我々の目標は外部に帰着する。
主役はあくまで農業者とJA
JAの目的は何か?
農業者のために働くことである。我々は使用人だ。ここを忘れてはならない。
農業を持続可能なものにし、地域社会に貢献する。その主役は、当然、農業者でありJAなのだ。
では、どうすればその目的に近づけるか?
数字で語る農政活動
まず、農政部門における成功はどう評価するか。
農政運動は「やった感」が組織結集のために必要な重要なファクターである。
ただ、その成果さえも感覚や雰囲気で表現していては、吹雪の中を号令だけを頼りに進む登山隊となってしまう。
観測すべきは、投入した資源に対する今年度の成果はどうだったのかだ
会としての予算執行、組合長の要請活動、作物別委員会の運営費、集会の経費――これらをベンチマークとすることで、勝ち取った予算がどれだけ有効だったかが見えてくる。
当然にこれ以外の要素も多く存在する。
感情渦巻く政治の世界である。他業種との利害のぶつかり合いもあるだろう。
しかし、できるところから数値化を始めなくてはなければ、良い悪いの評価ができない。
評価ができなくては、次により多くの資源を投下すべき場所も見えない。
それでもなお「よくわからない」なら、数値化する範囲を広げていくのだ。
相談支援部門の使命
次に、相談支援部門の話に移る。
ここでのミッションはJAの運営を健全に保つことである。では、「健全」とは何か?
「企業としての持続可能性」と「組合員への貢献性」が高いこと。この2つがJAの健全性である。
企業としての持続可能性であれば、例えば「事業総利益」「給与手当」「職員数」が重要な指標となる。
当期剰余金はどうだ、固定比率はどうだなどの声も出てこよう。別にその数値を使っても構わない。ただ、指標は最大でも3つが限度だろう。
経営指標は数多くあるが、それぞれの数値は密接に関連している。むやみやたらに指標を増やさずとも、真因となる一つを指標とすればマクロ視点では十分なモニタリングができる。
組合員への貢献性では「事業分量配当」「出資配当」が重要な指標となる。
営農指導費や販売品取扱高なども考えうるだろう。
これらが毎年どのように推移しているのか、しっかりとモニタリングする必要がある。
そしてこれらの数字を3年後、5年後どうしていきたいのか。明確な目標値を設ける。
そこまでしてようやく、目標値に近づけるための施策や取組が効果を持ち始めるのだ。見て見ぬふりは許されない。
手段と目的を混同しない
ここで注意が必要なのは、手段と目的の混同である。
課題に対処するための手段は数多く存在する。しかし、それらの手段を目的としてしまうと、迷走してしまう。たとえば、特定の施策を実施すること自体がゴールになってはならない。
手段はあくまで目的を達成するための道具であり、そこに注力しすぎてはいけない。各種基準に対してどのような効果があるかを見極め、必ず目標値を設定することが必要だ。
ざっくりでも基準を設定せよ
「基準はざっくりでいい!」これは大事なポイントだ。
完璧な目標を立てる必要はない。少し間違っていても構わない。重要なのは、評価をするために、まず基準を設けることだ。そうしないと、良い悪いが曖昧になり、前に進めない。
私もKPIの設定は苦手である。
しかし、KPIは難しいものか? 違う、そんなことはない。
ただ、「慣れていない」だけなのだ。
慣れていないことを、最初から完璧にやろうとしても無理がある。
間違っていれば修正すればいい。やれるところから始めれば、自ずとできるようになってくる。
そう、「やって覚える」だ。これは我々の組織が得意とするところではないか。