見出し画像

怪談9「神様が待っていた女性」

 この話は、今から25年ほど前に相談された話です。
 まあ、相談といっても「どう思う?」という程度なんですが・・・。
 私の知り合いの姉の話で、聞いた時にはすでに霊障?が悪化してどうしようもない状態なので、せいぜい「どう思う?」「どうしたらいい?」程度にしかならないわけですが・・・。

 そのお知り合いの姉を仮にAさんとします。
 Aさんは当時27歳で、活発な女性だったそうです。
 仕事もバリバリこなすし、毎朝体作りのためにランニングしたりなど、不健全な私(笑)からしたら、健全の極みのような生活を送っていた人でした。
 面倒見も良く、まわりからも慕われていた方だったんですね。

 で、そのAさんのランニングコースは決まっていて、あるお地蔵様の前を必ず通るという内容でした。

 そのお地蔵様は古くからその地域にあるものらしく、近所の自治会の方々がお手入れもしているものだったそうです。

 そんなある日の事ですが、その日も早朝からお決まりのランニングコースを走って、そのお地蔵様の前に差し掛かったそうです。

 ただ、いつもは素通りするのに、その日はなぜかお地蔵様が気になり、つい足を止め、なにげに手を合わせたそうです。

 すると、突然、お地蔵様から後光が差し、白いふわふわの衣をまとったような若い女性の姿が現れたそうです。

 びっくりして固まっていると、その女性が言うそうです。
 「私はここでずっとあなたを見ていました。そしてこの時を待っていました」と。
 耳に聞こえるというか、頭に響く心地よい声は、身体が軽くなる感じがあったそうです。
 そして続けて「あなたにチカラを授けます。その力でまわりの方々を導いて幸せにしてください」と言い、消えていったそうです。

 はっと気が付くと、女性は消え、お地蔵様が微笑んでいるように見えたそうです。

 それ以来、Aさんは毎朝、ランニングに行くとお地蔵様に手を合わせるようになりました。
 
 そして、周りにもこの体験の話はしていたそうですが、そのあたりからある事が起こります。
 誰かと話していると、頭の中にその人がこの先どうなる?というのが浮かんでくるようになったそうです。
 たとえば話している相手が明日交通事故に・・・というような映像が浮かんでくるのだそう。
 最初は黙ってましたが、その後、必ず相手が頭に浮かんだ映像どおりに事故にあったりする・・・。

 そこでAさんは「これだ!自分は予知能力を与えられたんだ!」と思います。
 そして、この予知能力を使って周りの人を救うのが使命なんだと・・・。

 それからは、頭に浮かんだ映像を必ず相手に伝え「気を付けてね」「明日は外に出ないようにね」とアドバイスするようになりました。

 Aさんの予言は的中しまくり、少しづつ噂になりました。
 ですが・・・

 最初はすごい!と周りから言われていて、アドバイスなども受けるようになりましたが、しばらくすると、逆にAさんを気味悪がるようになります。

 どうして?

 それはAさんは「悪い内容の予知しかしない、そして必ずAさんが予知する内容と同じ悪い事が起きる」となったからです。

 その頃になると、妹さんも友人も「もうやめたがいいよ・・・」と言うのですが、Aさんは「神様からいただいた力だから、私が使いこなせてないだけだ!だから不幸を回避できないんだ!」と言って聞かなくなっていました。
 この予知能力を授かってからというもの、Aさんは少しづつ人が変わったようになり、その不幸しか予知しないものと相まって、人はどんどん離れていき、Aさんはとうとう引きこもるようになりました。

 最後は家族とも極力会わないように、人ともかかわらないようになっていったのには理由があります。

 その頃になると、Aさんも少しは気が付いていた雰囲気はあったそうです。
 それは「予知するのではなく、人に不幸を与える」という事に。
 つまり、自分に見える相手が不幸に見舞われるイメージは、予知ではなく自分に力を与えた者が自分を介して相手にその不幸を与える事前予告だということです。

 Aさんは、その後、どんどんおかしくなり、とうとう精神病院に入れられることになったそうです。

 というお話の内容でした。
 まあ、ここまで話を聞いて「どう思う?」と言われてもどうもこうもないんですが、実は最初のお地蔵様から女性が現れるところまで聞いたときに「あ、それ、神様とかそういった類じゃないですよ?なんかよくわからん悪いものですよ」となんとなくそう思ったので、言ったんですが、話をしてくれた方は「とりあえず最後まで聞いて」と釘をさしてきました。

 まあ、最後まで聞いたけど、最後まで聞いても私の意見は変わりませんでしたけどね。

 ・・・それかただ単に精神疾患を突然発症したか?ぐらいしかありませんが・・・。

 最後にこの話をしてくれた方に会った時に「Aさん今どうしてますか?」と聞いたら「相変わらずみたいだよ。妹さんももう良い年で、ご両親も疲れ切ってるから、そろそろなにか考えないといけない頃なんだろうけど・・・」と話してました。

 あ、あとだいたい気になるところではあると思うのですが、そのAさんはお祓いに行ったのか?という部分ですよね?

 知り合いをつたったり、お寺や神社にご相談もされたそうですが、ことごとく断られたそうです。

 仮に憑りつかれたとした場合、いったいどんなものが憑りついてたんでしょうね?

※無許可での無断転載、転用、YouTube、その他各種媒体への転用、転載、引用などは禁止とさせていただきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?