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テツガクの小部屋

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西洋哲学史の概略を、私見を交えずに、淡々と追うシリーズ。引用に用いる文献のサブタイトルはー理性の運命と可能性ー。哲学は時にとんでもないコトを大真面目に考えたりします。あなたもテツ…
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記事一覧

テツガクの小部屋22 プラトン⑥

・デミウルゴス イデアは永遠であり、生成することも消滅することもない。それゆえ宇宙生成に…

まどろみ天使
11時間前
37

テツガクの小部屋21 プラトン⑤

・プラトンの構想する世界構造 世界はまず英知界(ノエータ)と可視的世界(ホラタ)に分けら…

まどろみ天使
3週間前
150

テツガクの小部屋20 プラトン④

・分有説 イデアが存在で、個物は非存在、すなわちイデアの仮象である。しかし不完全ながらも…

まどろみ天使
1か月前
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テツガクの小部屋19 プラトン③

・想起説 ・プラトンの知識論・想起説 プラトンは知識(エピステーメ)はイデアに関してのみ可…

まどろみ天使
2か月前
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テツガクの小部屋18 プラトン②

・イデア論後半 かくしてプラトンにとっては、イデアの世界(英知界)と個物の現象する世界(…

まどろみ天使
3か月前
141

テツガクの小部屋17 プラトン①

・イデア論前半 既述のように、善・正義・勇気・美の定義は、その本性上、善それ自体、正義そ…

まどろみ天使
3か月前
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テツガクの小部屋16 小ソクラテス学派②

アリスティッポスはソクラテスの「よく生きよ」を「快く生きよ」という意味に解し、そこからこともあろうに極端な快楽主義を唱えた。ソクラテスの「よく生きる」は「善く生きる」こと、すなわち有徳に生きることを意味すると同時に「快く生きる」こと、すなわち幸福に生きることも意味している。アンティステネスは前者の面をとり、ソクラテスの命題をその方向において極端化し、徳を人生唯一の目的として快を捨てたが、アリスティッポスは後者の面を捉えて、ソクラテスの命題をアンティステネスとはちょうど逆の方向

テツガクの小部屋15 小ソクラテス学派①

小ソクラテス学派には、アンティステネスとキュニコス派、アリスティッポスとキュレネ派、エウ…

まどろみ天使
5か月前
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テツガクの小部屋14 ソクラテス③

ソクラテスの方法は対話(ディアロゴス)である。これはロゴスが二つに割れることを意味する。…

まどろみ天使
5か月前
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テツガクの小部屋13 ソクラテス②

・死の準備 前回より続く~「無知の知」の自覚をもってソクラテスは自らの教育的使命を自覚し…

まどろみ天使
6か月前
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テツガクの小部屋12 ソクラテス①

・無知の知 ソクラテスは研究上きわめて困難な対象である。というのは彼は自己の思想を表現す…

まどろみ天使
7か月前
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テツガクの小部屋11 ソフィスト

ソフィストとは教養および徳の教師と称し、裕福な市民層から高額の報酬を取って一般的教養や雄…

まどろみ天使
8か月前
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テツガクの小部屋10 原子論

原子論者としては、レウキッポスとデモクリトスの二人が分類される。 原子論はそれ以上分割し…

まどろみ天使
9か月前
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テツガクの小部屋9 アナクサゴラス

アナクサゴラスの哲学は、多元論的な考え方を導入することによって、エレア派の一者の思想とヘラクレイトスの万物流転思想を調停しようとしたエムペドクレスの試みをさらに推し進めたものである。彼は混合され、分離されるものを火・水・空気・土の四元素とは考えず、それを無数にあり、無限に小であるものとした。このような原質を彼は万物の種子(スペルマタ)と呼ぶ。それゆえ無限に小さい無数の種子の混合と分離から万物は形成されているというのが、アナクサゴラスの命題である。 種子は同質的な物質の質的単