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ライト層目線!Mリーグ2021ダイジェスト#20【2月第3週】

Day75 プロとして


2月14日 第1試合

日向・多井で連勝したABEMASは松本吉弘。風林火山はここ4試合で2勝と引き続き好調の松ヶ瀬隆弥。厳しいボーダー争い中のドリブンズは前回トップの村上淳。フェニックスは魚谷侑未を起用。

九蓮宝燈

その華麗な牌姿から数多くの打ち手が憧れる役満の筆頭であり、麻雀最高峰の役とされているが、それだけに難度が高く、役満の中では天和・地和と並んで希少価値が高いとされている。Mリーグではまだ和了の記録はない。

この試合で、その役満に挑む者がいた。

東場では松ヶ瀬プロが4000-8000、2900、6000オールを決めて圧倒的トップ目に立つ。

しかし、魚谷プロが追撃を開始。

東3、4局で3000-6000、2000-4000を上がり、松ヶ瀬プロを追いあげる。

南1局1本場

魚谷プロの手は筒子が4p以外全て揃っており、1pが暗刻。配牌の段階から解説席では筒子の九蓮宝燈の可能性ありとして盛り上がっている。

4pと9pが要牌だが、9pからの自模がベスト。

6巡目

魚谷プロの右手に4pが握られていた。筒子の1雀頭、3ブロックは確定。萬子の6・9m待ちテンパイだ。解説席の土田プロは「4pから自模ればリーチにいかざるを得ない」とコメント。

西を切れば平和・一気通貫テンパイ。

しかし、

魚谷プロの人差し指と親指は西を掴んではおらず、萬子の上にあった。

しかし、迷っている。

「この選択を間違えたら、死ぬと思って打つ」

そう考える魚谷プロだ。

上がりに向かうなら西が最短。それは迷うまでもない。

・・・

魚谷プロは小さくうなずいた。

7m

テンパイを外した。九蓮宝燈に向かった。

天和と同等レベルの役満と考えれば33万分の1の確立に向かった。

確定している親マン12000点をいったん捨てた。

運命は時に残酷。次巡魚谷プロの右手にはリーチしていれば、一発で自模って6000オールだったであろう9mが握られていた。

表情は変わらない。しかし、口をぐっと引き締めた。

この局で九蓮宝燈は成就しなかった。

最終的にカン8sのテンパイに至り、7700点を上がった。

この打牌についてSNS上では魚谷プロを批判する声が上がった。

称賛が9割で批判が1割でもその1割がクローズアップされてしまうのがSNS。これに対し、魚谷プロは自らTwitterのスペースにて説明を行った。

基本的には山2の9pさえ引ければ、後は筒子何を引いても九蓮宝燈聴牌になるという分岐点まで進んでいたという事実がある。しかし、それでも確率は低い九蓮宝燈と親マン聴牌確定の選択は視聴者の価値観も別れるところであり、これは両方の意見があっていい話だ。

また、個人的に4pを自模った時の魚谷プロの逡巡を一言で説明することは難しいようにも思った。

麻雀を結果に基づいて善しあしを判断するファン。過程も含めたトータルで善しあしを判断するファン。Mリーグのファン層は幅広い。その全員に納得を与えられる選択とは何だったのか?

あの段階でテンパイを崩して九蓮宝燈のリャンシャンテンに戻せば、上がる確率は圧倒的に低くなる。その一点だけ考えれば、圧倒的に損だ。

ただ、魚谷プロに九蓮宝燈を目指してほしいと思っていたファンは少なくないと思う。この魚谷プロの九蓮宝燈を目指した聴牌外しに、わくわくした、興奮した、という声を別の媒体で目にしたり、耳にしたりした。

可能性の高い上がりを見るか、可能性が低い大物手を見るか、という判断と併せて「プロとしてファンに何を見せるべきか?」ということも逡巡の中にあったと思う。それを選択した場合に起こりうる反対意見も考えに入れて、最終的な決断を下したのではないだろうか。

感動体験

をチームスローガンに掲げるセガサミーフェニックスが12000点の実利を追わず、九蓮宝燈という夢を追ったのは正解だったと思う。

試合はその後も魚谷プロが上がり続けるも、惜しくもトップ逆転迄には至らず松ヶ瀬プロがトップを獲得した。

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2月14日 第2試合

ここ8戦で6連対、4勝と好調のフェニックスは茅森早香。ABEMASはショーマツリレーの白鳥翔、風林火山は二階堂瑠美、

ドリブンズは第1戦で3着となり、残り15戦。エース園田賢が登板してトップを狙う。

園田プロは、東場に12000、7700と上がって順調にトップを走る。

東4局1本場

放銃が続いて箱下に沈んだ瑠美プロが、七対子聴牌も純カラの白単騎でリーチをかけるが、すぐさまドラ5を内蔵した白鳥プロも4・7sの両面待ちで追いかけてリーチをかけた。

瑠美プロ絶体絶命だが、何とか掴まずに終盤を迎える。

一方、白鳥プロの当たり牌7sを一発でキャッチしてしまったのは園田プロだ。まずはターツを崩して当たりを回避。

しかし、4pをツモって赤5pのメンツが完成してしまった園田プロの動きが止まる。

赤5pが使えることになり、打点も上がったことでテンパイの両にらみとなったか、浮き牌の9mが打ち出された。こうなると、同じ浮き牌の7sもレールに乗ったかもしれない。

その後、再度4pをツモってテンパイとなった園田プロだが、今度は4pをそのまま自摸切る。やはり降りたか?

今度は7mを自模る。これは危険牌ゆえ手の内に留めるが、打ち出されたのは6p。これは瑠美プロに危険牌だった。やはり降りてはいないのか?

そして5mを自模り、カン6mでテンパってしまった。

6mは場に見えていない。自身が一枚もっているが、山に残っている可能性は十分にある。

・・

リーチ

勝負に出で、7sが放銃となった。

この局、園田プロは降りてはいたが、やはり上がりを模索していた。

チームのポイント状況ゆえか。エースとして大きなトップを獲りに行かざるをえないチーム状況。チーム事情が違えば7sは出ていない。

今日のドリブンズは村上プロ、園田プロで2連勝の、できれば大きいトップを目指したが、連続3着の-59.7ptは痛かった。

試合は南3局に6000オールを決めた茅森プロが抜け出してトップを獲得。試合後のトップインタビューでは松本アナの無茶ぶりに、一度は断ったバレンタインのハートマークをチラッと作ってくれた。

フェニックスはこの日2・1着で+99.9ptで躍進
7位ドリブンズと6位サクラナイツとの差は再び200ptに開いた

Day76 戦う姿勢だけは


2月15日 第1試合

サクラナイツは沢崎誠。MVP争いで4位につける。ファイトクラブは療養期間を終えて半月ぶりに帰ってきた滝沢和典。パイレーツは石橋伸洋。年明けに体調不良の訴えがあり、復帰後2戦目で今年ようやく3回目の登板。雷電は萩原聖人。今年まだ連対がない。

東3局まで全員2万点台と均衡を保つ試合展開だったが、東4局で親番の滝沢プロが極めて悪い配牌から平和に辿りつき、リーチをかけて一発で自模り、6000オールを決める。続けざまに2000オールを上がり、独走の5万点台。南4局でも2000オールを決めてトップを獲得した。

南4局ではラス目の沢崎プロが7mを大明槓。ポンしていた6sにドラを乗せて8000点を上がり2着に浮上するという力技を見せた。

萩原プロは6800点のラス目までへこんだ南3局に起死回生のリーチ・一発・七対子・ドラ2を上がり2着目に浮上したが、オーラスで沢崎プロの大明槓タンヤオ・ドラ3に放銃して4着となった。


2月15日 第2試合

雷電は連投の萩原聖人。格闘倶楽部は2連勝中の伊達朱里紗。サクラナイツは内川幸太郎。2連続4着中。

パイレーツは年明け1月4日にトップを獲ってから、人知れず3連続4着を引いていた朝倉康心が登板した。

東1局

マンガン確定のカン4sを闇に構えたのは伊達プロ。

これを察したか朝倉プロ、浮き牌となっている4sをガードし続けながら試合を進め、最終的に聴牌に至る。ここで待ち牌選択となるが、高速に回転する朝倉プロの頭脳が導き出したのは、4・7sのノベタンではなく、やや不自然に見える7m単騎。

そして、この7m単騎を見事に自模。4000オール発進だ。

東1局1本場でもカン7sをヤミテンに構えた萩原プロを察したか、リーチをかけている伊達プロの現物にも関わらず7sを切らない朝倉プロ。この局は内川プロが放銃に回る。

終始朝倉プロを追いかけたのが萩原プロだ。東2局で3000-6000を決めてトップ目に立つ。しかし、東3局で朝倉プロが2000-4000を上がって再逆転。その後も萩原プロがトップとの差を詰めたが南3局で朝倉プロが3000-6000を上がって突き抜けた。

萩原プロも南4局のラス親で7700点を伊達プロから上がり再度差を詰めたが、最後は朝倉プロが自力で2000点を上がり試合を決めた。

朝倉プロはこの試合で50000点を超えるトップ。大量75.6ptをチームに持ち帰り、個人ランキングでも113.2ptで9位まで上昇した。

この日最後までトップに詰め寄った萩原プロ。試合後のインタビューでは、

「ユニバースの期待に応えられなくて吐きそうです」

と答えた。

今やチーム雷電の最大目標はユニバースに一勝を届けること。

トップを必死に追い詰めた萩原プロの戦う姿勢。結果はあと一歩ではあったが、にユニバースの声には十分に応えた。

パイレーツが3・1着で+50.5ptの加点に成功しトップを固めた


Day77 裸単騎

チームは5連続連対、3トップと絶好調のフェニックスは魚谷侑未。ABEMASは日向藍子、格闘倶楽部は前回試練の3連投となった高宮まり、現在6位のボーダー上にいるサクラナイツは堀慎吾。今年に入ってトップから遠ざかっている。

しかし、堀プロは東2局・3局で連続して8000点のマンガンをモノにしてリードを築き、そのまま南場もキープして12月27日ぶりとなる6勝目をあげた。

この試合は南3局の魚谷プロに注目したい。

まず配牌から第1ツモを終えて、堀プロがドラ3かつ中張牌のまとまった手ではっきり良く、中盤でタンヤオをテンパイ。日向プロも仕掛けから手をまとめてタンヤオのカン7pでテンパイ。高宮プロは降りた。

2着目で親番の魚谷プロも鳴いて12巡目でテンパイに辿りつくが、残り巡目が少なくなった段階で日向プロの上がり牌7pを掴む。

勝負に出ての7p放銃と思われたが、なかなか7pを切らない。

そして、テンパイを崩して7pをガード。最終自摸番で7pを持ったまま再度テンパイに辿りつき、親の連荘に成功という好判断を見せた。

魚谷プロは最終的に2着を確保。チームにプラスポイントを持ち帰り、ABEMASを逆転しチームは3位に浮上した。


2月17日 第2試合

サクラナイツは連投の堀慎吾。フェニックスはここ4戦4連対、3勝と好調な茅森早香。ABEMASから白鳥翔。格闘倶楽部から伊達朱里紗が登板した。

試合は格闘倶楽部伊達プロが着々と加点し続け、南4局オーラスを迎えた段階で36000点持ちのトップ目。

連投の堀プロは東4局で先制リーチの伊達プロを追いかけるべく勝負に出たが、逆に伊達プロへの放銃となってしまい2着目に。

伊達プロは南4局オーラスで上がればトップ確定だが、配牌は絶望的。一方、堀プロの配牌は良かった。

堀プロが10巡目にテンパイに至り、リーチ、そしてツモった。

裏が1枚でも乗れば逆転。

・・

何と2枚のって親マンの4000オール。土壇場で大きく逆転してトップ目に立つ。

そして、今度は伊達プロが執念を見せる。

南4局1本場でマンツモが必要な伊達プロ。手持ち8枚しかない萬子を1巡目から鳴いていく。清一色を狙ったかなり遠い仕掛けだ。

伊達プロは2巡目にも9mを鳴いて早くも2副露。

だが、まだまだ3シャンテン。自力で萬子を引かないことには始まらない。

堀プロは序盤から萬子と字牌を止めて守りに徹している。

萬子を2つ鳴いた伊達プロ。しかし、自力での萬子自摸が1枚もないまま中盤を迎え、ヤミテンでテンパイした4着目の白鳥プロが打ち出した6mをポンして3副露目。しかし、まだリャンシャンテン。

清一色を強引に目指したが、やはり自分で引いた萬子は1枚もない状態で中盤に入った。

そんな折、ヤミテンで構えていた白鳥プロが7sをツモって和了の権利を得たが、和了を宣言しない。3着浮上にはハネ自摸が必要。9sを外してチャンスをうかがう。

3着目の茅森プロも倍ツモでトップ逆転が可能であり、赤ドラをたくさんを手に溜め込む。そして条件手を作り上げてリーチをかけた。

伊達プロは引き続きリャンシャンテン。しかし、終盤に入った13巡目にやっと萬子を自模る。混一色テンパイだが、清一色でなければ逆転できない。

14巡目に白鳥プロから5mが打ち出される。これを伊達プロはチー。4副露したが、これで清一色の聴牌たどり着いた。

伊達プロの手元には5mが1枚だけある。裸単騎になった。

茅森プロと白鳥プロの2軒リーチに裸単騎で立ち向かう伊達プロ。これを格闘(ファイト)と呼ばずに何と呼ぼう。

5mは山に1枚ある。

しかし、ここまでだった。茅森プロが白鳥プロの当たり牌を掴み放銃し、試合終了となった。

果敢に攻めた伊達プロ。

”ワシがやるしかないやろ!”

を体現した試合だった。

トップは堀プロ。連投・連勝で停滞するサクラナイツに大きすぎる121.4ptを持ち帰り、個人も200ptを超えて、一気に6位まで浮上した。


Day78 黒いデジタルとは


2月18日 第1試合

パイレーツから小林剛。風林火山は勝又健志。直近連続3着で追い込まれつつあるドリブンズは鈴木たろう。雷電から本田朋広が登板した。

東4局

38000点まで点数を重ねてトップを走る小林プロに、ドラ3の手が入る。ここで東が出て小林プロがこれをポン。

この動きを察した勝又プロは、面前で高打点を狙える手からチー聴に方向転換し500オールを上がり、小林プロを封じる。

東4局1本場でも小林プロの手はドラ・ドラ・赤と高打点を予感させるが、勝又プロがダブ東ポンからの2900をトップ目小林プロから討ちとり、独走を許さない。

南1局では大きく沈んでいる本田プロの七対子リーチに追いかけてリーチをかけ、これを一発で自模り2000-4000。沈んでいる本田プロにさらに親被りをさせる。

南4局オーラスはたろうプロ・小林プロ・勝又プロの順番で微差1・2・3着の並び。

上がればトップの小林プロがリーチをかけるが、これが山0。勝又プロがカン7mで追いかけてリーチをかけ、一発で自模り上げた。

6000オール。

そこには軍師の姿があった。

風林火山は63.6ptを獲得し、12月初旬以来の首位に返り咲く。

残り13試合となり、トップがほしいドリブンズだったが土壇場で逆転され3着。レギュラーシーズン突破に赤信号が点灯した。


2月18日 第2試合

雷電は黒沢咲。直近2連敗と調子を落としている。レギュラーシーズン突破に赤信号が灯ったドリブンズは園田賢が必勝を期す。風林火山は二階堂亜樹が軍師のバトンを受ける。

パイレーツは石橋伸洋。

黒いデジタル、パイレーツ石橋プロの4年目が終わろうとしている。

これまで3年間、レギュラーシーズンは何れも200ポイント近く負けている。今年こそとファンも期待を寄せたが、逆に今シーズンはついにマイナス300を超えてしまった。

このままいけば、石橋プロの青いユニフォームを見るのは今季限りか。

とはいえもうレギュラーシーズンは終盤も終盤。ここまで来たら「黒いデジタル」とはどんな麻雀なのか、ファンに示してから進退に臨んでほしい。

そしてこの日、石橋プロは一つの形を示す。

東1局は一盃口確定からリーチをかけ、一発で黒沢プロから当たり牌を引き出し、東3局の親番はさっくり500オールを自模り、2本場で4000オール、3本場で7700、4本場で3900。5本場で黒沢プロが上がって連荘がやっと終わる。

南場に入り、一時は箱を割った亜樹プロが蘇生する。南2局の親番で6000オール、4000オールと決めて怒涛の挽回。

南3局の亜樹プロが園田プロからハネマン12000点を直撃し、いよいよ石橋プロを射程に捉える。その差6100点。軽い手でもトップを逆転できるところまで来てしまった。

ここからのオーラスで頭ハネされたり、大物手を自模られて捲られるのが石橋プロの今季の流れ。一時亜樹プロとは60000点以上の差があったが、今やその差も風前の灯火だ。

南4局オーラス

今度は黒沢プロが立ちはだかる。5巡目で既にテンパイだがダマ聴で構え、8巡目でドラ北をツモって打点アップ。そしてリーチに出た。

その一発目で石橋プロもテンパイ。ただし、5pを打てれば。

黒沢プロの河を見るに、5pは危険度ランキングでも上位に入る牌。これは回っても仕方がない。

石橋プロは全くためらわなかった。

迷わず5pを打ち込んだ。

・・・

セーフ

迷いを断ち切った男の打牌はそう簡単には当たらない。一視聴者としてこの5pのプッシュには震えた。

そして返す刀で、黒沢プロから放たれた9sを和了宣言。

石橋プロが2勝目をもぎ取った。

「真っ直ぐ打って、真っ直ぐ勝つ」

全然黒くはないが、極めてわかり易い麻雀でファンの期待に応えてくれた。

痛すぎたのは4着となったドリブンズ園田プロ。3連続3着後の4着は赤信号どころではない危険水域に入った。

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