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第287回、ウィッシュが日本で30億円超えの大ヒットな理由を考えてみた


批判が続出して、世界中で大コケをしているディズニーアニメのウィッシュですが、意外にも日本では30億円を超える大ヒットになっているようです。

これもひとえに、自分がブログでしつこい程、この映画の宣伝をして来たおかげではないかと思うのですが、冗談はさておき、この映画が日本でヒットしている理由は、マグニフィコ王の存在が大きいのではないかと思います。

マグニフィコ王の声を、福山雅治が務めていると言うのもあると思いますがマグニフィコ王は、日本では、女性に結構人気があるのだと思うのです。

そして日本人の男性にとっても、マグニフィコ王は、実はかなり共感をする所のある人物なのではないかと思っています。

それはマグニフィコ王が、仕事一筋で生きて来た日本のサラリーマンや、家庭の中で立場を失墜させている、現在の父親像に重なる所があるからです。


社会の為、家族の為にと汚れ仕事にも手を染めて、ひたすら仕事をして来た父親が、家庭では年頃の娘に、父親は価値観が古いのだと罵られて、自分に従順な存在だと思っていた長年連れ添った妻からも、突然手の平を返したように足蹴にされてしまい、家庭の中で居場所を失った父親は、ある時突然に職場と家庭の両方で、窓際族ならぬ、鏡の中に追いやられてしまうのです。

これを自分に重ね合わせて見ずにはいられぬ、日本の男性サラリーマン達がいるのでしょうか?

自分は以前この映画を、マグニフィコ王を主役にした、半沢直樹的な日本の企業ドラマと言った事があるのですが、日本人にとっては、まさにその様な映画だったのだと思います。

恐らくディズニー自身も、全く意図していなかった所で、マグニフィコ王は日本では女性にとっては魅力的な存在に、男性にとっては共感の対象としてそれぞれ異なる投影対象として、二面性を持って成立したのだと思います。

これは日本の国柄事情が偶然、作品とシンクロした結果起きた奇跡の現象でだからこそ日本でだけ、異例の大ヒットになったのではないでしょうか?

自分がさんざんこの映画を批判しながらも、無視できない程こんなにも強く心に引っかかるのも、恐らくはこの映画が、日本人の心に強く共鳴する所があるからなのかもしれません。

なので自分は、この映画にどの様な感想を抱く事になるとしても、日本人にとっては、観る価値のある作品なのではないかと思っています。

家庭と職場で立場を失った男性達が、この映画のマグニフィコ王に、自分を思い重ねて、いつか鏡の中から復活してやるぞと、叶わぬ思いを抱きながらマグニフィコ王が復活する、この作品の続編を希望している日本の男性は、結構いるのではないでしょうか?

マグニフィコ王はある意味、史上最恐ならぬ、最共(感)のヴィランだったのかもしれません。
福山雅治が声を務めたら、魅力が出ない訳がありません。
自分の仕事に自信を持っていた父親(サラリーマン)が、
尊敬されると思っていた娘(の様な年齢の小娘)に否定をされて、
長年連れ添った妻からも、手の平を返したように、足蹴にされるのです。
それもこれも、このふざけた姿のクリスマス商品によって。

これを涙なくして、見られるでしょうか?

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