針とら

小説家。児童小説中心に活動してます。 「絶望鬼ごっこ」シリーズ(集英社みらい文庫)、「…

針とら

小説家。児童小説中心に活動してます。 「絶望鬼ごっこ」シリーズ(集英社みらい文庫)、「死神デッドライン」シリーズ(角川つばさ文庫)、「恐怖の帰り道」シリーズ(学研プラス)など。 noteでは雑記とか創作論とかプロットとかをちょろちょろと書いてます。

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    小説書いてたんだけど……なんか書けなくなった! 話が思いつかないわけではないんだけど、言葉が詰まってでてこない…。 そんな状態によく陥るダメダメ小説家が、なんとかそれを解消しようと、考えをまとめたり気持ちを吐きだしたり好きなものを語ったりするマガジン。

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    好きな作品のどのへんが好きなのか語っていくうちに、「好きの言語化」をできるようになってみたい! という企画。

記事一覧

近況と考えごと

絶望鬼ごっこ完結の余韻もさすがに過ぎ、そろそろちゃんと仕事をせねば! ということで、来年春~夏ごろ刊行予定の原稿にとりかかっている。 来年上半期までは作家でいら…

針とら
8日前
9

Q「応募する賞の受賞作を読んだ方がいいのでしょうか?」 A「ネコチャン!」

作家仲間のマシュマロで、「応募する賞の受賞作を読んだ方がいいのか?」という質問をみかけたので、考えたことを書いてみる。 たぶん、「自分がなにをやりたいのか次第」…

針とら
3週間前
51

地球と街と出版とお金の話

昔、Google Earthを見ていたときに、思ったことがある。 「街っていうのは、水辺にしかできないもんなんだな」 地球はめちゃくちゃ広いのに、人間の家々は、そのごくごく…

針とら
1か月前
32

ネコチャンは飼い主に似るか?

猫をオモチャでじゃらしていると、たまに、「猫は飼い主に似るのだろうか?」と考えてしまう。 だって、うちの猫、かまえかまえと言われてかまっていると、はじめのうちこ…

針とら
1か月前
8

世にある富のほぼすべての財布の紐は、大人がにぎっている

先日、児童文学者協会様主催の児童文学学校講座の1コマにて、講師を担当させていただいた。 そのときに、「エンタメとはなにか? とりわけ、エンタメ系の児童小説とはな…

針とら
1か月前
15

合意形成と根回しの話

そういえば、以下の記事で『絶望鬼ごっこ』ははじめ1巻だけのつもりだったと書いたのだけど、そのあたりの事情についての話。 いちばんはじめのプロットでは、1巻のラス…

針とら
1か月前
22

虫かごのお金さん、暴落する

投資をしている。 8年ほど前、会社を辞めて専業作家になるとき、将来への不安が大きすぎてはじめた。 だって売れなくなったらお金なくなっちゃうし。 スランプや病気にな…

針とら
1か月前
16

あとがきのようなもの

『絶望鬼ごっこ さらば地獄鬼ごっこ』発売しました。 24巻続いたシリーズも、ようやくフィナーレとなりました。 1巻が発売されたのは9年以上も前で、僕が新人作家だっ…

針とら
2か月前
411

6月の月記

引っ越し引っ越しました! なんか貸主が変更になった直後、「半年後に建て替えるので出てって~」と言われてしまい。 そう、立ち退きというやつです。 まあ、もともとそろ…

針とら
3か月前
9

🐯デビュー10周年🐯

10周年!デビュー作の『めざせ!東大お笑い学部』が発売されたのが、2014年5月15日。 なので、今日でデビューから、ちょうど10年が経ったことになる! こんだけ長く続けて…

針とら
4か月前
24

👹『絶望鬼ごっこ』シリーズ紹介👹

絶望鬼ごっこも1巻刊行から、早9年! 現在、既刊23冊が発売されています! さすがにこれだけ冊数が多くなると、初見の読者は「多すぎてわからん!」って、手に取りにくい…

針とら
5か月前
14

ぐずぐず

ひきつづき最終巻の原稿を書いているのだが、なんとなく変な気持ちだ。 ここ数年、ヘトヘトになりながらフルマラソン走っている感じだったので、はやく最後まで走り抜けた…

針とら
7か月前
11

1月の月記

絶望鬼ごっこ23巻が2/22に出る。 再校も終わったので、僕の残作業はもうほぼなし。 見本誌を楽しみに、ワクワクしています。 今回はね、はじめての見開きイラスト! があ…

針とら
8か月前
6

児童書における「ふつうの大人」

児童書エンタメにおける、ごく良識的な、「ふつうの大人の扱い」について書く。 デビュー前、研究のために児童書を読み漁っていたとき、とある作品で、「警察が、主人公た…

針とら
8か月前
14

たまに講師とか

本日から申し込みのはじまった、日本児童文学者協会様主催の「第52期日本児童文学学校」の1コマにて、講師を担当することになりました。 以前、日本児童文芸家協会様主催…

針とら
8か月前
7

プロフィール

針とらって何者?児童小説家 / 物語屋さん。 児童向けエンタメという女の子市場のすみっこで、「男子にも本を読ませるんだー!」とほそぼそと活動しているはぐれ者。 代表…

針とら
9か月前
6

近況と考えごと

絶望鬼ごっこ完結の余韻もさすがに過ぎ、そろそろちゃんと仕事をせねば! ということで、来年春~夏ごろ刊行予定の原稿にとりかかっている。
来年上半期までは作家でいられそうなんだけど、その後どうしていこうかなぁ……ということを、書きながら考えている。

僕はずっと、作家の仕事を、「残機は2機」と考えてやっている。
つまり、1作出して売れなくても、もう1機ぶんはリトライできる。それで売れればまた2機にもど

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Q「応募する賞の受賞作を読んだ方がいいのでしょうか?」 A「ネコチャン!」

作家仲間のマシュマロで、「応募する賞の受賞作を読んだ方がいいのか?」という質問をみかけたので、考えたことを書いてみる。

たぶん、「自分がなにをやりたいのか次第」なんじゃないかなぁ…と。

「賞をとりたい」「デビューしたい」
「こういうものが書きたい」「こういうことを表現したい」
「だれかに認められたい」「ほめられたい」

小説を書いて公募に出してるなんて人には、いろんな動機があると思うんだが、現

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地球と街と出版とお金の話

地球と街と出版とお金の話

昔、Google Earthを見ていたときに、思ったことがある。
「街っていうのは、水辺にしかできないもんなんだな」

地球はめちゃくちゃ広いのに、人間の家々は、そのごくごく一部分に密集して建てられている。
大きな部屋の、ほんの隅っこ部分しか使っていないような感じで、ちょっともったいないなと思った。
人類には、飛行機だって船だって車だってある。人間は、地球のどこにでも行けるだろうに。
そんなことを

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ネコチャンは飼い主に似るか?

猫をオモチャでじゃらしていると、たまに、「猫は飼い主に似るのだろうか?」と考えてしまう。
だって、うちの猫、かまえかまえと言われてかまっていると、はじめのうちこそ普通にオモチャにじゃれているのだが、すぐに、
「自分をじゃらそうとがんばる下僕を観察する遊び」
をはじめてしまうからだ。

僕は子供のころこうだった。
みんながドッジボールをして遊んでるときとか、一緒に体を動かすよりもそれを観察して楽しん

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世にある富のほぼすべての財布の紐は、大人がにぎっている

先日、児童文学者協会様主催の児童文学学校講座の1コマにて、講師を担当させていただいた。
そのときに、「エンタメとはなにか? とりわけ、エンタメ系の児童小説とはなにか?」というところをかんたんにお話したのだが、かなりわかりづらい説明になってしまったので、ここで補足を語ってみる。

営利企業は、財布の紐をにぎっている人間の方を向いて物を作る

僕は小説家になる前、とある大企業でエンジニアとして働いてい

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合意形成と根回しの話

そういえば、以下の記事で『絶望鬼ごっこ』ははじめ1巻だけのつもりだったと書いたのだけど、そのあたりの事情についての話。

いちばんはじめのプロットでは、1巻のラストは以下のようになっている。

これはね。
担当と打ち合わせをしていて、

「ハリウッド映画とかでよくある、映画が終わって、スタッフロールが流れたあとに、画面が暗転して、どこか薄暗い部屋のなかで、謎の男がなにか意味深なことをつぶやいたあと

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虫かごのお金さん、暴落する

虫かごのお金さん、暴落する

投資をしている。
8年ほど前、会社を辞めて専業作家になるとき、将来への不安が大きすぎてはじめた。
だって売れなくなったらお金なくなっちゃうし。
スランプや病気になって書けなくなったらお金なくなっちゃうし。
疾病手当も福利厚生も厚生年金も、なんのセーフティネットもないし。
大企業の正社員を捨てて、ギャンブラーになる。
これはね、不安しかないわけです。

そんなとき、「金持ち父さん貧乏父さん」という本

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あとがきのようなもの

『絶望鬼ごっこ さらば地獄鬼ごっこ』発売しました。
24巻続いたシリーズも、ようやくフィナーレとなりました。

1巻が発売されたのは9年以上も前で、僕が新人作家だったのはもう一昔前のことになってしまいましたが、とりあえず一区切りついたいま、駆けだしのころの気持ちを忘れないうちに、ここに残しておくことにします。
作品の中身とはまったく関係ないので、読者の方はパスしてもらえるとうれしいです。

読者の

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6月の月記

引っ越し引っ越しました!

なんか貸主が変更になった直後、「半年後に建て替えるので出てって~」と言われてしまい。
そう、立ち退きというやつです。
まあ、もともとそろそろ引っ越したいと思っていたし、立ち退きの場合は引っ越しにかかる諸々費用をもってもらえるので、自分にとっては渡りに船って感じで、さくっと。
そんなわけで、5~6月はほぼ物件探しと引っ越し作業をしていました。

新居は新築!
家賃が5万あ

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🐯デビュー10周年🐯

🐯デビュー10周年🐯

10周年!デビュー作の『めざせ!東大お笑い学部』が発売されたのが、2014年5月15日。
なので、今日でデビューから、ちょうど10年が経ったことになる!
こんだけ長く続けてこられたの、我ながらおどろきである! ほんとに!

そもそも、僕はもともと児童書志望じゃなくて、大人向けのエンタメを書いていたのだ。
いや、大人向けを書いていたというのもまちがいで、根本的に『ジャンル』とか『対象読者層』とか、意

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👹『絶望鬼ごっこ』シリーズ紹介👹

👹『絶望鬼ごっこ』シリーズ紹介👹

絶望鬼ごっこも1巻刊行から、早9年!
現在、既刊23冊が発売されています!

さすがにこれだけ冊数が多くなると、初見の読者は「多すぎてわからん!」って、手に取りにくいだろうなぁと思い。敷居高いよね…。
なので、完結前のこの機会に、シリーズをどう読んでいったらいいか、わかりやすく紹介してみました!
興味あるけど読んでない人は、ぜひチェックしてみてくれ!

まず、シリーズを大雑把にざっくり分けると、以

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ぐずぐず

ひきつづき最終巻の原稿を書いているのだが、なんとなく変な気持ちだ。
ここ数年、ヘトヘトになりながらフルマラソン走っている感じだったので、はやく最後まで走り抜けたいな! と思って書いてきた。
……なのだが、いざほんとうにゴールが近づいてくると、書き終えたいような、書き終えたくないような気持ちが湧いてきて、ちょっぴりぐずぐずしている。

原稿を書いてるときの心理変化は、あとから振り返ってみると育児のも

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1月の月記

絶望鬼ごっこ23巻が2/22に出る。
再校も終わったので、僕の残作業はもうほぼなし。
見本誌を楽しみに、ワクワクしています。
今回はね、はじめての見開きイラスト! があるよ!

で、僕は現在、最終巻の原稿にかかっている。
一桁巻のころはそうでもなかったが、二桁巻も半ばをすぎたあたりから、初稿を書くのに、ほんとうに気力と体力を使う。
動かすキャラクターも格段に増えて、一冊で閉じきらない話にしているこ

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児童書における「ふつうの大人」

児童書エンタメにおける、ごく良識的な、「ふつうの大人の扱い」について書く。

デビュー前、研究のために児童書を読み漁っていたとき、とある作品で、「警察が、主人公たちに、事件の解決をまかせるシーン」があった。
それまでは面白く読んでたんだけど、なんだかそこで、醒めてしまった。
「それ主人公たちがやる必要なくない? 警察の仕事じゃない?」って思ってしまって。
もちろん、「だから主人公たちが動くんじゃな

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たまに講師とか

たまに講師とか

本日から申し込みのはじまった、日本児童文学者協会様主催の「第52期日本児童文学学校」の1コマにて、講師を担当することになりました。

以前、日本児童文芸家協会様主催の「エンタメ講座」を担当したということで、お誘いを受けたのだけれど、ほんとうに僕でいいのかしら…。

だって、エンタメ講座でやった僕の講義って、こんなだぜ…?

こんなだぜ!?

いまだに、「面白かったけど、こいつ頭おかしいなと思いまし

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プロフィール

プロフィール


針とらって何者?児童小説家 / 物語屋さん。
児童向けエンタメという女の子市場のすみっこで、「男子にも本を読ませるんだー!」とほそぼそと活動しているはぐれ者。
代表作は、『絶望鬼ごっこ』シリーズ。

エンタメならジャンルにはこだわりなく、大人向け含めなんでも書く。
キャラ同士のセリフやアクションの掛け合いを描くのが得意。
好きなものは人外キャラで、気づくと人外にセリフをしゃべらせている。

筆名

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