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ベトナム法務 | 拡大生産者責任(EPR)について

気がついたら前エントリーから1ヶ月経っていました。

昔は飛行機や新幹線、時には車の移動中でも作業できたのですが、最近は歳のせいか、歳から来るモチベーションの変化のせいか、歳から来る能力の変化のせいか、単にタスク量が増えているのか、移動中はほぼ仕事しなくなりました。

さて、新環境保護法が施行されて2年になろうとしています。
メーカー、インポーターのリサイクル責任が2024年、2025年、2027年と3回に分かれて始まります。

まずはサマリーだけを共有し、後日Noteの有償化機能を使ってみて詳しく書こうと考えています。

拡大生産者責任の主体について


リサイクル可能な製品および包装物の生産者、輸入者は、組織であるか個人であるかにかかわらず、リサイクルを実施しなければなりません。

リサイクルが義務づけられている製品は、(1)包装物、(2)電池およびバッテリー、(3)潤滑油、(4)タイヤおよびチューブ、(5)電気・電子製品、(6)輸送車両、に大別されています。

リサイクルが免除される対象としては、以下のように定められています。

  • 輸出目的の製品および包装物、一時輸出入の対象となる製品および包装物、研究・学術・実験目的の製品および包装物にかかる生産者および輸入者。

  • 前年の製品販売及びサービス供給の売上が300億ドンに満たない包装物の生産者。

  • 前年の輸入総額(通関価格での計算)が200億ドンに満たない包装物の輸入者。

ここまでは法令の規定ですが、包装物ってどの範囲まで?そもそもOEMなどの場合には誰が責任を負うの?という疑問が生まれます。

包装物の範囲


生産者、輸入者においてリサイクル義務のある包装物とは、業務用包装(直接包装及び外装)で、次の製品の包装物と定められています。

  • 食品安全法の規定に基づく食品。

  • 化粧品の生産条件にかかる法令規定に基づく化粧品。

  • 薬事法の規定に基づく医薬品。

  • 肥料・飼料・動物用医薬品にかかる法令規定に基づく肥料・飼料・動物用医薬品。

  • 家庭用、農業用、医療用の洗剤や薬品。

  • セメント。

直接包装とは何か、外装とは何か?
これらについては有償レポートに含める予定です。

OEMなどの場合には誰が責任を負うのか


ベトナム国外からの生産委託、加工委託などであれば輸出品ですからリサイクル免除となりますが、ベトナム国内からであればそうではありません。

これについて、現段階では「2種類の公式見解」があります。
委託者が責任を負うというもの、受託者が責任を負うというもの、2種類です。

一見すると答えが簡単そうな論点ですが、実はいろいろなケースが無数にあり、そのために当局も一概に答えられないのだと見ています。

詳しくは有償レポートに含める予定ですが、私の会社に問い合わせ頂いた方が早いです。

ベトナム環境保護基金とは何か


リサイクル義務といっても、必ずしも自社で全て回収し、リサイクル技術やリサイクルライセンスをもって実施しなければならない、ということではありません。

政府指定の専門業者に委託する、政府指定の中間業者に委託する、ベトナム環境保護基金にお金を払うという方法もあります。

製品によっては、ベトナム環境保護基金への拠出一択という決まりもあります。以下の製品です。

農薬包装物(プラスチック、ガラス、金属)、使い捨て電池、使い捨てナプキン、おむつ、タンポン、ウェットティッシュ、ガム、タバコ、合成樹脂を使用した製品(使い捨てトレイ、ボール、箸、グラス、カップ、ナイフ、はさみ、スプーン、フォーク、ストロー、マドラー、容器、ラップ、バルーン、ダクトテープ、イヤホン、楊枝、使い捨て歯ブラシ、使い捨て歯磨き粉、使い捨てシャンプー及びコンディショナー、使い捨てカミソリ、服・アクセサリー、革製品、バッグ、靴、サンダル、おもちゃ類、家具類、建築資材、寸法が50cm×50cm未満、厚さが50μm未満の非生分解性プラスチック袋)

ベトナム環境保護基金への拠出金額の計算式は以下の通りです。

「リサイクル率(製品ごとに規定されています)」 × 「年間の生産量・輸入量(キログラム)」 × 「政府発表の指数(キログラムあたりの金額)」

製品ごとの詳細は、有償レポートでも書ききれないので、私の会社へお問い合わせいただければ幸いです。

初回は、2024年3月30日までに申告を行い、2024年4月19日までに全額払い込むか、2024年4月19日と10月19日の2回払いにするかを選べます。

実務上の論点


ベトナム国内での製造委託、加工委託であり、受託者から委託者への納品後、委託者が受託者の製品を組み込んで輸出品となる場合(HSコードが変わる場合、変わらない場合)、リサイクル責任は生じるのか?

製造委託、加工委託におけるベトナム環境保護基金への払い込みは、クライアント負担でもいいのか?

これらについても有償レポートに含める予定です。


2024年1月からは、(1)包装物、(2)電池およびバッテリー、(3)潤滑油、(4)タイヤおよびチューブ、2025年1月からは(5)電気・電子製品、2027年1月からは(6)輸送車両、です。

何かありましたら、お気軽にお問い合わせください。

おまけ


リサイクルの専門業者、中間業者になりたいけどどうすれば?
そんなニーズも出てくるかもしれません。

リサイクルといっても様々で、私が詳しいのは金属やプラスチック、あとは繊維を少々ですが、ベトナムに進出した日系企業でリサイクル業を主としている企業は数社しかありません。しかも廃棄物リサイクル業としてのライセンスを持っている100%独資の日系企業はないと思います。

2022年から法令が大きく変わったこともあり、リサイクル業の要件は変わりました。ライセンスが難しいだけでなく、場所を見つけるのが大変です。

現在進行形で何社かサポートさせていただいておりますので、こちらもお気軽にお問い合わせください。




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