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フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築 に行ってきました。

偶然に見つけた近未来都市のようなドローイング(展覧会のポスターとして使用されている)に惹かれて、汐留に行ってきました。
入場までに5,6組、平日昼間の割には、場内も混んでました。

2/17以降の土日及び3/1以降は日付指定予約とのことです。
準備してお出かけください。

展示面積はこじんまりとしているものの、フランク・ロイド・ライトの歴史が詰まっていました。


フランク・ロイド・ライト

フランク・ロイド・ライト(1867–1959) と言えば、旧帝国ホテルエドガー・カウフマン邸(落水荘)グッゲンハイム美術館

建物のみならず、フランク・ロイド・ライトがデザインした窓や椅子、そして、デザインから派生した商品をミュージアムショップなどでよく目にするのではないでしょうか。

フランク・ロイド・ライトアメリカ合衆国にある8つの建築作品は、世界遺産として登録されているそうです。

現存している彼の建築は、アメリカ本土以外には日本だけなのだそうです。
日本にいて、ラッキーでした。

展覧会のはじまり

入ってすぐに リトル第二邸「北の家」窓ガラス が置いてありました。
アール・デコです。
フランク・ロイド・ライトの世界に踏み込むスィッチが入ります。

展覧会は、フランク・ロイド・ライトが生まれた頃のシカゴ(大火事から復興)、東京(江戸から東京に)の様子から始まります。
人口が増えて、街が近代都市になっていく時代だったのだなと認識しました。わたしのような不勉強な人間にも分かるような、親切な展覧会構成です。

フランク・ロイド・ライトは、30代後半にパトロンの日本旅行に同行する形で来日しました。浮世絵にインスピレーションを得たり、日本に対して、大いなる関心を寄せてくれていたようです。
シカゴ美術館の浮世絵の展示をプロデュースしていたり、意外とも思える一面も紹介されていました。

ニユティ・テンプル


フランク・ロイド・ライトにとって、初めてのコンクリート建築だそうです。屋根のラインが地面と水平で、重厚感があります。
この系譜上にプレイリーハウスが登場します。
ユニティ・テンプルは、プロテスタントのための礼拝堂及び集会所で、「教会」とは区別されるもののようです。

フランク・ロイド・ライトの芸術論

写実を求めるのではなく、抽象度を高めることで、環境に溶け込む建築を目指したようです。

建築とは、建造される土地土地が持つ風土、気候、歴史と切っても切れない関係にあります。フランク・ロイド・ライトは、生涯を通じて、建築と環境をいかに最適化するかを模索したのではないでしょうか。

ライトは芸術家とは、自然の外形を再現するのではなく、「慣習化」、「抽象化」することで、その根底にある幾何学や構造を引き出し、自然に近づくものだと考えていた。

展覧会より

心惹かれた作品

1.柱サボテンとサボテンの花 デザイン案

アリゾナ州フェニックスに事務所を構えたときのもの。サボテンが、、、アールデコ。
線、丸と四角 カラフルでリズミカル。
見事に抽象化されています。

フランク・ロイド・ライト
《『 リバティー』誌のための表紙デザイン案 柱サボテンとサボテンの花 》
1927-28年、米国議会図書館版画写真部蔵
Photo: Library of Congress, LC-DIG-ppmsca-84873.

2.クーンリー・プレイハウス幼稚園の窓ガラス

図形と余白バランスが心地よいです。
モンドリアンのコンポジションのようなリズムがあります。モンドリアンはフランク・ロイド・ライトより、少し年上のオランダ出身の画家です。

裏面は、図形の色が真っ白で、全く印象が違いました。大事なものが欠落してしまったような感覚に陥ります。この作品において、色彩は肝です。

フランク・ロイド・ライト
《クーンリー・プレイハウス幼稚園の窓ガラス》
1912年頃、豊田市美術館蔵

3.3Dスキャナー、3Dプリンターによる旧帝国ホテルの模型

展覧会のサブタイトルである「帝国ホテル二代目本館100周年」コーナーです。旧帝国ホテルの大きな模型(36.0✖️84.5✖️139.5)がありました。
コンパクトな3Dプリンターしか知らなかったので、こんな大きな模型を作れるプリンターはどんな大きさなのかと思いました。
元になったオリジナルが石膏のためか、模型は白色ですが、着色すれば、青森県立美術館のメインビジュアルに写っている帝国ホテルになるのでしょう。

四角くて、重厚で入り組んでいて、マヤ文明の遺跡のような建造物です。
旧帝国ホテルは、開業日に関東大震災が発生したものの、被害は軽微だったそうです。その耐震設計が伝説になっています。

椅子などの展示もありました。

旧帝国ホテルは、愛知県犬山市にある博物館明治村に正面玄関部分が移築されています。

4.原寸モデルの住宅

この展覧会の中で唯一写真okな場所でした。
フランク・ロイド・ライト中低所得者向けの住宅を手掛けていたとは、知りませんでした。さっぱりしていて無駄がなく、モダンです。

帝国ホテルとの振り幅がすごいです。

ユーソニアン住宅の原寸モデル

展示は続く


この後、グッゲンハイム美術館、樹状構造の高層建築、ヴェネツィアの運河沿いの館計画、大バグダッド計画案、リビングシティ構想…と続きます。
60年を超えるフランク・ロイド・ライトの膨大な仕事を写真、立体模型、映像で、目撃してきました。

実現したもの、しなかったもの、ここにあるもの、ないもの、全ては必然なのかもしれませんね。考えさせられます。

巡回展 次は青森へ

豊田市美術館からの貸し出しが多いと思っていたら、2023年10月ー12月まで豊田市美術館で開催していた展覧会が、パナソニック汐留美術館に巡回しているものでした。
この後、青森県立美術館(2024年3月20日〜5月12日)に巡回するそうです。メインビジュアル(ポスター)に何を選ぶかによって、展覧会から受ける印象が変わって、面白いです。メインビジュアル、大事ですね。

ルオーギャラリー(所蔵品)

フランク・ロイド・ライト展に合わせて、家族や親しい人々が集う空間を切り口に、作品が展示されていました。
中でも強く印象に残った2つの絵について書きます。

「秋の夜景」
ルオーにしては大きい作品(74.8✖️100.2)で、今まで意識したことのないルオーの構成力に驚きました。
厚塗りの絵の具の上に黄色を塗って、温かい印象です。明確な黒い輪郭線でも、野暮ったくならないのは、全体を厚く塗って、画面上のバランスを取っているからでしょうか。温もりと力強さが残ります。

「エジプトへの逃避」
額縁まで彩色を施して
、いえ、「施して」なんて、生ぬるいレベルではなく、厚塗りでごつごつしていて、はみ出ていて、絵画ではなく、額縁含めて立体作品と呼びうるのでは?と思うくらいの一体感でした。

ルオーの作品は、筆致が力強く、実際に目にすると、その魅力に引き込まれます

東京では、出光美術館でも、ルオー作品が見られますよ。

ミュージアムショップ


マグネットパペット 1,650円を見つけました。
寝ぼけ眼の白髪のおじさん、フランク・ロイド・ライト!?
パペット(指人形)として使えるようです。おままごととか芝居とか、どんな遊びになるんだろうと妄想してしまいました。

同じシリーズと思われるパペットが通販でありました。
シリーズであるようです。ゆるふわ。


お出かけのご参考になれば幸いです。お読みいただき、ありがとうございました。

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