怪談37「寮の煙」
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わたしは一時期、ある寮の寮監長をしたことがあります。
あまり長い間ではありませんが、その間にもいくつか不思議な事がありました。
そのうちの一つ。
その頃、私はタバコを完全にやめていたわけですが、私の部下になる年配のおじさんは吸っていました。
ただ、寮内は完全に禁煙のため、吸いたい場合は外で自前で灰皿を用意して吸うようにと定めていたわけです。
そんなある日その年配のおじさん(以降Aとします)が、寮生の就寝時間が過ぎ、夜の見廻りが終わったあとで、外でタバコを吸っていたらしいです。
そしてタバコを吸いながら寮の建物を眺めていると、突然、寮の壁の内側から大きな黒い煙がボシュッと現れたそうです。
Aさんはその煙を見て「やば!俺のタバコの火で火事が起きた!」と思ったそうです。
(そこに吸い殻を捨てているわけでもないし、立っている位置からして、まずありえないわけですが、焦ったようですね。そのぐらい大きな煙だったみたいです)。
もう、大慌てでバケツに水を汲みにいく。
その間、「どうしよ、どうしよ・・」とばかり考えていたそうです。
そしてバケツに水を持って、いざ壁の内側の煙の場所に行くと、火どころか煙すらない。
・・・・という話をその夜の次の日に私に話してくれました。
「あれ、なんですかね~」と困ってたAさんに対して、話を聞いた私は大爆笑していたわけですが・・・。
そもそも、その寮が建つ前は、かなり古い歴史のある建物があった場所です。
また、工事の時から私は立ち会っていたのですがその会社が半分詐欺まがいみたいなところで工事も適当だしそもそも地鎮祭すらしていない感じでした。
(ま~この会社が、工事も適当なわけですが、なぜか昔からその寮を作る人と懇意のようで、私が何度も「作りが適当すぎるから、問題が起きる」と言っても聞いてくれなかったんです。そして見事、築1年で床がずれたり、雨漏りしたりと・・ひどいものでした。そしてかなりぼったくり)。
そして出来上がった寮からは、騒音問題からなにから勃発。
とどめに寮生からは「真夜中になにかが足?を引きずりながら歩いてる」とか「真夜中にノックされる」とか心霊現象的な相談が相次いでましたね。
(しかしながら、真夜中、寝ずに見廻りなどもしましたが、そういったものは確認できませんでした)。
そんなところですから、Aさんの言っているような現象が起きても不思議じゃなかったわけです。
ただ、そのあたりがあまり良い土地ではないのか、近くにある高校からは夜中にだれもいない音楽室からピアノの音がするし、文化遺産に指定されてる物がある場所も近くにあり、そこも霊の目撃例が後をたたない場所ではあります。
(真夜中の高校のピアノの件は、昔はたまに教師が夜中の学校でストレス発散に、電気消してひたすらピアノを弾いているという場合もあるという話があるわけですが、その音楽室は外から見ることができる状態で、みな体験した人は「誰もいなかった」と証言します。それに、もうこの頃は、警備会社が入ってますので、そんなことをしていたら報告対象ですしね)。
そうこうしているうちに、夜中の宿直室に私がいると玄関のインターホンが鳴るという現象が起き始めました。
だいたい夜中1時から3時の間に起こります。
一応、そのたびに起きてインターホンのカメラから外を覗くわけですが、誰もいない。
それが、なぜか私がいる時だけ起こるわけです。
(他の寮監はそんなことないと言っていた)。
そこで、ある日、玄関に防犯カメラを設置することになりました。
そして、設置してからまもなく、夜中にインターホンが鳴るわけです。
「やった!きた!」と思って、朝からその時刻の録画を見てみるも、なんにもいないインターホンから音が鳴るだけでした・・・w。
で、一応、電気屋などにチェックしてもらいましたが、特に異常はないとのこと。
結局、その現象は私が退職するまで続きました。
・・・あとはですね、霊感があるらしい寮生は辞めていった感じがあるんですよ。
もちろん、理由は「集中できない」とかなわけですけど。
いずれも私に怪奇現象?っぽいのを相談した寮生ばかりなわけです。
なお、私はその寮を運営する側との給料問題でやめました。
寮が建つ前からやとわれていたわけですが、寮が予定したほど階数を作れず、予定した収入が得られなかったわけです。
つまり皮算用で寮長を募集したわけです。
そういったわけですから、1年経ったころに「給料が払えない」というわけのわからないことを言い出したわけです。
労基にとも思いましたが、それ以外にも建物の不備や、なんか庭師の強欲(庭師の良い値を払うらしくて、新しくできた寮の植木を手入れするのに「触るな」とかAさんに言ってきたそうです。ただ草むしりしてただけですよ?しかも、その後隣の家(そこの寮の運営者の家)の草木を切る際に寮のガラスを割ってしまったのに知らんぷりする・・・)などなど、問題だらけでキリがなかったので辞め時だなと感じたのもあり、その1年後には辞めるわけです(正直、やめて正解でした。その後もトラブル続きだったそうです)。
まあ、土地が古い上にまわりの人間がそんな感じですから、そりゃいろいろあってもおかしくはないですよね。
余談ですが、その後、労基が入ったそうです。
そりゃそうですよね~あまりにずさんすぎる運営してましたから。
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