読書#11「Think Smart」著:ロルフ・ドベリ
どんな本?
世の中には、成功もあれば失敗もある。成功する方法は人によって違う。場所によっても、時代によっても、境遇によっても異なる。それから、運もいる。つまるところ、成功するというのはたいへん難しい。
だが、失敗ならば体系化できる。どういうわけか、失敗するケースには、多くの共通点があるらしい。
成功する法則はわからないが、失敗を避けることはできる。この本は、そういった思想に則り、こういうことをすると失敗するから気を付けてね、ということをつらつらと述べている。
すばらしいのは、研究例が紹介されており、それぞれしっかりと参考文献が記載されていることだ。その先まで調べたりしないが、これどこの研究?って思ったとき、ちょっと見るのにいい。何より信頼感が違う。
多くは認知バイアスに関するものな気がする。思い込みや、無意識での行動、それらに気づいていたら直せるものなのかわからないが、ある程度は回避できるかもしれない。
気づき
自分の作ったものは素晴らしいという思い込み
NIH症候群(Not Invented Here syndrome)。自分達が考えたものが、ほかよりもすばらしいという思い込みから、他の者がつくったものを使いたがらない傾向のことを言う。
がんばって作ったから、時間をかけて作ったから、自信があるから、そんな理由で自分でつくったぽんこつ作品を過剰評価してしまうことは、ままあることだ。
ビジネスという視点から見るならば、できるだけ客観視することを心がけようという教訓である。
しかしながら、いくつか例外はあるのではないかと私は思う。
一つは、愛着のあるもの。他と比べてよくはない、むしろ劣っていたとしても、自分でつくれば愛着がわく。そこに価値を見出すのはわるいことではないのではないか。
もう一つは料理。理由はわからないのだけど、料理って、店で食べた方がおいしいものと、家でつくった方がおいしいものがあるよね。なんだろうね、あれ。
ブラック・スワンは予想外
ブラック・スワンは誰にでも訪れる。だから、心構えをしておこう。受け入れよう。世の中の多くのことは制御などできやしないのだから。
運という要素を排除できない、ということは世の成功者がよく言っている。ただ、一つ勘違いしてしまいがちなのは、彼らは運が良くて成功しているわけではなくて、運以外の要素を努力でそぎ落とした結果、最後の最後、運によって成功したのだ。
ブラック・スワンは誰にでも訪れる。それは追い風なのか向かい風なのかはわからない。ただ、追い風が吹いたとき飛べるのは、準備をしておいた者だけだ。
自分のことはわからない
自分にできることと自分にできると思っていることが一致している者はそう多くないと思う。ここを一致させるだけで生きるのはずいぶんと楽になる気がする。
私も今訓練中である。瞑想で自らのことを観察する。何ができて何ができないかをフラットに分析する。
でも、これ難しいよ。ほんと、コツがあるならば教えてほしい。
考え方は凝り固まるもの
これは、やりがちな思考法である。自分の得意分野にむりやり落とし込んで考える。その方が楽だし、できるような気がするし、できたように錯覚できる。
けれども、その分野にはその分野の思考法がある。何でもかんでもアナロジーでは解けないのだ。
この誤りを解決するためには、二つのやり方がある。一つは、様々な分野に精通すること。様々な思考法を駆使して問題に取り組む。ハンマーだけでは解決できないのであれば、ドリルとのこぎりを持てばいい。
ただ、この解決法はあまりにストイックというは賢者の解決法だ。とすると凡人はもう一方の解決法を選択した方がよいかと思う。わからないことを認めることだ。
よく、自分の専門分野以外のことをしたり顔で話す者がいる。私もよくやるので自戒を込めてだが、わからないことは素直にわからないと言った方が、後々のことを考えるといい。
退路を断て
あー、やるよね。
心当たりが多すぎて、私は、うーっと唸ってしまったのだけど、選択肢を多く残しておきたいと常々考えてしまう。そちらの方が戦略的によいと思うからだ。
しかし、ビジネスで成功するためには、選択肢を絞るのも大事だという。ただ選択肢を残し続けるのは、単なる優柔不断。戦略的に選択肢を閉じて、絞って、重要な選択肢だけを残して、集中する。
難しいのは重々承知のうえで、思考法としてはちゃんと覚えておきたい。
でも、実践するのは難しいよなー。