症例報告② 糖尿病について

②irAE 糖尿病について
今回は、免疫チェックポイント阻害薬の使用により、
免疫関連有害事象のirAEの一つである、1型糖尿病を発症した、
という症例の報告でした。

免疫関連有害事象は
過剰な自己免疫反応によって引き起こされる、
と考えられており、
さまざまな症状を引き起こします
(甲状腺機能不全、大腸炎、間質性肺炎、1型糖尿病など、、)

このirAEの1型糖尿病ですが、
自己抗体が陽性にならない、特発性の1型糖尿病
というのが起こりやすいんだそう、、
そんなの初めて聞いたよ!!!

ということで、
この 特発性1型糖尿病 について
少し調べてみようと思います。

1型糖尿病、2型糖尿病の違い
インスリンの欠乏があるかどうか。。

2型糖尿病でもインスリンを使う方はいらっしゃいますが、
その方々は、
インスリンの分泌が低下していたり、インスリンの効きが悪くなったりして
相対的にインスリン分泌が低下している状態。。

わかりそうでわからない説明かも、、

1型糖尿病で陽性になることの多い自己抗体

抗GAD抗体、抗IA-2抗体、抗ZnT8抗体、ICA(抗膵島細胞質抗体)、IAA(インスリン自己抗体)
抗ZnT8(亜鉛トランスポーター8)抗体の測定は抗GAD抗体、抗IA-2抗体、IAAが陰性である1型糖尿病を発見できる、とも言われているよう、、

今回紹介する、特発性1型糖尿病、は
自己免疫反応があることがわからない1型糖尿病。。
2型とは違い、HbA1cの上昇は見られないこともあります。
(突然発症することがあるため)

この症例を疑問に思った理由

症例検討で、そもそも隠れ糖尿病だったのでは。
という指摘がありました。
HbA1cは6後半。Gluは100以上。でも随時血糖値。。
7でもないのに?
てかそもそも随時血糖値って?

などと、糖尿病の知識が怪しいことにも気づきました。

糖尿病のおさらい

空腹時血糖値126以上、随時血糖値が200以上

HbA1c 6.5以上
で糖尿病と診断されます。
随時血糖値200以上って、
高すぎるんですって。

そこで、
随時血糖値180以上は
糖尿病を積極的に疑っておいても良さそう、
という見解も示されているようです。

(一番血糖値の高い時間である、
食後1時間後に血糖値180以上ある人は糖尿病型の可能性が高い、という報告があるそうです)

随時血糖値について

空腹時の血糖値が100以上であった場合、
指導を受ける可能性があります。
空腹時血糖値100以上というのはHbA1cでは5.6%くらい!
この時の随時血糖値は?

食事1時間後までなら140以下、
食事から3-4時間経過していれば100以下であると
健康と言えそう!

食事を済ませた状態で採血することになった時の参考にしてみてくださいね!

糖尿病の治療目標

HbA1c6未満を目指したいところですが、
合併症予防のためには7未満、
高齢患者さんなどでは場合によっては8、8.5を目標にすることもあります。
(低血糖の方が危ないため)

HbA1cについては
平均血糖値が同じであれば、HbA1cは同じ値になります。

HbA1cについて

糖尿病患者さんにおける治療目標については
先ほど述べた通りです。

高齢者において、
そこまで厳格な糖尿病治療を行わなくてもいいのは
なんと言っても低血糖が怖いからです。

では、糖尿病でない高齢の方のHbA1cは一体どのくらいなんだろうか。。
60代、70代以上でもHbA1cの平均は6.0でした!!
えええ!!
びっくり!

改めて先ほどの検査値について考えてみます。
症例検討で、そもそも隠れ糖尿病だったのでは。
という指摘がありました。
HbA1cは6後半。Gluは100以上。でも随時血糖値。

どうでしょう。
HbA1c6後半。。
そもそも、6.5を超えていれば糖尿病。。
随時血糖値であっても、100を超えるのは食後1時間後をすぎていれば
耐糖能異常があるという判断もできそうですね。

この指摘、鋭い!と思いましたが、
知識がちゃんとあればできる指摘であったようです😭
基礎は大事であることをつくづく思い知らされるところであります。。。

略語解説(前回の分もまとめて)
irAE:免疫関連有害事象
ICI:免疫チェックポイント阻害薬
OS:全生存期間
ILD:間質性肺炎
TPS:腫瘍細胞におけるPD-L1陽性率 (Tumor Proportion Score)
NSCLC:非小細胞肺がん

参考サイト


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