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怪談38「フリフリドレスの妹」

 この話は、私の実話怪談にたびたび出てくる「先輩S」の家に初めて行った時のお話。
 ※過去に書いた先輩Sと一緒の時の話は下をご覧ください。


 先輩Sの家は、呪われた土地でお話したところの奥の、山に登る細道がある麓の場所に存在します。
 その数件先には、椿の木の下で、マジで使用人の首を日本刀でザンッと切った( ;∀;)家があります・・・とんでもない集落です(; ・`д・´)。
 そのSの家は、旧日本家屋をほどほど改築した程度の作りで、Sの部屋は田舎間10畳ほどある大きい部屋で、二階にあります。
 その部屋横の廊下は長く、廊下の長さほぼ全部に窓が設置してあり、そこから車数台停めれる大きさの庭を見ることができます。

 つまり、けっこう大きい家なわけです。

 私はその日、その庭に車を停めて、携帯でSを呼びました。
 すると、Sは、携帯は取らず、その廊下の窓から顔を出し、私を見ながら「おお、ごめん、もうちょっと待ってね~」と言って部屋に戻ったようでした。
 そしてしばらくすると、また顔を出し「ああ、ごめん、今いくよ」と廊下を下に降りる階段に向かって歩いていました。

 ・・・・・が、よく見ると、そのSの後ろをついていくように女性が歩いてたんですね。
 歳は当時の私(24歳)と同じぐらい。
 そういや、Sには妹、しかも俺と同い年の妹がいると言ってたな・・・ということは後ろの女性は妹かな?と思って見てました。
 しかし・・・・なんというか・・・見てて、なんか・・・ねぇって感じなんです。

 その理由というのが服装です。
 その女性、真っ赤なドレスで肩や胸などに目立つ白のレースのフリフリがあるなんとも派手な格好をしてたんです。

 このSの家は、正直、かなりド田舎に位置します。
 しかも旧家屋の家にはとても馴染めない真っ赤でロリータチックなドレス・・・・。

 でもその時は「うはぁ!Sさん、なかなかぶっ飛んだ妹いるな」って思ったんです。

 そして、Sが降りてきて車で遊びに行ったわけです。

 まあ、そのぐらいしか思ってなかったので、別にその妹の話なんてしませんでした。

 ですが、しばらくして、Sさんと職場で一緒になった時に、その妹の事を思い出したんで聞いてみたんですよね。

 「そういや、Sさんの妹、めっちゃ飛ばしてますね。あれが普通なんですか?」と聞くと「あ?なに?妹知ってるの?」と返事しました。
 「・・・・ん~でもお前に妹、見せたことないよね?どこかで見たの?てか妹ってよくわかったな。アイツがそういったのか」とSが続けて言う。

「いや、こないだ初めてSさんの家に行ったじゃないですか?あの時いましたよね?」と俺は笑いながら話してたんですがSが「は?」と眉を顰めました。

 私は「もうおぼえてないんですか?ほら、あの日、Sさんの後ろから歩いてたじゃないですか、廊下で」と続けましたが、Sは「妹は家にいね~よ、別のところに住んでる」と答えます。

 しばらく「?」となった私なわけですがとりあえず、あの時見たとおりの赤いドレスでフリフリなロリータチックの服着てた話をしてみました。

 するとSは「お前、バカか?うちのカス(妹)がそんな可愛い恰好するわけね~だろ。てか、前に来た後輩も同じような事言ってたんだよね。そもそもそんな女いね~し、変なこと言うなよ気持ちわりぃ」とちょっと怒ってしまいました。

 ん~?と私は思ったわけですが、Sがそういっているわけなので、その時はそれで終わったんですね。

 それから数年後、Sはとある事情でその家を失うことになり、引っ越ししなければならなくなりました。

 その手伝いに私は駆り出されました。
 (ちなみに、その引っ越しの際にもいろいろあったので、そのうち書きます)。

 で、妹の部屋も片付けることになったわけですが、私が到着する前に先にSが妹の部屋を片付けてたようでした。

 私が到着するなり、Sが「おい、ちょっと見てもらいたいものがあるんだけど・・・」と言って妹の部屋に私を呼びました。

 妹の部屋は机と雑誌、あとはちょっといけないw物があったぐらいでしたが、その押し入れをSが指差します。

 「その中にあるんだけどね~、まあ、開けて見てくれよ」と言いました。

 ・・・・・この時点で嫌なんですが、そういわれると、興味も沸く。
 結局、好奇心に勝てずに押し入れを開けてみると、押し入れにはポツンとフランス人形が置いてあったんですね。

 なんだかとても気持ちの悪い展開ですが、なにより驚いたのは、そのフランス人形が来ていたドレスこそ、Sさんの家に最初に訪れた時に見た、女性が来ていたドレスと同じデザインだったんです。

 Sさんに「・・・・あ~・・・おぼえてます?昔、Sさんの後ろを歩いていた女性の話、あの時と同じドレスを着てますよこの人形」と告げると「・・・・マジか・・・・この人形、めっちゃ気持ち悪いし、そもそもアイツがいつ持ち込んだとか記憶ね~だよね」とSが言う。

 「妹さんに聞いてみたら?」と私は言ったのですが「あ~?無理無理、あいつ精神病だから、電話かけても話通じね~もん」とSは言ってました。
 ※この「精神病」に関しては、怪談21でお話した話が関与しています。気が向いたら読んでみてください。

 「てか、できるだけ触りたくないし、ここから出したくもないぐらいな
んか気持ち悪いんだよね~この人形・・・・どうしよっか?」とSはしばらく思案してました。

 「なんとか置いて(笑)いきましょう」と私が言うと「そだね~、じゃ屋根裏に放置しよう」とSは言う。

 古い家なので、屋根裏に入れるように押し入れの天板は外れる仕組みになっていて、その人形のすぐ上の天板は簡単に外れるんですよね。

 そして、私が押し入れに上がって、天板を外し、その人形を屋根裏に置く。
 そのついでに懐中電灯で、屋根裏の中を照らして見ていましたがSが「ああ、あんまり見ないほうがいいよ。うちはいろいろあるからね~」って釘を刺してきました。

 ・・・・・興味はめっちゃあるわけですが、Sが「はやくしめろ」と急かすので、結果、見ることは叶いませんでした。
 いったい、なにがいろいろあるのか・・・・。

 と、いうことで、人形はそのまま屋根裏に置いてけぼりしたわけです。

 ちなみにSの家はちょっと騙された?形で手放すことになったので、まあ、屋根裏にそういったものを放置しても心は痛まないというわけで・・・。

 その後、Sのその家はどうなったか・・・というと、今でも誰も入居者もなく、庭は荒れ果て、雑草が私の背丈まで伸びて、荒れ放題になっています。

 話が複雑なのですが、その家を横やり入れて購入し、Sの家に嫌がらせした人がいまして、その家族は、その家を購入後、全員、病気や事故で不随になったり、お亡くなりになったそうです。
 (と、Sが高笑いしながら言ってました。事実関係は調べてませんが、あの高笑い方からしてたぶん本当の事なのかなと・・・)。

 一族しか受け入れない家だったんでしょうね(; ・`д・´)おそろしい。

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