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今、移民労働者の受け入れについて真剣に考えるべきこと

岸田政権によって『外国人労働者受け入れ拡大』の動きが高まっている。超高齢化社会が進み、労働人口が減っている中、移民を受け入れることで労働力を確保するという流れは自然なことだろう。

アメリカは移民で栄えた

時折、『移民を受け入れて成功した国などない』と言っている移民受け入れ反対論者を見かけるがはたして本当にそうだろうか?

世界一の経済大国であるアメリカは移民国家であり、移民によって作られたと言っていいだろう。多様なバックグラウンドを持つ人たちが様々な軋轢を抱えながらも革新的な技術を次々と生み出してきたのは周知の事実である。

時代によって特定の国からの移民が多く流れていった一方(アイルランドのジャガイモ飢饉や、第二次大戦中の農場へのメキシコ移民など)で、一環して世界中から優秀な人材の受け入れも行っている。

人口ボーナスという考え方

経済や投資の世界で、人口に対する労働力が豊富な状態となることで経済成長が促進される状態に対して『人口ボーナス』という言葉が使われる。

かっての日本の高度経済成長は、朝鮮・ベトナム特需や、冷戦下でのアメリカへの防衛負担の丸投げ、人口ボーナス、識字率の高さなどを背景に、労働人口のベクトルが揃ったことによるものだ。
間違っても、一部の老人の主張にありがちな、日本人は優秀だとか、勤勉だとかいうふうに思い上がらないようにしたい。

今の日本には特需もなく、急変する周辺環境から防衛費は上げざるを得ず、出生率と労働人口は減り続け、国家として目指すべきビジョンもない。

日本は移民を受け入れるべきか?

前述したように日本が置かれた状況は決してよくない。
優秀な国家運営のもとで出生率を高め、労働人口を高めるのが理想ではあるけれど、自民党が行ってきた政治は、非正規労働者を増やし、中流階級を壊滅し、晩婚化を加速させ、子供は産まれなくなった。

経団連や医師会など票田だけを見て、国の未来を真剣に考えてこなかったお爺ちゃん達が生み出した当然の結果でもある。

そこで、手っ取り早く労働人口を確保できるのが移民受け入れなのだ。

ただし、それは簡単なことではなく、これまで先進国の多くが挑戦し、失敗してきた。では移民を受け入れとしたら、何に気をつけるべきなのだろうか。

それは、厳格さと寛容さのバランスなのではないかと思う。

移民は受け入れるべき、ただし優秀な人材に限る

寛容さと厳格さとはどういうことか。
移民受け入れにはメリットとデメリットがあり、当然メリットを最大化し、デメリットは最小化すべきだろう。

メリット
・労働人口の確保
・優秀な人材の確保
・異文化の価値観を背景にした革新性

デメリット
・治安の悪化
・民族間の分断

例えばgoogleはイスラエル系、Instagramはインド系の移民が作ったように、海外の優秀な人材を受け入れた場合に革新性のあるサービスが作られることは期待できるかもしれない。
そういう意味で移民は受け入れるメリットも大きいのだが、そこには『優秀な人材に限る』という原則があった上でのことだ。

しかし、ここで一つの問題が起きる。
それがチャイナマネーだ。

優秀な人材は日本を選ばない

移民を受け入れる上で優秀な人材を確保しようとした時に、彼らが日本に対してそれほど魅力を感じないという残酷な現実がある。

経済的な面では、どうしたってチャイナーマネーには太刀打ちできないのだ。
じゃあ、どうやって惹きつけるか。

それが自由、民主主義、人権の尊重といった成熟した近代国家の価値観になる。治安の良い国家で弾圧されることなく、当たり前の生活が送れる。
これが優秀な人材を確保するための魅力となりうるのだ。
そして、このためには入管の問題を解決する必要もあるだろう。

誤った移民政策の先に起こること

岸田政権が行おうとしている移民政策は問題の解決とはほど遠く、むしろ最悪の結果を起こしかねない。

なぜなら、受け入れようとしている移民は低所得者が多くいる単純労働市場において、文句を言わずに安い賃金で働く人材だからだ。
これは低所得者層をさらに厳しい状況に追い込むことは間違いなく、その先にあるのは分断しかない。移民に仕事を奪われ、移民を憎み、排除しようとする運動が間違いなく起きる。

そして排除される側はコミュニティを作って結束し、移民によって形成されたミニ国家ができ、地域の中での断絶はさらに加速する。

これはヨーロッパで起きている移民政策失敗例の最たるものであり、失敗するのは明らかだ。

移民受け入れの基準

移民を受け入れる場合は、優秀な人材を幅広い国から受け入れ、特定のコミュニティに依存せず、日本の社会に馴染もうとする意欲があることが望ましい。そしてそれを受け入れるわれわれ日本人もそのために努力しなくてはいけない。

・優秀な人材に限る(例:インド人プログラマー、台湾人の半導体技術者、デザイナー、学業で成績が優秀、特定の分野で秀でている、本国で高収入等)
・困窮していない(お金だけが目的ではない)
・特定の国や宗教の人間に集中しない
・最低限の日本語能力をクリアしている
・外国人コミュニティを容認しつつも、孤立はさせない
・人種を問わず、優秀な外国人が上司になることを受け入れる

話を聞くのが得意な岸田さんには愚策を思いとどまって欲しいと思う。

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