試合もこれまでの内容に沿ったものとなります。ここまでお読みいただいた方で、筆者へのコーヒー一杯としてご購入いただければ幸いです。

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