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ライト層目線!Mリーグ2021ダイジェスト#19【2月第2週】

Day71 キングと国士


2月7日 第1試合

チームはここ5戦トップなし、4着2回と一息のサクラナイツは岡田紗佳。パイレーツから朝倉康心。チームは好調だが自身は2連敗中の風林火山、松ヶ瀬隆弥。ここ20戦で1勝と、ますます厳しい雷電は萩原聖人が登板。

東1局1本場、七対子で親のハネマン12000点を聴牌し闇で構える岡田プロ。これに萩原プロの浮き牌が放銃になると思われたが、先んじて同じくヤミテンしていた松ヶ瀬プロが岡田プロから8000点を直撃。

その後も松ヶ瀬プロが上がり続け、南4局の親番では、2着岡田プロとの差が、ハネマン直撃以外ではトップ逆転しない点数となり、萩原プロに8000点を放銃しながらも手堅く1着を確定させて試合が終了した。

風林火山20勝目でチーム2位に浮上。


南1局の萩原プロの選択を振り返りたい。

この局はトップ目の松ヶ瀬プロが仕掛け、ドラ3内蔵のカン7mのテンパイ。親で2着目の岡田プロが7700確定のカン4mリーチ。

4着目の萩原プロは両面・3面張のイーシャンテンだがマンガンは確定している。

そこに赤5sを自模ってくる。

岡田プロにはダブルワンチャンス。聴牌しているか不明だが、松ヶ瀬プロにも索子は危険に見える。しかし、自身も大チャンス手。これは押すだろう。そう思った。

萩原プロ。降りた。

1sを切ってメンツを壊す。

その後岡田プロが松ヶ瀬プロの当たり牌を掴み、松ヶ瀬プロ独走へ。

面前高打点を掲げる雷電として、面前テンパイなら危険牌でも押してリーチ。面前テンパイ以外なら、面前テンパイ迄はとにかく我慢。という流れもあるとは思うが、この勝負所。

几帳面で繊細な側面を持っている。だから、俳優でもナレーションでも成功してきたと思う。自分はMリーグを見るようになったきっかけは萩原聖人だし、応援もしている。しかし、この打1sは正直がっかりした。


2月7日 第2試合

1戦目岡田プロ2着を受けて、サクラナイツは堀慎吾。朝倉プロの4着を挽回したいパイレーツは今季13戦目石橋伸洋。風林火山トップを引き継ぐのは二階堂亜樹。雷電はやや久々の登板、黒沢咲。

試合は亜樹プロがオーラスで3000-6000を上がって逆転勝利。チームは2連勝で2着に浮上。レギュラーシーズン突破に明るい兆しとなった。


南1局

既に局面は終盤だが、全員テンパイできない。

残り1巡

4着目の親の黒沢プロがリーチ。待ちは3・6p。残り1巡だがまだ牌は山に残っている。

同巡に堀プロが3sをツモってカン4sのテンパイ。リーチならドラ・赤・赤のマンガン以上。リーチ一発目でドラの7mを押せるか、堀プロ長考したが押した。そして、ツモ番ナシのリーチを宣言。

この切られたドラ7mを亜樹プロがポン。亜樹プロも白、6sのシャンポンでテンパイ。トイトイ・ドラ3・高目”白”ならハネマンまである。

3着目石橋プロが国士無双イーシャンテン。聴牌して自模るには巡目は残っていないが、ぎりぎり自身の最終ツモ番で”東”をツモってテンパイに辿りついた。

海底に9sが居れば役満で大逆転だ。

4者テンパイ

全員海底に可能性を残している。

全員高い。

注目が集まった海底は、黒沢プロのツモ番。

結果は

。。

3p

黒沢プロが上がった。2000オール

裏ドラに9sがいた。

石橋プロ国士無双の上がり牌であった。

風林火山が連続1着で+126.9ptの大幅加点
サクラナイツは連続2着で+31pt
雷電は3/4で-67ptの後退
パイレーツは4/3で-90.9ptの後退

Day72 山7


2月8日 第1試合

フェニックスから魚谷侑未。前節気合の連投でトップを取っている。ABEMASから多井隆晴。狙い通りか、ここ2戦で2着を確保。格闘倶楽部から佐々木寿人。伊達プロトップに続きたい。4連続3着とかなり厳しくなってきたドリブンズは村上淳に託した。

そして、村上プロはついに大爆発した。

思えば、この日の試合開始時の挨拶から、村上プロはかなり元気が良かった。

「お願いします!!!」

中学野球部の試合開始の挨拶ぐらい元気が良かった。

まず東2局で多井プロの「三色同刻」を撃破し、東3局でも多井プロのリーチを受けるが2000-4000を自模る。東4局は先制リーチしてそのまま和了。南1局ではまず1000オールを決め、2本場で4000オール。

そして村上プロトップ目で親番連荘のまま、南1局3本場。

寿人プロが自模ればハネマンの先制リーチ。そこにペン3sだが、村上プロも追いかける。

2人のめくり合いになったが、この日の勢いは村上プロにあった。

寿人プロが3sを掴んでしまい放銃。

リーチ・赤の手だったが、暗カンしていた4mに裏ドラがもろにのって親のハネマン18000点、寿人プロへの直撃となった。

この日4回のリーチを宣言した村上プロは快勝。

しかし、ここまで味わった苦汁を考えればこの試合だけでは明らかに不足。もう、ここから、とことんいくしかない。

一方、寿人プロ連敗。個人2連敗でポイントも-267.8pt。今季プラスポイントに復帰できるのか?


2月8日 第2試合

フェニックスから前節快勝の茅森早香。ABEMASから松本吉弘。ドリブンズから鈴木たろう。前節個人連投もまさかの連続3着を引いてしまった。

格闘倶楽部のシートには高宮プロが座っていた。約1か月ぶりの登板だ。

その高宮プロ、東1局1本場の親番だったが、まさかの2巡目に茅森プロが4・7m待ちでリーチ。そして、さっそく7mを掴んでしまう。

この7mに何かを感じたのか、高宮プロはここから暗刻の中を落としていく。これは神回避。続いて4m、7mと、茅森プロの当たり牌をどんどん吸収していく。

回りに回っていた高宮プロだったが2つ目の仕掛けを入れてテンパイに辿りつく。この局は惜しくも流局となったが、高宮プロの超ファインプレーだった。

しかし、フェニックス茅森プロが南3局2本場でリーチ・一発・平和・一盃口・赤の8000点を上がりトップ目に立ち、そのまま逃げ切った。この勝利でセガサミーフェニックスは5位に浮上した。

4着インタビューとなったたろうプロは過去一元気がなかった。何を聞かれても「はい」としか答えられない。伊藤アナもどうしていいのか。

振り返れば南3局の親番。高目3色の手を早々3巡目でリーチを入れ、これが山に7枚もあったのだ。この局を上がれなくては勝ちようがない。

高宮プロ健闘も3着で寿人プロラスと併せて
-64.9ptで6位に後退

Day73 フォア ザ チーム


2月10日

フェニックスは2連勝中と波に乗る茅森早香、格闘倶楽部は日を跨いでの連投、高宮まり、風林火山はここ3戦で2勝と好調の松ヶ瀬隆弥、雷電から瀬戸熊直樹。ここ12戦勝利から遠ざかっている。

格闘倶楽部は手術明け第2戦目となる高宮プロが登板。6位に低迷するチームだが、この日 ”高宮砲” が火をふく。

東1局の親番では瀬戸熊プロ、茅森プロのリーチを跳ね返して12000点を上がると、続けざまに1000オール、700オール、5800と開局早々4連続で上がり続けた。

連荘は5本場の松ヶ瀬プロのタンヤオ1300でようやく止まる。

茅森プロは、一昨日の第2試合に快勝しての登板だったが、思わぬ高宮砲を被弾して、東1局が終わった時点で7500点まで持ち点を減らしてしまう。

さらに、東4局。

高宮プロはドラ・ドラ・赤・赤を組み入れてリーチ。これに一発で当たり牌の8mを掴んでしまったのは松ヶ瀬プロ。回りながら打つが、最後は回り切れず放銃。裏まで乗って12000点。

東場で3700点まで持ち点を減らしていた茅森プロも、意地を見せる。

南1局で地味に500-1000をツモ上がると、南2局で1000オール、1000オールと連荘。最後は12000点を勝負に出た瀬戸熊プロから撃ち取る。

その後も高宮プロが、茅森プロの親番、瀬戸熊プロの親番それぞれ軽く流していき、南4局は流れて終局。終わってみれば64500点まで点棒を積み重ねて快勝した。84.5ptを稼いで、チームは6位から4位にジャンプアップ。3位も見える好位置に戻った。

高宮プロのトップインタビューは満面の笑み。そして小さめの声で「楽しかったです」と一言。

”フォア ザ チーム” のプレーだったと話しを振ると、

「・・・ ふぉあざちーむ・・??・・・!!、あぁ、チームのために?」

と天然の回答で、画面前の男子視聴者を虜に。

そして、久々すぎてガタクタポーズを忘れるというダメ押しの天然ぶりで完全にノックアウト。これが計算だったらもはや犯罪だ。

強い高宮プロ。かわいい高宮プロ。高宮プロの全てが詰まった試合であった。

茅森プロはライバル格闘倶楽部とトップラスだと一気に差がついてしまうところ、南場の親番で必死の連荘したことが功を奏し、2着に入った。格闘倶楽部には逆転されたものの、貴重なプラスポイントを持ち帰った。

格闘倶楽部がジャンプアップ
フェニックスも地味に加点
雷電ついに-1000ptを割る

2月10日 第2試合

雷電から黒沢咲。ここ4戦で4着3回と苦戦モード。風林火山から勝又健志。フェニックスは近藤誠一。格闘倶楽部はまさかの3連投となる高宮プロ連投。しかし第1試合はロングゲームになっており、手術明け。体力は大丈夫か?

そう思われた東1局の第1打目をツモ切りして、手を戻すときに山に触れ、2枚が見えてしまった。局は中断され審判の裁定を待つことに。ほどなく審判から2枚の見せ牌によるイエローカードが提示された。

このイエローカードの累積は当日のみだが、この日もう一度イエローカードをもらうとレッドカードとなり、試合終了後20ポイントが減算される。

せっかく獲得した1試合目の貯金をレッドカードで減算される訳にはいかない。とはいえ、今東1局が始まったばかり。疲れもある高宮プロに、さらにプレッシャーがかかる。

だが、高宮プロはこのプレッシャーを跳ねのける。東1局で先制リーチした黒沢プロを追いかけてリーチ。これを一発でツモって見せた。リーチ・一発・ツモ・赤・赤の2000-4000。

強い。

だが、その後2回の黒沢プロとのリーチ合戦に敗れ、高宮プロは後退。トップ目に黒沢プロが浮上。

しかし、その黒沢プロも東4局で自模り四暗刻テンパイの勝又プロに振り込んでトイトイ・三暗刻の8000点を失い、トップ目は勝又プロに。

ちなみにこの日は東京に雪が降っており、役満を期待させる雰囲気もあったが、勝又プロのツモり四暗刻は三暗刻どまりとなった。

出番がなかった近藤プロだが南場に入り2000-4000、2600と連続で上がってほぼ四者が並ぶ形に。

そして、オーラス南4局でラス親の近藤プロが4000オールを決めて、最後の最後でトップに躍り出る。

南4局1本場。満ツモトップ条件の勝又プロが残り数巡でヤミテンからリーチに切り替える。当たり牌の8mは河に出ておらず、誰も持っていない。残り数巡にもかかわらず奇跡の山3枚残り。これは逆転したか?

しかし、何とこの8mが全部王牌に眠るという”惨事”で勝又プロの逆転はならず、近藤プロがノーテンで牌を伏せトップを決めた。

ちなみに、この日2月10日(0210)は「レフトの日」だったそうだ。近藤プロの左腕がさく裂する伏線が敷かれていた。

のかもしれない。

フェニックスは第1試合でフェニックス高宮プロに追い抜かれたが、第2試合で再度逆転して6位に浮上。

厳しくなったのはこの日試合がなかった7位ドリブンズ。6位格闘倶楽部と200pt近くの差がついてしまった。


Day74 盟友


2月11日 第1試合

サクラナイツから内川幸太郎。パイレーツから瑞原明奈。直近9戦で9連対。うち6勝は驚異的なスタッツだ。ボーダーから遠ざかってしまったドリブンズの園田プロにも注目だ。

12月17日に初勝利を挙げて登板回数は少ないながらも復調気配の日向プロ。個人ポイントは-147.4pt。奇跡のレギュラーシーズン+ポイントに向けてかいよいよ再始動。

日向プロは東3局の親番の深い巡目でリーチをかけ、みごとに4000オールを決めてトップを走る。

東4局では瑞原プロが七対子をドラの西単騎でリーチをかけ、これを一発で自模り3000-6000。日向プロを逆転。やはり、瑞原プロが上がってきた。

南1局。日向プロは親番園田プロとのめくり合いを制して七対子の8000点を園田プロから直撃。再度瑞原プロを逆転。園田プロは痛い放銃。

負けられない園田プロは、南2局で瑞原プロから8000点直撃。瑞原プロは一歩後退。

この局で厳しい展開が続いた4着目の内川プロも南3局で1300-2600をあがり素点を回復。オーラスへ。

南4局オーラスは3着目の園田プロが起死回生トップ逆転が可能な三色をくみ上げてリーチをかける。しかし、当たり牌は内川プロから打ち出され、これを出上がり2着で良しとした。道中を考えると起死回生の2着浮上。

そして日向プロのトップが確定。

勝利者インタビューでは素直に喜んだ。

「うれしいですね~。すっごいうれしいです。もう、ほんとうれしいです。すっごいうれしいです」

チームのセミファイナル進出がほぼ安全圏な入ったことの喜びだった。

一方、ドリブンズのボーダーラインとの点差は約170ptに縮小。サクラナイツがラスになったため、わずかに縮まった。


2月11日 第2試合

パイレーツから小林剛。ABEMASから多井隆晴。サクラナイツから堀慎吾、ドリブンズから鈴木たろうが登板。

堀慎吾プロはMリーグ開催3年目に加入したMリーガーであるが、その堀プロのMリーグ入りを最も喜んだ人物こそ鈴木たろうプロだ。

堀プロがアマチュアの19歳の頃からの知り合いであり、都内で雀荘で働いていた時代からその実力を鈴木プロは認めていた。堀プロが日本プロ麻雀協会に加入する時にも歓迎したのが、同協会に所属していたたろうプロだ。

その二人がMリーグの舞台で戦う。たろうプロのドリブンズは7位、堀プロはサクラナイツは6位。ボーダーの上下を挟んだ負けられない戦いとなった。

試合は東1局に堀プロがハネマンをあがったものの、その後東場は4名の駆け引きが張り巡らされ、小場(小点数のあがり)が続き、大きな差はないが堀プロがトップで折り返す。

南1局4本場に2人が激突する。

8巡目にトップ目の堀プロが仕掛けてタンヤオ・赤・自模れば3暗刻をテンパイ。自模れば大きい。

一方、4着目のたろうプロ。手にはドラ1pが2枚。10巡目に聴牌。待ちはペン3m。迷わずリーチをかける。

一発目に堀プロが8mを掴む。無筋。

押した。

堀プロ、降りずに戦う構えだ。

6mも掴み、これも押した。

その猛プッシュを受けたたろうプロが4枚目の9sを掴む。

若干考えて、これを暗カン。堀プロのテンパイはほぼ間違いない。暗カンでドラを増やしても良いものか。一瞬の逡巡があったが振り切った。自身もテンパイ。たろうプロもいくしかない。

新ドラは発。

その新ドラを堀プロが掴む。そして、これも押す。どこまでも突っ張る堀慎吾。そこに理論も理屈も天才もない。気合と根性全開の男がいるだけだ。

たろうプロもなかなか自模れないが、堀プロも全く道を譲ろうとしない。

堀プロのただならぬ押しに、残っている無筋もだいぶ絞られてきた。押せば押すほど、残りの牌はどんどん危険になっていく。

そして堀プロがドラの1pを掴む。S級の危険牌。考えに沈む堀プロ。流石に止めか。

この1pで振り込んだ時の被害が大きすぎる。仮にドラのシャンポン待ちなら、一気に4着落ち。それはサクラナイツに大きすぎるダメージ。

堀プロが眉間にしわを寄せ、頭脳をフル回転させる。解説席の渋川プロも「これは止めそうだ(降りそうだ)」と。

・・・

・・・

右手が河に向かった。

1p

押した。押してしまった。

たろうプロ。。。

無言。

当たらなかった。

巡目も残り少なくなってきた15巡目。着々とイーシャンテンをキープし続けてきた男が居た。小林プロだ。七対子の特性を利用して、当たりをかわしていたが、ついに聴牌に辿りつく。

そして2人の対決に決着をつけたのも小林プロとなった。聴牌時に3mが打たれ、これがたろうプロの上がり牌となった。



19年前。都内の雀荘でともに働いていた19歳でアマチュアの堀慎吾と20代のたろうプロ。麻雀は競技ではなく、サラリーマンの社交場、もしくは賭け事の一つの時代。麻雀を生業としていた人々にとって、日の当たらない世界だったことは想像に難くない。

その当時から「麻雀」というものに向き合い、何が最善かを考え、実践し続けてきた2人。

その2人が20年後に100万にの視聴者および多くのサポーターの期待を背負ってテレビ放送の卓で戦っている。2人の社会的立場も大きく変わった。

しかし、堀プロがこの局、全身全霊でたろうプロにぶつかっていった姿は、20年前と変わらないものだったのかもしれない。

試合は南4局オーラスまでもつれ、4者が2万点台でひしめく混戦となる。トップ目でオーラスを迎えた堀プロだったが、リーチの多井プロに一発で放銃。土壇場で多井プロがトップを逆転し試合終了となった。

堀プロ3着でマイナスを最小限とした


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