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第62回、ママは小学4年生の魅力を語ってみた


日本はタイムリープ物の作品が、物凄くありますよね。
もちろん外国にもたくさんあって、様々な名作があるとは思うのですが、
自分が日本にいるからなのか、自分がそういう作品が好きだからなのか、
とにかく数多くのタイムリープ物の作品を、目にする気がします。

最近ではバカリズムの「ブラッシュアップライフ」が話題になり、「二週目の人生」という言葉が、日常用語として定着したようにすら思います。
中年層にとって「時をかける少女」は、外す事の出来ない名作作品ですし、若年層にとっては「君の名は。」も、魂入れ替わり作品としての認識の方が高いかもしれませんが、タイムリープ物の名作だと言えると思います。

そんな中で、自分の中で忘れる事の出来ない記憶として、心の中に刻まれている物に「ママは小学4年生」というアニメ作品があります。
ファンの間で通称、ママ4と呼ばれているこの作品は、1992年に放送された子供向けのテレビアニメで、15年後の未来から10歳の主人公の少女の所に、未来の自分の赤ちゃんが、タイムスリップをしてくる話になっています。

そうここまでの前振りを全無視して、実はこのアニメ、タイムスリップ物の作品なのですが、しかもタイムスリップをするのは、あくまでも赤ちゃんであり、主人公自身は、タイムスリップをする事がなければ、タイムリープも起こしません。
あえて言うなら、未来の自分と極稀にタイム通信をするくらいなのですが、この作品のジャンル分けをするならば、タイム通信系という事になるのかもしれません。

タイム通信系の作品は、他のタイム系に比べてやや地味でマイナーながら、実は心に残る名作が数多くあるジャンルでもあります。
自分は映画しか見てませんが、東野圭吾原作小説の「ナミヤ雑貨店の奇蹟」もその一つになると思います。
そんな中でもママ4が特異だと思うのは、ほぼ一年という放送の中で、そのタイム通信すら、数回しか行われていない事です。
このアニメは、タイム系を扱った作品でありながら、殆ど未来から過去への介入がないのです。
そもそもこの作品は、赤ちゃんを未来の自分の元へ帰すのが目的の話なのでタイム系によくある、過去を改変するといった話にはなっていません。

これは結構、衝撃的な事だと思うのです。
何しろタイム系の作品でありながら、過去を一切改変しないのですから。
(実は未来の自分が、過去を改変する為に助言をする話はあるのですが‥)
もちろん過去を改変する作品を否定するつもりはありません。
タイム系とはそういう物ですし、自分はそういう作品が大好きです。
しかしそれだけに、ママ4がどれだけ異質な作品だったかがわかるのです。

この作品は社会現象になるような大きなヒットはしなかった物の、1993年の日本SF大会では「星雲賞」メディア部門を受賞しており、SF作品として一定の評価をされたようです。
又これは自分が勝手に思うだけですが、その後の「おジャ魔女どれみ」や「プリキュア」などの少女向けアニメで、主人公の少女が異世界の赤ちゃんの世話をする要素の、原型になっているのではないかと考えています。

このアニメは続編こそ作られなかった物の、ドラマCDで10歳になった未来の赤ちゃんが、タイムマシンで再び自分の所へ会いに来るアフターストーリーが描かれていて、自分はこのドラマCDが大好きなのです。

その前年に同時間帯で放送されていた「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」と言う作品も、一二を争う大好き作品で、今思えばこの頃放送をされていた
「美少女戦士セーラームーン」や「幽遊白書」など、アニメ業界において、ある意味、絶頂期と言える時代だったのではないかと思います。

幸か不幸か自分はこの頃のアニメで、心が十分に満たされてしまいました。
だから現実の世界や自分の人生がどんな物であっても、この人生に十分満足をしています。
他人には現実を見ようとしない、現実逃避の行為に見えるかもしれません。
しかし自分はそれでもいいのです。子供の頃に世界を憎み、世界が破滅する未来を本気で願っていた自分にとっては、この世界を受け入れられるようになっただけでも、十分に心の成長が得られたと思っているのです。
自分の人生でこそない物の、あの赤ちゃんと出会えたこの世界が滅ぶ事を、どうして再び願う事ができるでしょうか?

このアニメを紹介したという事は、自分の中の過去回想録もそろそろ終わりに近づいているのだと思います。頭の中の物を全て吐き出した後で、自分にどんな変化が待っているのかは、自分でもよくわかりません。
何の変化も起こらないかもしれません。
それでも自分は今しばし、この回想録を行いたいと思っています。

左が主人公の少女の水木なつみで、右が漫画家を目指している、母親の妹のいづみおばさんです。
このいづみおばさんと未来から来た自分の赤ちゃんと、奇妙な共同生活が行われる事になります。
今だと色々と問題になりそうな設定ではありますが、子供が赤ちゃんの世話をする事を児童虐待だと言われる社会にだけは、ならないで欲しい物です。
製作はロボットアニメの老舗のあのサンライズです!ここが一番の衝撃所ですね。
キャラクターデザインは、シティーハンターも手掛けた、神村幸子様です。
超貴重なアニメのムック本です。当然、自分も買いました。
アニメ終了後に発売されたドラマCDです。アニメで赤ちゃんだった未来ちゃんが、10歳になって会いに来てくれます。(そうです、赤ちゃんの名前は、あの志田未来と同じ、未来ちゃんなのです)
ヒロインの声を務めるのは、こおろぎさとみさんです。この作品の後、クレヨンしんちゃんで
しんのすけの妹の野原ひまわりとして、永遠の赤ちゃん役を手に入れました。
このテクマクマヤコンなコンパクトで、時空を超えた通信をする事ができます。
感動の最終回は、ネタバレしないように載せないでおきます。(ほぼ見えちゃっていますが)
あの最終回は、今思い出しても、涙がこぼれ出てしまいそうになります。

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