ライターズブロックを考える/過去を振り返る・4

ライターズブロックについて考えているうちに、昔語りみたいになってしまった。
でも頭でヘンに、これが原因でこうすればいいんだー! って考えても、それっぽいけどぜんぜんちがうところに行き着いてしまいそうな気がするので、もうちょっとつづけてみることにする。

なんだかんだで復調して、その後はちゃんと書けるようになった。
まぁ、〆切みじかいよー! とか、続編キツくね!? とか、展開思いつきませぇぇん! とか、難題はいろいろあったけど、そのへんはメンタルの調子が万全であればなんとかなるもので、ライターズブロックとは直接関係がないので割愛。

しばらくやっていたころ、他社の編集さんから連絡をいただいて、また新規で企画を立ち上げることになった。
担当さんは、いまやってる仕事にあまり納得できていなくて、もっとエンタメ色の強い本を作りたい、ということで、僕に声をかけてくれたみたいだ。オッケー! がんばる!

それまでの立ち上げ2回の経験から、僕は、いきなり「俺これやりたい!!」ってガッツリしたもんを出すもんじゃないな、と考えるようになっていて。
それだと、ジャッジ目線でみられてるうちに、気持ちが面白くなくなっていっちゃうんだよな。自分の頭のなかで考えてるときが頂点で、あとはゆっくり下がっていくだけ……そういう仕事は、つまらないなって。

そうじゃなくて、おたがいどういうものが好きか、どういうものやりたいか、擦り合わせて、やってるうちにモチベーションが上がっていくようなものにしたい。
もちろん、どうしたって、うーんってなるときはあるんだけど、書くこと自体が面白くなくなっちゃったら、それはもう趣味で書いてた方が幸せってことで、商業をつづける意味がないよなぁと。

編集さんは、ホラー系ムック本とかを作っていたということなので、とりあえずホラーに絞ってラフな企画を数枚提出した。
そのなかの1つに、編集さんが乗り気になって、これやりましょう!! って社内稟議用の企画書書いて送ってくれた。
ラフをプロットにして練りこんでいく際は、こういうものにしたいよね、という方向性を話し合って。
こういう打ち合わせはやっぱり楽しいし、趣味ではできないよなと。

課題は、文庫のように棚がきっちり確保されていないところ。
文庫は各出版社がスペースを確保しているので、そのスペースに集まってくる読者に向けた内容を意識すればいいんだけど、今回は四六版で、書店の棚のどのへんに置かれるかが未知数という。なるほど。
編集さんは書店を巡って棚を覗いて、だいたいこのあたりの位置に並べられるように作りましょう、という話をしてくれた。ジャンルをホラーにしようというのも、ホラーは四六版の棚スペースがある程度すでにあるからだ。(ただ、小説というよりは、マンガ寄りの本の並びなんだけど)
僕、なるほどな~! と思って。
やっぱりまた、アプローチがちがうんだ。
自分がぜんぜん意識したことのなかった考え方を聞くのは、やっぱり刺激的で面白い。

もう一個の課題は、硬派な会社なので、僕みたいなエンタメがっつりな本の先例がいまいちないこと。
編集さんからもいわれていたし、企画書の社内フォーマットをみた時点で、これは結構がっつり構えていかないと稟議で撃ち落とされる気がするなぁ……というのはなんとなく感じた。僕の作風、上の人に好かれないだろうなぁこれ。
ただ、ここはもう、編集さんが内部でがっつり戦ってくれて。
ほんと、編集さんに戦ってもらえないと、僕みたいな作家は本を出せねえな、というのはすごく思って。
なので、そうしてもらえるだけの価値のあるものを、自分も書けるようにならなくちゃ、と。

この本については、いい感じで仕事できたけど、売り上げの結果に結びつかなかったのは、力不足だったなぁ。電子は結構伸びたっぽいんだけど、紙がいまいちだったよね。
僕は作劇での、編集さんは戦略やパッケージング面での反省点をあれこれ考えた。
ただまあ、反省はあれど後悔はなくて。
こういうところを改善して、リトライしてみようぜ! って、話してたんだけど……ちょうど編集さんが異動になってしまって、立ち消えになってしまったのが残念。

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