第272回、シン・ウィッシュ2を考えてみた
ウィッシュについてまだ書き足りないのか、今回も書いてしまいました。
前回この映画は、入りたてのアルバイト員が社長を辞任させるような物だ。
こんなのに喜べるのは、意識高い系のモラトリアル人間だけで、実質社長に対抗できるのは、次期社長候補だろうと言った所で終えましたが、この論法で言えば、マグニフィコ王に対抗するアーシャは、王の実娘で、時期王妃を担う、プリンセスである方が良かったのではないかと思います。
「エヴァンゲリオン」のシンジとゲンドウがそうである様に「美味しんぼ」の山岡士郎と海原雄山がそうである様に、物語の主軸に親子の確執や子供の自立要素を含ませた方が、視聴者には共感を得やすいと思うのです。
ロサス王国のプリンセスであるアーシャ姫は、庶民にも分け隔てなく接する気さくで心の優しい娘で、父親のマグニフィコ王の事も尊敬をしていたが、ある時、父親が裏で行っている、国政に関わるとある事実を知ってしまう。
娘のアーシャは、父親のマグニフィコ王の行っている事が正しい事なのか、疑問を抱き始めるが、自分の今の裕福な生活が、そうした父親の行いにより支えられている事も知り、一時は全てを受け入れようとする。
しかしある事をきっかけにして、やはり現状を変えなければと思う様になり国王である父親に、プリンセスの娘が対抗するという親子抗争の図式にした方が、ベタでも物語的に面白味が出ると思うのです。
この場合物語の主題は、親と子の確執と子供の自立という事になりますし、多分ディズニー史上初めてのヴィランの娘というキャラも、確立したのではないかと思います。
「トロン・レガシー」「スター・ウォーズ」も、主人公はヴィランの息子や娘達なので、こうした図式自体はない訳ではない物の、プリンセスアニメのヒロインとしては、初めてなのではないかと思うのです。
図式さえ整えてしまえば、後はいくらでも物語は、描きようがあります。
今作の様に父親を国王の座から引きずりおろしてもいいですし、ロサス王国から独立して、若者達が新しい国を建国するのもいいでしょう。
自分がここで発案している事は、ディズニーのこれまでの概念を壊す新しい発想でも何でもありません。むしろディズニーの系譜を辿る王道設定です。
その王道設定の上に、今の時代に合うヒロイン像を提示しているのです。
別に自分が提案している事が、正解と言えるのかどうかはわかりませんが、自分はそうした方が、この作品に物語としての深みと面白味を持たせる事が出来たのではないかと思っています。
ディズニーにケチを付けて、お前こそ何様だ?と思われるかも知れませんが
こうした方が良かったのではないか?こうしたらもっと面白くなったのではないか?と思ってしまうのは、曲がりなりにも創作活動を行っている人間のサガなので、許して頂ければと思います。